なごり雪


夜半過ぎ。
尿意を催してテントから起き出すと、雨はすっかり上がっていた。
水洗トイレまで夜道を歩きながら、ふと見上げれば満天の星空。
晴れ晴れとした気持ちで用を足した。
…ついでに物音でウメネコ夫妻を起こしてしまったようで…すみません…。
翌朝も明るくなる頃に目覚めてしまった。
雨に濡れた荷物をテントの中でガサゴソとジップロックで密封しながら、モタモタ撤収。
朝食は昨日の残りのトマトとチーズとジュースのみで済ませた。
7:20。お休み中のウメネコ夫妻のテントに会釈して出発。
(物音・エンジン音ですでに起こしてしまってたような気もしますが…)

東山森林公園 雨を避けようと炊事場の脇で野営

東山森林公園 雨を避けようと炊事場の脇で野営

晴れるだけで、とにかく嬉しいのだ!!

晴れるだけで、とにかく嬉しいのだ!!

R13に出て、少し南下。
道なりに進んで、 R108との分岐を鳥海町方面に進んだ。
晴れてるとはいえ、朝はさすがに寒い。
長いトンネルをくぐって鳥海町に入ると、ちらちらと鳥海山の白い頂が時折垣間見えるようになった。
下り坂のワインディングを進み、県道50号=鳥海矢島線を左折。
鳥海山への登山口と名瀑・法体の滝への案内が目印だ。
鳥海山の山容もはっきりと見え始める。晴れてよかった~。
これまた出羽富士や秋田富士とよばれるだけあって実に美しいすり鉢状の名山だった。
大清水園地の案内に従って県道を外れ、水田を通る立派な舗装路をしばらく進み、何度か右左折。
8:15、手代林道の入り口に到着した。

鳥海山 別名・出羽富士または秋田富士

鳥海山 別名・出羽富士または秋田富士

手代林道入口 少々分かりにくいです

手代林道入口 少々分かりにくいです

この林道、鳥海山の登山口でもある大清水園地を経て山形側に抜ける東北屈指のロングダートなのだ。
峠を越えた山形県側は奥山林道と呼ばれ、あわせて奥山手代林道と呼ばれることもある。
このルートを使って山形の酒田に抜け、山形自動車道で帰路に着く、という寸法である。
しばらくは勾配のない林間の平坦な道が続く。
途中の分岐を右折し沢を渡ると、屈曲した登り勾配に。
登山客なのか山菜目的なのか、交通量が結構多い。
登坂路に入ってすぐ、前を行く4WD車に追いついてしまい、しばらく4輪のペースに合わせてマッタリ進んだ。
駐車スペースでハザードを出してくれたので、ありがたく追い越させていただく。

手代林道の途中にある分岐

手代林道の途中にある分岐

このあたりは名水源の宝庫 川も綺麗です

このあたりは名水源の宝庫 川も綺麗です

高度が上がるにつれて、路肩に雪の壁が現れ始める。
路面を除雪した分も含まれてるのだろうが、それを差し引いてもさすが豪雪地帯だ。
除雪作業をしてなかったら、この季節でもかなりの厚さの残雪なんだろうなぁ…。
8:40、大清水園地に到着。鳥海山の五合目の登山口でもあり、山頂が間近に見えた。
駐車場にバイクを止めてトイレ&名水目当てに少し歩く。
太陽もだいぶ高くなり、歩くと少し暑いくらい。
テントサイトもあったが夜は寒いだろうなぁ…。

鳥海山山頂がドーン!と眼前に

鳥海山山頂がドーン!と眼前に

名前の通り、清冽な湧き水が汲めます

名前の通り、清冽な湧き水が汲めます

水芭蕉がひっそりと日向ぼっこ

水芭蕉がひっそりと日向ぼっこ

フキノトウは隊列組んでました

フキノトウは隊列組んでました

さぁ、ここから少し進めば峠でその先は山形だ。
高速道路に乗るまで、残りの未舗装路を楽しむぞ~!!
っと、林道に戻ってしばらく進むと、

え?

え?

えぇぇぇっ!?

えぇぇぇっ!?

かなりの厚さの残雪が完全に道を覆っていた…_| ̄|○
なんということだ。除雪は登山口までしかやってなかったのだ。
「これはおいしいネタ…」とも思えたが、ちょっと、否、かなりやばすぎる。
轍が一歩あることはあるが…普通に考えてこれは走行不能だろう。
一応、バイクを降りて偵察してみたが、この先の区間は残雪が放置状態らしかった。
峠を越えたら下り勾配。勿論、ガードレールは期待出来ない。
チェーンも無く荷物満載で進むのは自殺行為に等しいよなぁ…。

偵察した先も当然のように残雪区間が…

偵察した先も当然のように残雪区間が…

「ここ行くの…?」と不安気なセロー君

「ここ行くの…?」と不安気なセロー君

無理っ!! 撤退ッ!!
明日は東京でいつも通り仕事だってのに、こんなとこで命掛けてられないっ!
ってか、ここ抜けても体力消耗して高速道路が危険過ぎ!!
ってことで残念だがUターン。時刻は9:10。
作業に来た営林署の方々とすれ違いつつ手代林道を下り、県道まで戻った。
轍を残していた勇者のように、いつか自分もああいった雪道を踏破したいものだ。
さて。このルートが使えないとなると、西へ進んで鳥海山を大きく迂回するか、東へ進んで宮城に出るか…。
バイクを止めてしばし検討すること数分。選んだのは前者。
地図を見た感じでは近そうだったのだが、実際は鳥海山の中腹をうねうね走る悪路を含めて、かなりの距離になってしまった。
県道70号を終点まで走って県道58号を左折。
そこからはまた鳥海山の登山道に向かって高度を上げるワインディング。
ブナの原生林を抜け、登山口の入口手前で県道に沿って左折。
このとき「全面通行止め」という看板もあったが、丁度向こうから来たドライバーに通行できることを確認した上で進んだ。
コブシ大の落石がちらほら邪魔する狭い悪路のつづら折り。
どうにも神経を使う道だったが、二つばかり峠を越えてようやく快走路と呼べる道に出た。
長かったー。

道端に咲いていた谷空木(タニウツギ)

道端に咲いていた谷空木(タニウツギ)

違う角度から見た鳥海山 雲が出始めた

違う角度から見た鳥海山 雲が出始めた

県道58号をそのまま西走。
オンロードのツーリングスポット・鳥海ブルーラインをあえて避け、R7に出て日本海岸を南下した。
山形と秋田の県境を超え、道の駅・鳥海に到着したのが11:30ごろ。
さすがにお腹が空いていたので、蕎麦を食す。とくに何の変哲もない蕎麦だった。
食事とトイレ休憩を済ませて出発。
R345を左折し、山形自動車道の酒田ICを目指して庄内平野を進んだ。
この角度からの鳥海山の景観を楽しみにしていたのだが、残念ながらは雲に覆われてしまっていた。
風が出て来たのも少し気になる。。

田んぼの向こうに鳥海山(の裾野)

田んぼの向こうに鳥海山(の裾野)

庄内平野 どこまでも広がる水田

庄内平野 どこまでも広がる水田

高速に乗る前に給油したいと思ってたのだが、GSがなかなか見つからなくてちょっとあせった。
遠くから発見したJAのGSで満タンにして、酒田みなみICから山形自動車道へ。
途中、迂回区間があるためか、何度も料金所が現れて、その区間ごとの料金を払わされた。
バイクにとってはわずらわしいことこの上ない。早く二輪用のETCが実用化されないものだろうか。
ちなみに酒田みなみICから埼玉の川口までは約473km。

出羽三山の一つ、月山を遠望 さらば東北!

出羽三山の一つ、月山を遠望 さらば東北!

どれくらい走ったろうか。月山をはじめとする出羽三山を過ぎ、宮城県内へ。
仙台の南、村田JCTで東北自動車道に合流。埼玉の川口までは約300km。
50km毎にSAで休憩しながらでも、数時間で問題なく到着できるだろう。
と思った矢先。福島県内に入り始めた頃から、雨が降り始めた。。
安達太良SAのあたりからは土砂降り!!(つД`)
脇を大型車が通ると水しぶきの壁が覆いかぶさってくる。
SAを見つけるごとに避難して、天気予報をチェックするが、東京までずっと雨の様子…。
栃木に入ったあたりで日が暮れたが、一向に降り止む気配は無い。
左手は雨に濡れたシールドを常時拭わなきゃならないので、ずーっと片手運転。
夜間、豪雨の高速道路…恐いよー。。
埼玉のあたりからようやく雨脚も弱まり、川口ICではもう止んでいた。
最後の最後まで雨に降られて、東京の自宅に到着したのは21:30。
楽しかったけど疲れたー。よくぞ無事で帰ってこれたものだ。
ってか、よく考えたらこの五日間、毎日雨に降られてたっ!!。・゚゚・(∩Д`)・゚゚・。
台風に始まり、雨・風・雪・霧・雲…( ̄-  ̄ ) ンー
同じコースに雨男でもいたのかなぁ?? だとしたら迷惑だよねぇ。
まぁ、今度行くときは、防寒装備と雪道用チェーン必携ってことで。。



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