午前4:00に目が覚めた。外は明るくなりつつある。
野鳥の鳴き声が幾重にも重なり、まるで重厚な交響曲だ。
天然の調べに身を委ねてウトウトとしばし転寝。
5:00、カラスの声が主旋律を奏で始めた頃合に起床。まだ雨は降っていないらしい。
朝食は昨日のとり野菜鍋の残りに冷や飯をぶちこんだおじや、納豆付き。
クタクタに煮られて湯気の立つおじやをフーフー言いながら食べる。朝から温まるなぁ。
食べ終わった頃から雨がポツポツ降り出した。小雨だが東屋の下で助かった。
雨具を身に着けようか迷いながらテントを撤収。
7:20、出発。すでに雨は止んでいたので、雨具は着けず。
キャンプ場の出口の管理棟に一台の軽トラと作業着のおっちゃんがいた。
シーズンに備えて準備中なのかな。
県道28号を木ノ浦海岸伝いに東へ進む。
7:30、禄剛崎の入口に到着。
バイクで直接行けない様で、登山道のような急な階段を徒歩で登った。
ちとバテ気味になりながら、こじんまりした灯台にたどり着いた。
『日本で唯一菊の御紋がある灯台』と説明書きにある。
最北端とも書かれているが前述のシャク崎の方が北のはず…いや野暮な突っ込みは止めとくか。
7:50、出発。能登半島東岸沿いに南下。
途中、山伏山方向へ分岐する怪しげな未舗装路を発見。(この辺り)
チェーンゲートの錠前が外してあったので暇つぶしに入ってみた。
農家の先の分岐を左へ進むと、森の中を通る酷い泥濘の道になった。
最後は草に埋もれて廃道状態になったが通れないこともない。
それを超えると舗装路に抜けた。ほっ、完抜してたか。(この辺)
8:10、寺家ダムを横切って進むと、今度はフラットな幅広ダートが現れた。
これはなかなか掘り出し物のようだ。喜び勇んでまず右折。
三崎町大屋方面に走ってみた。
ダートの起点には「国営農地開発6号支線(A)」と書かれた道標があった。
そのままUターンして三崎町森腰の終点まで一気に快走。
距離は2.5kmほどだが固く締まったフラットダートを楽しめた。
探せば、やっぱ奥能登にも未舗装路があるのね。
県道287を右折して、8:25、県道28に復帰。
8:30、能登最東端の長手崎を越え、海岸沿いに南下。
8:40、蛸島町のGSで給油。キャンプ道具を積んだジェベルとすれ違う。
連日の雨で彼も大変なんだろうなぁ。
8:50、珠洲市街でR249に合流して、飯田湾沿いに南下。
9:00、見附島に到着。別名・軍艦島とも呼ばれる奥能登のシンボル的存在らしい。
岸から岩場を歩いて島に近寄ることが出来る。
足場は思ったより滑らない。が、ゴミに混じって鳥の死体が浮いているのはちょっと引く。
島を囲む断崖は間近で見るとかなりの迫力だった。
その絶壁はまさに軍艦の名に相応しい。
9:20、出発。恋路海岸と名づけられた道を走る。
なんだか甘ったるい地名が多いなぁ。
駐車スペースに由来となったエピソードが紹介されていたが…うーん…。
二人の恋路を邪魔した男は馬に蹴られて死んだ…という落ちはないですか、そうですか。
9:30、県道35を右折して、9:45、九十九湾に到着。
入り組んだ海岸線で穏やかな海だ。湾内にはさざ波一つない。
10:00、奇観・千畳敷(万畳敷)を通過。
見下ろしただけだが海面のすぐ下に広い岩盤が広まっている。
能登金剛にも同じ名前のポイントがあったような…。
そろそろ海は飽きてきたので山へ向かおう。
10:10、R249を横断して県道6号で内陸部へ。
向かう途中で雨が強くなり始めた。嫌なタイミングだなぁ。
駐車スペースで雨具の下とブーツカバーを装着。
10:25、柳田で県道26号を経て県道277へと進む。
10:35、目的の分岐に到着。(この辺)
西に伸びる舗装路が城ヶ山、瓶ノ森山、四辻峠、鉢伏山…と奥能登の尾根を繋ぐ道である。
市道か林道かは不明だが埋め立て処分場へ至るようだ。
事前調査で未舗装は期待していなかったが、とりあえず走ってみよう。
途中から林道鉢伏線という名前のルートに合流したが相変わらずの舗装路。
支線は何箇所もあったが、それらも基本的に全て舗装されていた。
唯一、四辻ノ峠から北の県道276方向に延びる支線は未舗装だった。
未探索だが雰囲気からして完抜してる可能性が高い。
誰か再探索してくれないかなぁ。距離は短いだろうけど…。
視界が開けてもありきたりな山並みばかり。
未舗装でもなく、雨ばかりで面白みに欠ける。
が、終点の鉢伏山近くで突如、富山湾越しに立山連峰が遠望できた。
期待していなかった分、素直に感動。
機嫌良く鉢伏山から東へ下り山中を退出した。
11:30、大箱で県道26号を右折して西へと向かい、11:35、桜峠で珠洲道路に合流。
穴水方面に快走して、11:45、道の駅・能登空港にちょっと寄り道。
広々とした滑走路越しに、ここからも立山連邦が見えた。
現在地は雨だが、彼方は晴れてるのだろうか…。
そのまま、ハイペースで西へと進み、12:00、穴水市街でR249に合流した。
そろそろ昼飯時だが雨がかなりつよくなってきた。さっさと店を決めて雨から逃れたい。
まずツーリングマップルで紹介されている店へ行ってみたが休店日なのか営業してなさそうだった。
仕方なく土砂降りの中、R249を能登島方面に走る。
二件ほど食事処があったが、一件目は店構えが立派過ぎ。
ずぶ濡れの状態で暖簾を潜るのさえ憚られボツ。
もう一件はもろに団体観光客向けでこれまたボツ。うーん、タイミング悪いなぁ…。
12:30、能登島の手前、西岸の辺りでちゃんこ料理の店・時葵を発見。うし、ここに決定!
元力士だろうか親切なオヤジさんが濡れた雨具も屋内に置かせてくれた。
温かいお茶を飲んでようやく人心地がついた。注文したのは海鮮丼1050円。
運ばれてきた丼には値段に釣り合わないほど具が贅沢にトッピングされていた。
どの刺身も新鮮で実に美味い。黒鯛のあら汁も良~い出汁が出ていた。
はぁー、満足満足。
13:00、店を出たら雨はまだ降っていたが小康状態に落ち着いていた。
県道256を右折し、ツインブリッジのとを渡って13:10、能登島へ上陸。
七尾湾も九十九湾と同じく穏やかで水鏡のようだった。
この辺の湾が元々荒れにくいのか、今日がたまたま無風なためか、どちらだろう?
13:30、道の駅・のとじまでトイレ休憩。雨は止まず。
県道47号に合流して、能登島南岸を時計回りに西へ向かう。
途中、ひょっこり温泉という温泉があった。付近の地形は確かにひょっこりひょうたん島を連想させる。
が、まだ温泉に入る気にはなれないので、ここはスルー。
13:50、能登島大橋を渡って能登島を退出した。
R249を右折して七尾市街を抜け、R160に接続。
14:15、道沿いのコンビニで一服して、今後のルートを思案。
うーん、天候の完全回復は望めないし、真っ直ぐ幕営地を目指すか…。
14:25、七尾海岸へ出て富山湾沿いを南下。
14:30、道の駅・いおりに立ち寄った。
この辺まで来ると雨もほとんど止み、時々日差しも見えはじめた。
立山連峰の眺望を期待したが、それは適わず。残念。
14;45、大泊鼻を越え、ついに富山県に入った。
15:05、道の駅・氷見(ひみ)に到着。
フィッシャーマンズワーフ海鮮館で夕食の買出しをする。
ついでに売られていた岩ガキが美味そうだったので400円のやつを購入。
その場でレモンを絞ってジュルリと飲み込む。…くぅー、うめぇー!
ついでに氷見駅近くのスーパーにも寄って買出し追加。
ここでも、いちいち雨具の着脱せにゃならん。面倒くさいなぁ。
買出しを完了して、16:00、出発。R415を南東へ進む。
16:30、富山湾に面した無料キャンプ場・雨晴キャンプ場に到着。
受付をしようとしたが海の家はやっておらず。
散歩中の人に尋ねたら少し離れた民宿・女岩荘で受け付けてるそうだ。
民宿の玄関先で何度も呼ぶとお爺さんが出てきた。
いい人そうだが訛りが強い。判らない点は勝手に脳内で補完せねばならない。
受付のついでに、いろいろと要望を尋ねてみた。
Q.東屋の下にテントを張ってもいいですか?
A.雨で大変だろう、OKOK(富山弁趣意)
Q.バイクを乗り入れてもいいですか?
A.バイクが心配だろう、OKOK(富山弁趣意)
いやぁ、嬉しいなぁ。今日も理想的なテント泊が出来そうだ。
受付ノートに名前の記入を終え、表の飼い犬と遊んでたお爺さんと少し会話。
宿主「あんたは犬が好きだろ? この犬は犬好きには吼えない(富山弁趣意)」
塩犬「そうでしたか、頭がいい犬ですねー」
宿主「猫好きが来ると吼えるのだ、犬好きに悪い人はいない(富山弁趣意)」
塩犬「ですよね、やっぱ猫より犬ですよねー」
実は猫派だがいらんことは言わないで置こう。
丸く収まったところでキャンプ場へ戻ってテントを設営開始。
濡れた靴下でふやけすぎたのか、歩くと足の裏が少し痛い。
靴下を脱ぎ、濡れた雨具と一緒にベンチに並べて干す。
そのうち足の裏も乾き、痛みも消えた。
幸運なことに、このキャンプ場はエアエッジの圏内だった。
テントの設営完了後、WEBに接続して付近の温泉を検索。
また降り始めた雨の雨脚が段々強くなってきた。
17:40、雨具を装着して温泉目指し出発。
かなりの雨の中、10分ほど走って堀田の湯に到着。
こじんまりした建物で秘湯といった趣き。入浴料は350円。
湯船は小さいが、やや熱めのしょっぱいお湯が気持ち良かった。
湯からあがったら、雨もあがっていた。
念のため雨具を装着してキャンプ場へ戻る。
途中、コンビニに寄って乾電池を仕入れた。
18:45、キャンプ場に帰着。さて、お楽しみの晩酌タイム。
酒は奮発して氷見の地酒・曙の純米吟醸「獅子の舞」。
ツマミは氷見名産・ガンドブリ(ワラサ)の刺身にホタルイカの醤油煮。
それから富山のローカル食材・巻き蒲鉾。魚介系だけでは何なのでトマトもつけた。
屋根の下でベンチに腰掛け、雨だれを眺めつつチビチビ飲る。あぁ旨ぇ…極楽極楽。
雨に濡れずに済む愉悦をひしひしと実感。ぼかぁ幸せだなぁ。
締めはソフト麺を使ったお手軽スパゲティ・ミートソース。
いつもより酒量が多かったため、食後すぐに爆睡。
暖かいのでシュラフも不要だった。
23:30頃、尿意を催して目が覚めた。
トイレを済ませた後、寝付けないのでPCでレポをまとめはじめる。
雨は一時的に止んでいるようだ。…っと、少し離れた駐車場に乗り入れる車の音。
男女入り混じった数人の若者の笑い声が聞こえてくる。そう言えば金曜の夜だった。
海へやって来た若者の集団…と来れば花火が定番だが…まさかな…。
ピュー…パンッ!!
ロケット花火…嫌な予感が的中した。
なぜこうもパターン通りの行動を取るのだ、若者たちよ…orz
PCの電源を落とし再び眠りに就こうとしたが、彼らの喧騒はまだ止まない。
雨晴(あまはらし)の地名通り雨が晴れることを願っているが…豪雨よ、この瞬間だけ降ってくれ!