みちのくひとり旅


さて、北東北ツーリングの三日目。
6:00に起床。6:30、サービスの和風バイキングで朝食。
納豆・卵ご飯が嬉しい。 ちゃっちゃと着替えてチェックアウト。
7:00、出発。弘前の町を抜け、R102を十和田湖方面に進んだ。
雨は降っていなかったが、とにかく寒い。10度以下は確実だ。
山間部に入る手前で給油。山中に入ると気温はさらに下がり、霧も出始めた。
1時間ほど走ったあたりにあった駐車スペースで早くも休憩。寒いのでトイレが近くなる。
こちらの公衆トイレは入り口にドアの付いているところが多い。
寒風や雪を防ぐためなのだろう。
そういえば、自動車用の信号機も縦長のものばかりだ。雪の重さを減らすために違いない。
旅に出ると妙なところで感心してしまって面白い。

ここの公衆トイレは個室に暖房までありました

ここの公衆トイレは個室に暖房までありました

ガードレールも積雪で湾曲(秋田にて)

ガードレールも積雪で湾曲(秋田にて)

ついでに信号機の違い

関東     東北    
 ____________
||(○○○)
||
||

   ___
    ||○
    ||○
    ||○
    ||

8:00過ぎ。十和田湖まで到着したが、霧で景観はさっぱり。おまけに小雨まで降り出す始末。
途中、外気温が表示されていたが、なんと5.3℃!? もう5月も下旬だというのに寒いわけだ…。
湖畔の南側をぐるりと半時計回りに巡ったが、寒くて暗くてどうにも陰気。
静寂そのものの山上湖はなんとなく不気味だった。

十和田湖 南岸の展望台から中山半島を望む

十和田湖 南岸の展望台から中山半島を望む

こちらは御倉半島 雨雲が垂れ込めてます

こちらは御倉半島 雨雲が垂れ込めてます

子ノ口で十和田湖の東岸を離れ、R102沿いに流れる奥入瀬渓流を八甲田方面に北上。小雨は止んだが霧は相変わらず。
この区間は道路の脇を路面とほぼ同じ高さで美しい渓流が流れている、かなりお勧めのルートだ。
家族旅行の観光客もさすがに多い。僕も途中でバイクを留めて、しばし渓流美を堪能した。

奥入瀬川 十和田湖から太平洋へと流れ出ます

奥入瀬川 十和田湖から太平洋へと流れ出ます

溢れる水が五感全体を通して癒してくれる

溢れる水が五感全体を通して癒してくれる

奥入瀬川の本流を離れ、八甲田の山麓をうねうねと登り始めたら、ますます霧が濃くなってきた。
雨より霧が嫌なのはヘルメットのシールドの内側にまで水滴が付いてしまうこと。
時々停車してヘルメットを脱ぎ、内側を拭いながらノロノロ進んだ。
谷内湿原で右折してR394、さらに進んで左折、県道40号線へ。
道案内の標識も濃霧に遮られているため交差点の間近まで行かないと分岐が分からない。
本当なら北八甲田の山々の景観を楽しめるのだろうが、数十m先までしか見えない状況じゃ、楽しくもなんともない。

八甲田 濃霧に遮られて何も見えません

八甲田 濃霧に遮られて何も見えません

田代平湿原 霧というより雲の中ですね

田代平湿原 霧というより雲の中ですね

さて、八甲田山と言えば雪中行軍による遭難の悲劇が有名だ。
新田次郎原作の小説が映画化もされた。
その映画「八甲田山」で使われた軍歌「雪の進軍」そのままに、濃霧でどれが河やら道さえ知れずって状況である。
とりあえず、遭難の記念碑や銅像がある場所へ向かった。
10:30到着。寒い寒い。銅像まで歩いて見学。少し体がほぐれた。

銅像茶屋 って直球ストレートな名前!

銅像茶屋 って直球ストレートな名前!

歩兵第五連隊 後藤伍長銅像

歩兵第五連隊 後藤伍長銅像

さて。
八甲田の次は下北半島方面に向かうつもりだったが、ルートとして想定していた県道242号線が冬季閉鎖されていた。
未舗装路で楽しみにしていたのだが、残雪や霧が怖いのでここは素直に諦めて国道を使うことに。
っと、その前に体を暖めるため、また温泉に。県道の入り口にあった八甲田温泉・遊仙に立ち寄った。
500円払って入浴。硫黄臭が体によさげな雰囲気を醸す。
露天風呂がかなりぬるかったのは気温のせいだろうか。
風呂からあがって、ついでに昼食。
たのんだメニューは味噌カレーラーメン、700円。
温まりそうな名前で選んでしまった。
ゆですぎの麺をハフハフ食べて休憩終了。11:40出発。

八甲田温泉・遊仙 ひなびた秘湯って感じです

八甲田温泉・遊仙 ひなびた秘湯って感じです

県道242 5/24まで冬季閉鎖って…明後日じゃん!

県道242 5/24まで冬季閉鎖って…明後日じゃん!

R394に戻って七戸へ出て、R4に合流。
少し北の野辺地で分岐するR279をむつ方面に。
いよいよ下北半島だ。陸奥湾の海岸沿いをひたすら北上。
80km以上でほぼ直線の道をひたすら、ひたすら…。
下北半島はやはりでかい…。走ってるうちにまた体が冷えて来た。
菜の花畑の中にあった道の駅・よこはまで小休止。13:45。
名物のホタテを使ったホタテ汁300円でまた体を温めた。(←どうやら暖を取るってのが食べる言い訳らしい)

道の駅・よこはま 菜の花プラザ

道の駅・よこはま 菜の花プラザ

ホタテ汁 ちょっとだけHP回復

ホタテ汁 ちょっとだけHP回復

14:30、むつ市に到着。そのまま市街地を抜け恐山方面に県道を進む。
市街から4kmほど走ったところで小さな橋の脇の未舗装路を右折。
恐山の山麓を渓流沿いに走るドアノ沢林道という林道である。
雨上がりでたくさんある水溜りをなるべく避けながらも、セローを泥だらけにして進んだ。
途中から沢の脇(それがドアノ沢だろうか)を登り勾配で進み、30分強で恐山の外輪山を走る県道に出た。

ドアノ沢林道 入り口

ドアノ沢林道 入り口

出口でお地蔵さんがお出迎え…さすが恐山…

出口でお地蔵さんがお出迎え…さすが恐山…

そのまま県道を恐山の中心にあるカルデラ湖・宇曽利山湖方面に進んだ。
下りのワインディングを抜け視界が開けると、そこはもう黄泉の入り口。。
湖の波打ち際では硫黄臭の噴煙がもくもくと立ち昇り、三途の川の袂にあるお地蔵さんの前にはうずたかく石が詰まれ、風車が回っている。
霧も垂れ込めていて、この地を訪れるには絶好のコンディションだった。ここだけに限るが…。

三途の川 盛り上がってまいりました

三途の川 盛り上がってまいりました

宇曽利山湖 硫黄臭と噴煙とカラス…

宇曽利山湖 硫黄臭と噴煙とカラス…

湖畔を少し進んで恐山菩提寺に到着。15:30。
慈覚大師開山の古刹なのだが、もはや地獄をモチーフにしたテーマパークといった感じ。
観光客がちらほらいたが、さすがに寒い日なので名物の「霊場アイス恐山盛り」は売ってなかった。
入山料500円を払うのをケチり、山門前で雰囲気だけ味わった。

恐山菩提寺 平日で観光客はまばら

恐山菩提寺 平日で観光客はまばら

山門左手の風景 荒涼として不気味です

山門左手の風景 荒涼として不気味です

三途の川=正津川まで戻って左折し、川沿いを進む。
宇曽利山湖に源を発し津軽海峡に流れ出る正津川。
山上湖から海へ注ぐという点では奥入瀬川と同じなのだが、どうもその違いは大きい。
河岸の岩は黄色く滲み、煙がそこかしこから沸いていた。
しばらく進んで分岐を右折し正津川林道へ。
水溜りや渓谷美よりも林道脇の地蔵が気になった…。

正津川 癒されません…

正津川 癒されません…

正津川林道

正津川林道

いきなり林道に地蔵があるとびびります

大畑でR279に合流。右手に津軽海峡を見ながら北上。
いよいよ本州最北端が近づいてきた。台風の影響も残って海はやや荒れ模様だ。
そして16:30、本州最北端の大間崎へ到着。カモメがうじゃうじゃ飛んでいる。
最南端の潮岬とあわせての達成感は大きい。
日本の端々を目指すバイク乗りが増えるのがよく分かる気がする…。

本州最北端 大間崎

本州最北端 大間崎

津軽海峡 この向こうに北海道が…

津軽海峡 この向こうに北海道が…

最北端の碑の目の前には土産売りの店が沢山出ていた。
大間はマグロの一本釣りで有名な町で、マグロを中心にした海産物が多い。
一軒の店から演歌が聞こえてきた。旅情あふれるいい演出だ。
北のはずれには演歌が似合う。
さて、今夜の宿だが、このすぐそばにテントサイトがあるとの情報を事前に仕入れていた。
情報通り、案内の小さな看板にしたがって進むと、土産店の裏手に民家に囲まれた芝生の広場があった。
「えっ? ここ…?」
誰もいない。。
立派な炊事場の施設やトイレがあるが、あまりに民家が近くて仕切りもないので躊躇してしまった。
バイクの脇で地図と見比べながら悩んでいると、広場の脇でイカのぽんぽん焼きを売ってたおばちゃんが声をかけてきた。
「そこ自由に使っていいんだよ」(下北弁趣意)
「え、テント張っていいんですか?」
「うんうん、あっちの炊事場も使っていいから。100円入れればガスも使えるし」
ありがたや。
早速、こないだ新たに購入したテント・ムーンライト3を設営開始。
荷物を中に入れて、買出しに。まずはさっき声をかけてくれたおばちゃんの店へ。
タコの足を買ったら、ぽんぽん焼きもおまけしてくれた。かえって申し訳ないが、ありがたくいただく。
これと昨日スーパーで買った品々で今日の夕飯はOK。
次いで、一軒の土産屋に。適当にみつくろって、東京までの宅急便を手配。
テントサイトに戻り、炊事場で米を水に浸して準備万端。ついでに電子機器も充電。
タオルと手荷物だけ持って、近所の温泉に向かった。
向かった先は大間温泉・海峡保養センター
入りたいと思ったらすぐに温泉が見つかるのが東北のいいところだ。
道に迷いつつも数km走って到着。入浴料は370円。いろんなお風呂があって楽しめた。
夜食に甘いものが欲しくなるかも、と思い、南部せんべいの林檎チップスが入ったやつを購入。
(あまり甘くはなかったが、素朴な味で美味しかった)

大間崎テントサイト 民家の真っ只中

大間崎テントサイト 民家の真っ只中

大間温泉・海峡保養センター

大間温泉・海峡保養センター

風呂上りに、温泉の駐車場で、佐賀ナンバーのドライバーに声をかけられた。
あちこち転勤してる人で本当は新潟から今日来たらしい。
バイクも好きでオフ車(車種失念)に乗ってるそうだ。バイクの話題で盛り上がる。
しばし歓談してから、テントに戻った。
早速、タコの足を暖めなおして晩酌開始。ビールが美味い。イカのポンポン焼きも美味い。
炊事場にはテーブルとイスも用意されている。
全面ガラス張りで扉もあるので、外の様子を見ながら風を避けて食事が出来る。
まことに至れり尽くせりだ。遠くからたくさんの人に来てもらいたい一心で、こういう施設を作ったのだろうなぁ。
北海道行きのフェリーが出ているせいもあるのかもしれない。
飲みながらご飯も炊いた。しばらく蒸らしてから昨日買ったねぶた漬をガーッと豪快に乗せる。
即席ねぶた漬丼。竹のレンゲで数の子・昆布・大根をネバネバ・グチョグチョにかき混ぜて、胃の中にワシワシかっこんだ。ウメー。

のしたタコの足をブツ切りにして炙ったツマミ

のしたタコの足をブツ切りにして炙ったツマミ

ねぶた漬丼 (゚Д゚)ウマー

ねぶた漬丼 (゚Д゚)ウマー

食事の準備中に一人の男性が炊事場に入ってきた。
子供を連れて、津軽の方からやってきたそうだ。
今夜はここで車中泊するとのこと。
「ここ使ってもいいんですか?」
「いいみたいですよ、どうぞどうぞ」(←さっきまで躊躇してたくせに)
ってな感じで、 こちらが食事をちょうど終えた頃に、お子さん二人を連れてやってきた。
しばしビールを飲みながら歓談。一人さびしい夜がまぎれた。
子供たちに林檎せんべいをあげたが、あまり喜ばれていなかったような…。
それでもきゃっきゃ騒いでいるのを見るのは楽しい。(←子ども好き)
意外にいろんな人と話す機会の多い、みちのくひとり旅である。
夜も更けて、もろもろ片付けてテントに戻り就寝。
案の定、近所の車や人の往来が多くて、ちょっと安眠しにくかった。
それでもひさびさのテント泊。ようやくいつもの旅の感覚を取り戻す。
それにしても広いテントってば、下手なカプセルホテルよりも快適なんだなぁ、これが。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*