今回は都内で済ませた。
伊豆大島一泊二日キャンプツーリング。一応、都内だ。
大島の「とある場所」に行きたかったのだが、一人では不安だったためM氏を誘った。
「釣りできますよ、大漁ですよ」と誘ったら即OK。釣れた釣れた。
10/30、金曜日の19:30にM氏宅で待ち合わせ。
互いに 荷物を満載したバイクで、竹芝の客船ターミナルを目指す。
20:30到着。
東海汽船で予約していたチケットを買い、手荷物受付所にバイクを預けた。
運賃は東京~大島まで大人片道3810円。バイクは250ccが一台6810円。
往復で一人 20020円。都内なのに普段の高速料金以上かかる。ま、しゃーないな。
缶ビールを飲んで出航を待つ。
予定通り22:00、客船かめりあ丸出航。
ビールと軽食を摂取してすぐに寝ようとしたのだが、
騒がしい学生のダイビング・サークルと、窮屈なリクライニング席のせいでほとんど眠れず。
寝不足ツーリングはいつものことなので (゚ε゚)キニシナイ!!
午前6:00。
岡田港に到着。まだ明け方なので暗い。
と思って下船してみたら雨が降ってて霧の中。夜が明けても暗いままだ。
天気予報は晴れのはずなのに…。
僕は防水ジャケット&パンツだからまだしも、M氏は雨具すら持っていかなかった。
そのうちやむだろうということで、仕方なくずぶ濡れ覚悟で走り出す。
さて。
いきなり今回最大の目的地「とある場所」に向かったのだが、 雨と濃霧と悪路ですぐに断念。
明日、再挑戦することにして三原山に向かった。
なんやかやで一時間ほどロスしたが、二時間もあれば一周出来るほどの島なので(゚ε゚)キニシナイ!!
大島一周道路を反時計回りに元町方面へ。
三分の一周ほど島を巡って、三原山登山道を左折。
ワインディングの激しい登り道、登山口を目指す。
標高が高くなるにつれ、雨は激しく、霧は深くなっていく。
7:20。三原山の登山口に到着。
展望台に登ったら、丁度霧の晴れ間だったのですかさず撮影。
1986年の大噴火だろう、火口から流れ出た火砕流の跡が生々しい。
それにしても腹が減った。昨夜軽く食べたきりなので二人とも空腹である。
登山口には何軒か茶屋があるのだが、まだ早朝なのでどこも開いていない。
二件だけ開いていた土産物屋で、M氏が買い物。ついでに食事できる場所を聞いてみる。
「あそこの茶屋は他所より早いよ」
なるほど、そういえばその店のあたりで人を見かけた。
無理を承知で訪ねてみると、出てきたのは一見無愛想な店主。
「この辺はお昼時目処にして仕込みやってるんだけどね…蕎麦でいいかい?」
嬉しい…。
開店前なのに、ずぶ濡れの薄汚い二人に、暖かい明日葉茶を勧めてくれた。
やがて出てきた明日葉の天ぷら入り蕎麦。
柔らかい麺が空きっ腹に優しく、とても美味しい。
蕎麦だけでは申し訳なかったので土産にくさやの瓶詰めを買った。
長居して仕込みの邪魔をしては申し訳ないので、食事が終わったらすぐに店を出た。
…かなり土砂降り…_| ̄|○
時刻は8:30。
携帯電話で天気予報を確かめたら午前中は雨との予報。
とにかく屋根のある場所で休憩がしたい。
港町・元町まで下りて、温泉で時間をつぶすことにした。
9:00、元町港到着。
当初予定していた浜の湯は13:00からだったが、すぐそばにあった御神火温泉が丁度9時から入浴可能だった。
入浴料金1000円のスパ温泉だが、もう何だっていい。
濡れた服と臭い色違いの靴下を脱いで温泉に飛び込む。
たっぷり温まった後、荷物と上着をロッカーに残して休憩。
どうせ午前中は雨なのでビールを飲んで畳の部屋で座布団を枕に仮眠。
まだ時間が早いので客はほとんどいなかった。
肩と背中と腰が凝ってた僕は、マッサージを頼もうと受付に行ってみたが、 コインで動く マッサージ機しかないとのこと。
「あ、アンメルツでよければ私のありますよ」
伊豆大島の人たち、優しすぎっ!(*´∀`)
さすがにアンメルツはお断りしたが、何か感動してしまった。
翌日、島を離れるまでに出会ったこの島の人たちは、例外なく暖かかった。
観光で成り立つ島なので、観光客をもてなすのは当たり前なのかもしれないが、普通の観光地とは違うような気がした。
12時。雨はようやくあがった。
靴下もだいぶ乾いている。
気を取り直して出発。
島の丁度反対側、南西にあるトウシキ・キャンプ場を目指した。
道路はあちこち工事中だった。
地図だと海沿いの道のようだが、実際は結構山の中を走っている。
海と山との距離が短く、伊豆半島の周遊道路に近い印象である。
13時過ぎ、トウシキ・キャンプ場に到着。
広々とした芝の無料キャンプ場を貸切状態。
トイレに上水道があることを確認し、そこから近い場所にテントを張った。
13:40。テントに荷物を置いて、再出発。 今度は釣りが目的だ。
波浮港へ一旦赴き、何が釣れているのか、獲物を確認。
15cmくらいのアジが入れ食いのようだが、港が何やら慌しい雰囲気。
聞けば、行方不明者が出たらしく、漁船が総出で捜索に出かけているとのこと。
船宿も釣り客どころではなさそうだ。
やはり、離島。過酷な状況で生活していることを思い知らされる。
この生活環境が島民の優しさの一因なのだろうか。
道路を少し戻り、小さなスーパーで食料を買い出し、釣具屋で餌を仕入れて再び波浮港へ。
14:20。アミコマセを詰めてのサビキ釣りを開始。
M氏がすぐに小型のアジを釣りあげた。
少し遅れて僕の竿にもかかり始める。
本当に入れ食い状態。
時折、サバも掛かってくる。
地元の人に聞いたら、10年に一度くらいの規模の群れらしい。
あまり釣り過ぎても困るので16時に納竿。
キャンプ場へ戻り、数えてみたら26匹だった。
地元で650匹釣った人もいるらしいが…限度ってものがあると思う…。
比較的大きめの魚の処置を終えたとこで、島の焼酎で乾杯。飲み始めた。
二人とも弁当を食べたばかりで腹が一杯だったため、これ以上アジをさばく気力が沸かない。
僕がかろうじて一匹を切り身にしたが、小骨と皮の口当たりが悪くてどうにも美味くない。
バターで炒めたらかなり美味しくなったが、もともと食欲がないので追加オーダーには至らなかった。
相談した結果、残ったアジは翌日の釣り餌にすることに。
切り身にすれば根魚くらい狙えるだろう。
また、買ったクサヤをつまみにしようとしたが、焼き網もなく、ガソリンストーブで直接焼くわけにもいかない。
フライパンであぶったが、生焼け状態。仕方なくクサヤは全てお土産にした。
そうこうしているうちに日が暮れて夜に。
この日の月齢は6.6の上弦の月、古語で言う「弓張月」だった。
鎮西八郎・源為朝を主人公にした滝沢馬琴の「椿説弓張月」は、僕が大好きな古典小説の傑作である。
綿密な取材と巧みなプロット、勧善懲悪の爽快なストーリーに鬼才・葛飾北斎の挿絵。
現代でも色褪せない、痛快娯楽小説である。
平安時代末期、源為朝が流罪に処せられたここ伊豆大島も勿論物語の重要な舞台の一つ。
偶然にも、その場所で美しい弓張月を眺められるとは、個人的にとても感慨深いものがある。
閑話休題。
日が暮れて、酒も一段落。
M氏のくだらない駄洒落もとうに飽き、棒ラーメンで軽く食事を済ませて20::00には各テントにもぐりこんだ。
LEDランタンの下でなぜか太宰治の「人間失格」を読んで暇つぶし。
熊の心配がいらないのは実にありがたい。
海風は強いが、11月にしては暖かい夜だった。