さらば、わが愛車 – 蔵王別機


時不利兮騅不逝  時利あらず 騅逝かず
騅不逝兮可奈何  騅の逝かざる 奈何すべき
    – 司馬遷 「史記・項羽本紀」より –

5:30、起床。
深夜に降った強めの雨はもう止んでいた。
駐車場にドリフト族も来ていたが、耳栓のおかげで熟睡できた。
朝食は茹で麺を炒めた簡易ペペロンチーノとリンゴ一個。
ogawaysさんはまだ寝てるのか、起き出して来ない。
テントを撤収し荷物を積んで、7:40出発。

こんな朝食です 納豆無し

こんな朝食です 納豆無し

西蔵王公園キャンプ場 今度から予約しようね…

西蔵王公園キャンプ場 今度から予約しようね…

県道を経由し山形市街でR13に合流。
南下しつつ、途中のコンビニでトマトジュース購入&ゴミ処理。
東の蔵王も西の朝日連峰も山頂付近は雲に隠れて見えない。

山形市街より朝日連峰を遠望

山形市街より朝日連峰を遠望

8:10、県道12号=蔵王エコーラインを左折。
山麓を登る直線は、やがてワインディングに変わる。
山形市街を見下ろしながらウネウネ登って、8:25、芳刈林道の分岐に到着。
林道標の表記によると約6kmの道程である。
全面通行止めの看板が出ているが行ってみよう。
(※ 今回の蔵王南麓林道群はこちらのサイトを参考にさせていただきました)

芳刈林道 蔵王エコーライン側道標

芳刈林道 蔵王エコーライン側道標

通行止らしいですが行ってみましょ

通行止らしいですが行ってみましょ

靄の立ち込める暗い林間を下ってゆく。
路面はフラット。マイナスイオンたっぷり。
8:35、道の真ん中に巨大な落石があった。
ここが通行止めの箇所らしいが、バイクなら十分脇抜け可能。

暗い雰囲気の林間を下ります

暗い雰囲気の林間を下ります

雲が低く立ち込めて展望悪し

雲が低く立ち込めて展望悪し

でっかい岩が道を塞いで邪魔してました

でっかい岩が道を塞いで邪魔してました

反対側にも通行止の警告が

反対側にも通行止の警告が

やがて菖蒲川沿いの道になり勾配もなだらかに。
ヨシカリ沢との合流地点付近に「野辺沢林道」と書かれた道標があった。
区間によって林道名が変わるのだろうか?
最後は舗装路面になり菖蒲川ダムの脇を抜けて走行終了。
8:50、県道263号を右折して次の林道へと向かう。

菖蒲川沿いになると雰囲気も明るくなります

菖蒲川沿いになると雰囲気も明るくなります

野辺沢林道?ここからの区間限定の呼称かな?

野辺沢林道?ここからの区間限定の呼称かな?

県道263号を3km余り東へ進むと古屋敷と呼ばれる古民家群が現れた。
ニッポン国 古屋敷村』というドキュメンタリー映画が撮影された集落らしい。
県道から遠めに写真を撮影しただけでスルー。

古民家の集落・古屋敷

古民家の集落・古屋敷

こちらのお宅は人の気配無し…

こちらのお宅は人の気配無し…

9:00、南蔵王林道の起点に到着。
通行止めなどの看板は皆無。宮城側まで行けそうだ。
しばらく進むとすぐ未舗装路になった。
宮城県境の峠に向けて林間のワインディングをひたすら登ってゆく。
雰囲気が暗いが、フラットで走りやすい路面である。

南蔵王林道起点 峠まで約8km

南蔵王林道起点 峠まで約8km

杉林のフラットダートをひたすら登れ

杉林のフラットダートをひたすら登れ

峠が近くなると林道の周りは雲だらけに。雨もパラついてきた。
山形側に開けているのだが視界は最悪。景色はさっぱり。
9:25、舟引山の峠に到着したが、風が強くて結構寒い。
標高は1100m強。ここまでで約8km。

峠が近づくにつれ行く手は雲に遮られ…

峠が近づくにつれ行く手は雲に遮られ…

山形盆地の素晴らしい展望は何処?

山形盆地の素晴らしい展望は何処?

峠に到着 ここいらで一息

峠に到着 ここいらで一息

蔵王南麓の森 寒々しい光景ですなぁ

蔵王南麓の森 寒々しい光景ですなぁ

峠から分岐した尾根道=舟引林道を北上したが、2kmほどで行き止まり。
終点にはジムニーが一台停められ、左手に登山道が伸びている。
横川堰という江戸時代に由来する水路もあった。

舟引林道 フラットダート約2km

舟引林道 フラットダート約2km

舟引林道終点 左に流れているのが横川堰

舟引林道終点 左に流れているのが横川堰

峠に戻って9:40。宮城側の下り勾配へ進む。
ここから先は不忘山林道という林道となる。
南蔵王林道から一転してかなり荒れた路面。幅員も狭い。
だが交通量は意外と多いらしく、何台か四輪車とすれ違った。

右が宮城県側に下る不忘山林道 左が舟引林道

右が宮城県側に下る不忘山林道 左が舟引林道

両側から草が覆いかぶさり幅員狭し

両側から草が覆いかぶさり幅員狭し

沢の倒木も迫力あります

沢の倒木も迫力あります

路面もかなり荒れ気味です

路面もかなり荒れ気味です

沢沿いまで下ると路面も幅員もやや走りやすくなった。
カーブも少な目の踏み固められたダートを進む。
9:55、とある橋の袂にYAMAHAのトレール車・MR80というバイクが停まっていた。
釣り人だろうか? ナンバーが無いが…まぁ突っ込まないでおこう。

不忘山林道 沢沿いは比較的フラット

不忘山林道 沢沿いは比較的フラット

ヤマハトレールMR80 渋いなぁ…

ヤマハトレールMR80 渋いなぁ…

とうとう雨が降り始めました

とうとう雨が降り始めました

対岸の土砂崩れ 凄いっすねぇー

対岸の土砂崩れ 凄いっすねぇー

その後も川沿いを良いペースで下り続けた。
10:10、終点まであと5kmくらいか。
…ん? なんだあの看板?

「2km先全面通行止」 ( ゚д゚)ポカーン

「2km先全面通行止」 ( ゚д゚)ポカーン

マジ? ここまで何のアナウンスも無かったじゃねーか!!
Uターンして峠を再び越えるなんて考えただけでうんざりである。
だめもとで前進。不安な中、10:15、現場に到着。
路肩の作業なのでバイクが通る余白は十分ある。
普通に通してもらえて一安心。なーんだ、びびって損した。

不忘山林道工事現場 通過も問題なし

不忘山林道工事現場 通過も問題なし

そこから先は大型車も往復する走りやすい路面。
ダンプとのすれ違いが多く、その点だけに気を使う。
10:25、終点に到着。峠からここまでは13km余り。
ふぅ、長かったー。

土砂を運ぶダンプ多し すれ違いに注意

土砂を運ぶダンプ多し すれ違いに注意

不忘山林道 宮城側分岐

不忘山林道 宮城側分岐

県道51号を左折して宮城蔵王方面に進む。
GPSを便りに白石スキー場方面に左折。
南蔵王高原を登って、10:40、神嶺林道の起点に到着した。
北海道を髣髴とさせる幅広フラットダートに早速突入。
見通しもよく快適な走行を楽しめるが、交通量が多い。
4WD車は勿論、ジョギングで走ってる人もいた。

スキー場の脇から未舗装路をしばらく進んで…

スキー場の脇から未舗装路をしばらく進んで…

神嶺林道起点 延長約9km

神嶺林道起点 延長約9km

支線も多いが今回はパス

支線も多いが今回はパス

本線南区間はとにかく真っ直ぐ

本線南区間はとにかく真っ直ぐ

林間のフラットダートを北上し続け、10:55、結構ちゃんとした川渡り。
カブでどこかへ…』さんの真似をして写真を撮ったら、靴がびしょ濡れになってしまった。
この辺りからバイクから聞こえる音がちょっとおかしくなる。
チェーンがたるみが出発前から気になっていたが、そのせいかなぁ…。
終点が近づくにつれ、幅員は狭く、路面も浮き砂利で走りにくくなってきた。
11:00、走行終了。えぼしスキー場へ至る幅広道路に出た。

川渡り 写真撮影で靴びしょ濡れ

川渡り 写真撮影で靴びしょ濡れ

神嶺林道 えぼしスキー場側の分岐

神嶺林道 えぼしスキー場側の分岐

なだらかなアスファルトを下って、R457を左折。
こけし橋を渡り、11:15、県道12号=蔵王エコーラインへ。
三連休で交通量が多い。車列に混じって長い長いワインディングを登ってゆく。
標高が上がるに連れてバイクの異音がさらに激しくなってきた。
時々路肩スペースに停めてチェーンをチェック。
まぁ、今日一杯持てばいいや。戻ったらすぐ交換しよう。

蔵王エコーライン 宮城側入口

蔵王エコーライン 宮城側入口

11:30、滝見台に到着。
蔵王山麓の深い森を白く切り裂く幾筋かの瀑布を遠望。
うーん、絶景だ。白石方面の展望も素晴らしい。

三階滝に白龍の滝 写真右外には不動滝も

三階滝に白龍の滝 写真右外には不動滝も

滝見台より日本百名瀑のひとつ三階滝を遠望

滝見台より日本百名瀑のひとつ三階滝を遠望

11:45、駒草平の展望所に到着。バイクを降りて蔵王山を眺める。
山頂部分は雲の中だが、見える範囲だけでも十分にその迫力は味わえた。
不帰の滝の眺めも良いなぁ。ついでに売店で玉こんにゃく150円も食べた。

駒草平より白石方面を眺望

駒草平より白石方面を眺望

不帰の滝 蔵王最高峰・熊野岳は雲の彼方

不帰の滝 蔵王最高峰・熊野岳は雲の彼方

駒草平展望台 崖上で風強く、ちと怖い

駒草平展望台 崖上で風強く、ちと怖い

定番・玉こんにゃく (゚Д゚)ウマー

定番・玉こんにゃく (゚Д゚)ウマー

念のため山形との県境・刈田峠まで行ったが、やはり雲で展望無し。
火口湖・御釜へ至る有料道路もあるが無駄足になりそうなので辞めといた。
12:00、峠でUターンして里へと降る。途中、大黒天の展望所に立ち寄った。
12:30、大鳥居に再び戻り、R457を右折。こけし橋を渡って、そのまま白石市街へ向かう。

蔵王ハイライン この雲じゃ行くだけ無駄でしょう

蔵王ハイライン この雲じゃ行くだけ無駄でしょう

蔵王山腹に祀られている大黒天

蔵王山腹に祀られている大黒天

刈田岳から御釜へと続く荒涼とした風景

刈田岳から御釜へと続く荒涼とした風景

大黒天からの展望 うーん、良い眺め♪

大黒天からの展望 うーん、良い眺め♪

13:00、白石市街のううめん茶房・清治庵に到着。
白石名物・温麺(うーめん)の製造元が直営している店である。
注文したのは「けんちんううめん」800円。
餅が入っていて、野菜たっぷり。結構ボリュームがある。
素麺に似ているが油を使わず短く裁断されているのが温麺の特徴らしい。
具と汁に馴染みスルスルと胃に収まる。うむ、美味い。お土産もここで購入。

ううめん茶房・清治庵

ううめん茶房・清治庵

白石温麺(うーめん) カナリ(゚Д゚)ウマー

白石温麺(うーめん) カナリ(゚Д゚)ウマー

13:35、出発。
R4を北上し、13:45、白石ICから東北自動車道へ乗った。後は帰宅するのみだ。
東京まで約300kmという距離だが時間的にだいぶ余裕があるはず。
福島との県境、国見SAで給油を済ませて万全な状態。
「今回は大きなハプニングはなかったなぁ♪」と思ったが、大間違い。
このSAを出発してからエンジンの異音が一層大きくなった。
「東京までもってくれよ、エンジンちゃん。」
ポルコ・ロッソ風の呟きも空しく、時刻は14:20。国見ICを過ぎて7kmの地点。
異音がさらに大きくなり速度が落ちた。と、エンジンから「カコーン」と破裂音が!
Σ(゚口゚; やばっ!!
加速感が全くなくなり速度は急低下。
咄嗟にクラッチを切って左ウインカーを点灯する。
後続車に注意しながら路肩へ寄せ、ハザードを出して無事停車。ふぅ。
セルは回るが再始動の気配なし。ただのしかばねのようだ…。
こうなったらどうしようもない。最寄の非常電話まで押して歩き、JAFを呼ぶ。
「50分ほどで到着します。安全な場所でお待ち下さい」
9月午後の強い日差しに照らされながら待つこと小一時間。
携帯電話で掲示板に書き込みなどして無聊を紛らす。
15:20、ようやく大型の運搬車がやってきた。
「後はおまかせください」と二人がかりでテキパキとセローを積む。

幸か不幸か高速道路にてエンスト

幸か不幸か高速道路にてエンスト

JAFに運ばれるセロー君(BGM:ドナドナ)

JAFに運ばれるセロー君(BGM:ドナドナ)

助手席に乗せてもらって最寄の福島飯坂ICを降りた。
さて、ここから近くのバイク屋へ持っていくわけだが、僕には勿論当てが無い。
JAFなら持ち込む先が決定してるのでは、と思ったがどうも違うようだ。
二人が提携業者の人脈を駆使して当たってくれた。
休日なのでなかなか営業中の店が見つからない。
30分ほども探して、とあるバイク屋さんが持ち込みを承諾してくれた。
16:20、バイク屋に到着。セローを荷台からおろしてJAFは業務完了。
ここまでの搬送費用23000円をクレジットカードで支払う。うーん、痛い。
バイクの状況だが、後日調べてみないと判らないらしい。
陸送という手もあるが、その店で直してもらうことにした。
キャンプ道具もついでに預かってくれるとのこと。ありがたい。
必要最低限の荷物を手に持ち、福島交通・飯坂線の最寄駅へ。
16:40、単線・二両編成のローカル電車で福島駅へと向かう。

「何の因果でこんなとこで電車に揺られているのやら…」
なんて思いつつ、17:10、福島駅に到着。東京まで新幹線の切符を買う。
時間が余ったので軽く食べて行こうと立食蕎麦屋へ。
名前に釣られて『ラジウムそば』の食券を購入。何かと思ったら温泉玉子が入っていた。
帰宅後、その由来を調べてみた。
福島の飯坂温泉は、日本で初めてラジウムの存在が確認された温泉らしい。
そこの名物として、いわゆる温泉玉子がラジウム玉子という商標で売られ始めた。
それ以来、福島市周辺では温泉玉子を指す一般名詞としてラジウムという呼称が浸透しているようだ。
そういえば、JAFのスタッフも車内で「あそこのラジウムが美味い」とか会話してたな…。
よくわからないまま、偶然出会ってしまったローカルB級グルメ。転んでもただでは起きぬ。
17:34発のMAXやまびこに乗り、福島に別れを告げて東京へ。

ラジウム玉子(温泉玉子?) (゚Д゚)ウマー

ラジウム玉子(温泉玉子?) (゚Д゚)ウマー

ひしゃげた表情のMAXやまびこ

ひしゃげた表情のMAXやまびこ

新幹線の中は殆ど居眠り。
東京駅で中央線に乗り換えて、20:00帰宅。
あー、精神的に疲れた。
セローはどうも、エンジンブローだったようだ。
ピストンは砕け、バルブはねじ曲がっていたらしい。
シリンダ・ピストン全交換だが主要部品が欠品のため、取り寄せだけで一ヶ月…。
うーん、この秋のツーリングは諦めなきゃならなそうだ。



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