静岡の天竜川から長野の諏訪まで南北に走る国道152号線・秋葉街道。
愛用している昭文社のツーリングマップルではこうコメントしてある。
フォッサマグナって日本を東西に分断する線だったよな。(※1)
子供の頃、糸魚川と富士川を結ぶ線と聞いたような気もするが、天竜川だったのか…?(※2)
いや、最新の地図に間違いなどあるまい。恐らくは長年の研究でこういう結論に達したのだろう。(※3)
事実、152号線には中央構造線=フォッサマグナ関連のスポットもいくつかあるようだし。(※4)
海の日を含んだ3連休、何でもいいから達成感のあるツーリングをしたいなぁ…と思ってた僕は、このコメントで行く先を決めた。
「そうだ、天竜川の河口から糸魚川の河口まで三日間でフォッサマグナを走りきろう!」(※5)
竜に似た日本列島を分断する天竜川に沿った大断層。
断層のことを風水で「竜脈」と呼ぶことを考えると、まさに竜・竜・竜。
三日間のフォッサマグナ…大竜脈探求の旅はこうして始まった。
意外な…あまりにも意外な結論が最後に待っているとも知らずに…。
荷造りをして7:30出発。
連休の朝だからだろうか、環八がえらく渋滞。
東名の東京ICに到着するまで一時間もかかってしまった。
海老名SAの吉野家で豚丼の朝食。
あとは静岡の磐田ICまでひたすら西走。
日差しが段々強くなってきた。
正午過ぎ、磐田ICを降りて天竜川の西岸に渡り、まずは河口を目指す。
市街地を抜け、30分ほどで到着。時刻は12:30。
草むらと砂浜の向こうで、幅広の大河がドドーンと遠州灘に流れ込んでいた。
自宅の掛川からはそれほど離れていないのだが、天竜の河口を見るのは初めてだ。
さぁ、ここがスタート地点。東岸に渡ってガソリンを補給し、いよいよ北上開始。
川岸の舗装路を行くつもりだったが、河原にまっすぐなフラットダートがあったのでそちらを進むことに。
メインルートをガシガシ進めば丸一日で糸魚川まで走れるとは思うがそれじゃ面白くない。
周辺の林道探索を交えて楽しもう。今日中に果たしてどこまで進めるのやら。
河川敷のダート走行は、支流を避けながら上野部の手前まで約20kmも続いた。
しょっぱなからかなり楽しめていい感じ!
13:30、二俣本町の市街地でスーパーを発見。
この先、大きな集落は無さそうなので少し早いが食料買出し。
それにしてもとにかく暑い。ほんの少しバイクを離れただけでも、火傷するほどシートが熱くなっている。
この辺りは日本全国でも毎年猛暑でランクインするような土地なのだ。
買い物を済ませてスーパーから少し北上。
14:00、ダム湖のほとりにあった道の駅・花桃の里で遅めの昼食。
食事を済ませてさらに秋葉街道を進む。
っと、秋葉神社参道を示す大きな燈篭が右手に。
天竜スーパー林道の目印だ。ここで右折。
14:40、天竜スーパー林道の起点に到着。
っと、林道へ突入する前に起点の脇にある酒屋でビールを購入。
さっきのスーパーで買えなかったのだが、これで一安心♪
冷凍枝豆と一緒にクーラーバッグに入れておけば冷えたまま夕食まで持つだろう。
秋葉神社から山住峠を経て水窪ダムへ抜ける天竜スーパー林道は、
天竜川と並行して聳える赤石山系を満喫できる総延長53kmの尾根道である。
以前はオフロードの定番コースだったらしいが完全に舗装されてしまった。
しかし、まぁオフ車乗りなら一度くらいは走っておかねばなるまい。
沢沿いに徐々に高度を稼ぎ、ゆるやかなワインディングを経て展望の開けた尾根に出た。
連休ということもあり、家族連れのドライブやオンロードのキャンプツアラーをよく見かける。
サイクリングのチャリダーもちらほら。
さすがに標高が高いだけあって、下界とは一線を画す格別の涼しさである。
爽快なスカイライン。これで未舗装だったら文句ないのだが、惜しいなぁ。
途中で湧き水があったのでペットボトルに汲んだ。
これで飲み水もOK。いつでもどこでも野宿できるぞー。
山住峠から先、林道野鳥の森線の区間も全て舗装済み。残念。
やがて下り勾配の果てしないワインディングを走りぬけ、水窪ダムへ。
16:30、天竜スーパー林道53kmの走行を完了した。
国道152号線=秋葉街道に出て、天竜川の支流・翁川沿いに信州方面に北上する。
さて、この国道。実は静岡と長野の県境の青崩峠という難所で完全に分断されているのだ。
普通は迂回路を使い兵越峠という峠を越えて長野に抜けるのだが、僕としては興味があったので国道を行けるとこまで行ってみる事に。
未舗装・急勾配の国道をうきうきしながら登っていくと、深い森の中で行き止まり。
そこから先は徒歩で段を上って峠を越えるしかなさそうだ。
さすが日本随一の断層地帯。最新の土木技術でもここに道を作るのが難しいのだ。
Uターンして素直に迂回路の兵越林道を進み、17:30、長野県へ突入。
ちなみに長野・静岡県境の兵越峠。
峠を挟む水窪町と南信濃村の間で領土を掛け、有志による綱引きが毎年行われている。
その名も国盗り合戦。こういうイベントってアイデア勝ちでいいなぁ。
さて。そろそろ野営地を決めねばならないのだが、どうも空模様が怪しくなってきた。
当初、河原でのキャンプを考えていたのだが、新潟・福島で記録的な豪雨があった直後でもあり、洪水が怖い。
結局、ちゃんとしたキャンプ場まで行くことにした。
峠道を降りて和田の集落でガソリンを補給。さらに秋葉街道を北上。
国道が再び分断されている地点を避け、迂回路の蛇洞林道へ入り、
そのまましらびそ高原を目指す。
上り勾配の坂道を15kmほど進んで、18:40、ようやくしらびそ峠に到着。
赤石岳・聖岳などの南アルプスの峻険を一望できるビュースポットだが、
あいにく山頂は雲に覆われてしまっていた。残念。
その先にあるキャンプ場を備えた宿舎・ハイランドしらびそで、飛び込みでキャンプできるかどうかを訪ねてみた。
「オートキャンプ場は予約で一杯ですが、駐車場前の広場でよければテントを張れますよ」
「料金はおいくらですか?」
「2000円です」
Σ(゚口゚;
2000円なんて別に惜しくも無いのだが、提供するサービスに見合う値段じゃないよな、と思って一旦は断った。
しかし、よく考えると標高1800mでテント泊できる機会もなかなかあるまい。
料金はこのシチュエーション代と思って、結局ここでキャンプすることにした。
まぁ、他の野営場を探す余裕がないのも確かだったのだが。
ついでに500円払って、お風呂も借りることに。
「お風呂はエレベーターで3Fへ上がって下さい、八時半までにお願いします」
…エレベーター付きかよ。なんだかなぁ。
夕闇の迫る中、広場の隅にテントを設営。
ひとっ風呂浴びて、ビールで晩酌。枝豆の量が多すぎて腹一杯になってしまった。
ともかくも、第一日目は無事終了。
…といきたいところだが。
竜ってのは昔から、雨とか雷とかと関係が深いんだよね…。