復活の日


9月中旬に福島でエンジンブローしてしまったセロー君。
その修理が完了したとの連絡が入った。
メーカーの部品欠品で遅くなったが、ようやく引き取りに行ける。
キャンプ道具やヘルメットなどは、故障した日のままバイク屋に預けてある。
だが季節はもう11月中旬。当時に比べてすっかり寒くなった。
その分を補う防寒・耐寒装備を持参して、6:40、出発。
中野駅北口の立ち食い蕎麦屋で朝食を摂り、中央線で新宿へ。
埼京線で大宮へ行き、そこから東北新幹線MAXやまびこ号。
出発間際に慌てて乗り込んで空いてる席に座った。
車窓から見える男体山は雪で白く覆われていた。
むぅ。去年は12月冠雪してなかったのに。
郡山の手前で座った席が指定席だったことに気づく。
まぁ空席だったようだし、後一駅だからこのまま座っておこう。
9:00過ぎに福島駅に到着。妙に緊張してきた。ドキドキ。
時間的に余裕があるのでトイレをここで済ませた。
雲は出ているが東京都同様に時折雨がぱらつく程度。
飯坂線に15分ほど揺られてバイク屋へ到着。
雑談を交えつつ清算。おせわになりました。
洗車したてのセローに預けていたキャンプ道具を積む。
出発間際におばちゃんがリンゴをくれた。
大きなリンゴ4つは結構な荷物になるが、ありがたくいただいておこう。

洗車してもらってるセロー君

洗車してもらってるセロー君

ピカピカですね、すぐ汚れますが…

ピカピカですね、すぐ汚れますが…

10:35、出発。雨はもう止んでいた。
まず向かったのは飯坂温泉。県道3号を北上。
ひさびさに乗るセロー。運転もどことなくぎこちない。
飯坂温泉は東北でも有数の温泉街だった。
しかし、今はもうかなり寂れてしまっているようだ。
入り組んだ路地を進み、10:50、玉手商店に到着。
名物・ラジウム玉子の元祖の店なのだが、見た目は小さな個人商店。
店に入るとゴチャゴチャ商品が陳列された奥で、おじいさんが卵を選別していた。
晩飯のおかず&御土産用にラジウム玉子(10個入り・530円)を購入。
ついでに作業中の写真を一枚撮らせて貰った。

飯坂温泉 元祖ラヂウム卵・玉手商店

飯坂温泉 元祖ラヂウム卵・玉手商店

ラジウム玉子になる鶏卵を選別中

ラジウム玉子になる鶏卵を選別中

続いて米沢方面へ。R13に合流して西へと山懐へ分け入ってゆく。
日当たりの好い山肌にはまだ紅葉が残っていた。
バイク屋で言われた指示に従い新車の慣らし運転同様、速度は抑え気味。
大型車に混じってまったりと走る。標高が上がるにつれて気温も下がってきた。
ネックウォーマーで顔の下半分をカバーしてはいるものの、ジェットヘルメットはやはり寒い。
2675mの東栗子トンネルを抜け、板屋大橋を渡って山形県に入った。
11:20、県道232号を左折し、姥湯方面へ至る県道へ。
うーん、どうも雲行きが怪しい。と思ったら雨がぱらつき始めた。
板谷峠の分岐からは姥湯林道のはずだが、ずっと舗装路が続く。

辛うじて紅葉が残る福島・山形の県境付近

辛うじて紅葉が残る福島・山形の県境付近

秋雨そぼ降る舗装林道を行きます

秋雨そぼ降る舗装林道を行きます

11:40、奥羽本線・峠駅の手前の分岐に到着。
ここから林道は姥湯温泉方面へと向かう未舗装路になるのだが全面通行止め。
残念だが、今回は無事に帰ることが最優先なので素直にUターン。
雨が本格的になってきたので下だけ雨具装着。国道に戻ったのは11:55。
寒い。福島の里では11度だった路面温度も峠付近では6度にまで下がっていた。
下り勾配になったR13をさらに西へと進み、12:10、米沢の盆地へ出た。
雨はもう完全に止んでいる。昼飯に米沢牛を食おう。
市街地を走り、12:20、『登(のぼる)』という店に到着。
明治27年創業の老舗・登起波が、よりカジュアルに米沢牛を食べてもらおうと開業した分店である。
注文したのは米沢牛を使ったすき焼風の牛鍋定食・肉大盛。お値段2500円。
これでも格安なのだ。ちなみに牛丼・並は1260円(!)。
やがて熱々の牛鍋が出てきた。
甘めの割り下で程よく煮込まれた牛肉を溶き玉子につけて食べる。
噛み締めて、その肉の柔らかさに驚いた。
肉本来の甘味がじゅわーっと口の中に広がる。こりゃうめー!
オカズが美味いので御飯もバクバクいけてしまう。一杯じゃ勿体無い。
おかわりして、周りを気にしながら残りの具と割り下と玉子をぶっかけ。
下品な食い方だが、これもやっぱうめー! 米沢牛最高!
会計時、おかわりした御飯の分はサービスしてくれた。「通常はいただきますが結構です」と。
ラッキー♪ …でもなぜだろ? 隠し切れない貧乏オーラのせいだろうか?

登起波分店・登 手頃な価格で米沢牛を提供

登起波分店・登 手頃な価格で米沢牛を提供

牛鍋定食・肉大盛 メチャ(゚Д゚)ウマー

牛鍋定食・肉大盛 メチャ(゚Д゚)ウマー

13:10、出発。県道2号で米沢市街を南下。
上杉神社にも寄ってみたかったが、またの機会にしておこう。
市街を抜けたところで県道234号へ合流。
綱木峠を超えるアスファルトの山道だが、路面は落ち葉で完全に覆われていた。
ダートよりもこういう舗装路が怖い。気をつけて走行。
北側に開けたポイントからは冠雪した蔵王が展望できた。

綱木峠付近より蔵王を遠望

綱木峠付近より蔵王を遠望

緑に赤に黄色に茶色…カラフルな山肌

緑に赤に黄色に茶色…カラフルな山肌

綱木の集落から道を一度間違えた後、13:55、鷹ノ巣山林道の起点に到着。
通行止めの簡易バリケードがあるが、おなじみモゴモゴ。
ひさびさの未舗装路だ。やっぱり落ち着くなぁ…。

迷い込んだ綱木の集落 小学校跡か?

迷い込んだ綱木の集落 小学校跡か?

鷹ノ巣山林道 4WDが通過してました

鷹ノ巣山林道 4WDが通過してました

鷹ノ巣山林道は米沢から裏磐梯に抜ける林道である。
ダートは約8km。峠の標高は1100m弱。路面はフラットで4輪車でも問題なし。
エンジンに負担を掛けぬようトコトコと紅葉を楽しみながら登ってゆく。
米沢方面を振り返ると白い蔵王は遥かに遠ざかっていた。

山肌をひたすら登ってゆきます

山肌をひたすら登ってゆきます

今は落ち葉、やがては雪に覆われるでしょう

今は落ち葉、やがては雪に覆われるでしょう

見晴らしのよい路肩スペースで一服

見晴らしのよい路肩スペースで一服

鷹ノ巣山林道より米沢方面を望む

鷹ノ巣山林道より米沢方面を望む

14:10、旧米沢街道の桧原峠から東にややずれる名無しの峠を超え福島県に戻ってきた。
桧原湖・磐梯山の眺望を期待していたのだが、余り景観がよくない。
熊笹と立木で視界は開けず。だがまぁ奥深い森独特の雰囲気もいいものだ。
14:20、再び簡易バリケードが現れ、そこで未舗装区間は終了。
裏磐梯高原は米沢側に比べて標高が高い。
その分、下りの急勾配の区間も短かった。

鷹ノ巣山林道 福島県側 展望は開けない

鷹ノ巣山林道 福島県側 展望は開けない

未舗装区間終了

未舗装区間終了

幕営できそうな場所を見繕いながら長井川沿いに桧原湖方面へと下ってゆく。
支流・迷沢沿いのピストン支線にも首を突っ込んでみたが、いかにも獣が出そうな雰囲気なのでパス。
それでも本線に何箇所か目ぼしい幕営ポイントがあった。

迷沢沿いの支線林道 熊が出そうな雰囲気です

迷沢沿いの支線林道 熊が出そうな雰囲気です

終点に近い砂防ダム この下流にも幕営ポイント

終点に近い砂防ダム この下流にも幕営ポイント

終点にもう一つバリケードがあり、14:40、林道終点。
桧原湖畔へ出て磐梯山の眺めにいきなり圧倒された。
とりあえず県道64号を左折。桧原湖北岸を反時計回りに進む。

鷹ノ巣山林道終点

鷹ノ巣山林道終点

裏磐梯高原・桧原湖より磐梯山を望む

裏磐梯高原・桧原湖より磐梯山を望む

早稲沢温泉の集落で県道2号=西吾妻スカイバレーを左折。
米沢に抜ける絶景の山岳道路なのだが残念ながら積雪のため通行止だった。ちぇ。
しかし、それも仕方あるまい。右手に聳える西吾妻山も頂は真っ白だ。
明日、有料道路の磐梯吾妻スカイラインを走る予定だが大丈夫かな?

西吾妻スカイバレーは積雪のため通行止

西吾妻スカイバレーは積雪のため通行止

西吾妻山(2035m)も冠雪してました

西吾妻山(2035m)も冠雪してました

幕営までの予定が空いてしまったので桧原湖一周することにした。
僕は水辺を走る場合、半島・島は時計回り、湖・河川は反時計回りを心掛けている。
その向きだと左側へ停車したときに岸辺が近くなるからだ。
ってことで、県道64号で桧原湖の北岸から西岸を巡る。
磐梯山や吾妻山のビューポイントでいちいち立ち止まりながらのんびり走った。

桧原湖西岸より磐梯山を遠望

桧原湖西岸より磐梯山を遠望

こちらは西吾妻山 泰然自若としてますなぁ

こちらは西吾妻山 泰然自若としてますなぁ

15:20、道の駅・裏磐梯ビューパークで小休止。
10台ほどのバイクの集団が居た。こんな時期に物好きな。
トイレを済ませ、農産物直売所で椎茸を一袋購入。

道の駅・裏磐梯ビューパーク

道の駅・裏磐梯ビューパーク

ここから道はR459になる。桧原湖南岸を東へ。
明日走る予定の磐梯山ゴールドラインのゲートがあったが、走行に問題はなさそうだ。
ここから五色沼へと至るエリアが裏磐梯の中心で最も賑わっている。
16:00、公衆トイレで水を汲み、剣ヶ峰付近のコンビニで買出しを済ませた。
県道2号を右折して桧原湖東岸を北上。
沈んでゆく夕日を横目に見ながら、再び鷹ノ巣山林道へ舞い戻った。
砂防ダム下に目星を付けていたのだが、傾斜してるし明け方冷え込みそうだ。
16:25、桧原湖寄りに手頃な空き地があったので、そこを幕営地に決定。
テントを張り終えた頃には、もうすっかり暗くなっていた。
17:15、早稲沢の集落へ行き給油。最近のガソリンの高騰は痛い。
さらに温泉。近くの民宿・えんどうが日帰り湯もやっていた。入浴料500円。
掛け湯を済ませて露天風呂へ。硫黄の匂いがツンと鼻を刺す。
強張った体を揉み解しながら、18:00までのんびりと入浴。
帰りしなバイクの鍵が見つからず一人であせったが、いつもと違うポケットに入れてただけだった。
とほほ。

早稲沢温泉 民宿えんどう

早稲沢温泉 民宿えんどう

18:15、湯冷めしないよう、幕営地へ戻るやいなやテントの中へ。
ビールと乾き物で晩酌しながら、前室で椎茸のバター炒めを作る。
火が通った頃に日本酒に移行。チビチビ、グビグビ。
セオリー通り、アルコールで寒さに対抗した。

本日の買出し品~♪

本日の買出し品~♪

椎茸のバター炒め 手軽で美味い

椎茸のバター炒め 手軽で美味い

夕飯は椎茸炒めにホテイの焼き鳥を追加投入したものがメインのオカズ。
炊き立ての白飯の上にぶっ掛けて、ラジウム玉子を割りいれた変則親子丼。
ジャンクな味で美味い。今夜一晩の熱源として頑張って欲しいものだ。

飯坂温泉名物・ラジウム玉子 (゚Д゚)ウマー

飯坂温泉名物・ラジウム玉子 (゚Д゚)ウマー

温泉玉子と缶詰焼き鳥の変則親子丼なり

温泉玉子と缶詰焼き鳥の変則親子丼なり

食べ終わって、いそいそと寝袋へ潜り込む。
ダウンインナーの上下を着込み、ハクキンカイロも胸に忍ばせた。
土曜日夜のこの時間、NHK第一放送の携帯短歌を耳にしながら、ヌクヌクとまどろむ。
夜半、さらに寒くなってきて目が覚めた。安眠を求めて装備追加。
もう一枚フリースを着込み、雨具下半身を付け、使い捨てカイロ二個を足首に。
これで朝まで安眠できた。東北の晩秋は関東の真冬並みに辛いのだ。



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