雨ニモマケズ風ニモマケズ


「盛岡市内の映像です。未明から降り始めた雨は徐々にその雨脚を増してます。
気象庁によりますと、太平洋上を時速30kmの速さで北東に進んでいる台風2号は、
今日の午後に関東に最接近したあと勢力を弱めながら東の海上へ抜けていくものと見られます。
東北地方では今夜から明日の朝にかけて、山間部や太平洋側を中心に強い雨と風が予想されます。
また、三陸沖の海上は大時化となります。船舶の運航には十分注意してください。
現在、各地の注意報・警報は…」
起き抜けにNHKニュースを見て、太平洋方面へ進むことは完全に諦めた。
日本海側は午後から晴れマークがちらほらある。
( ̄ヘ ̄)ウーン…秋田方面に抜けるとするか。
秋田は後回しにする予定だったが、台風じゃしゃーない。
福田パンを一つ食べて着替えてチェックアウト。
土砂降りの雨の中、ヘルメットをかぶり荷物を両手に持って駐輪場へ。
かなり寒い。雨具・フリースで完全武装して午前8:00出発。
盛岡市外を抜け、R46を西走。
雨がかなり強いが、地元の4輪はこともなくハイスピードで疾駆してゆく。
ヘルメットのシールドを左手で拭い続けながら、ゆわkmで走るのは辛い。。
雫石を過ぎると道は登り傾斜に。
岩手と秋田の県境、奥羽山脈の懐へと分け入っていく。
奥深い山中に進むにつれて、どんどん気温は低下。
仙岩トンネルを抜け秋田県内に入ると確かに雨脚は弱まってきたが、代わりに強風が加わった。
田沢湖を見たいと思っていたのだが、雨風で体が冷え切って景観を楽しむどころじゃない。
途中で給油して、とにかく雨のない地域まで進むことに専念した。
角館を過ぎた辺りでようやく雨が止んだが、風は相変わらず強い。
とにかく、このままじゃ風邪をひく。そんな予感がビシバシ来てた。こういう時は温泉に限る。
看板に気を付けながら進むと、すぐに温泉を発見。角館郊外にある立ち寄り湯・花葉館だった。
びしょ濡れの雨具をバイクの上に広げ、タオル一枚と手荷物だけ持って館内へ。
あまりに悲惨な状態の靴下は、下足と一緒に入り口で脱いで靴の中へ丸めてポイ。
入浴料400円を支払うのももどかしく、服を脱いで浴場へ。ざっと体を流してから湯船へざぶん。
ε-(ー∀ー;)ハァー
いつもカラスの行水なのだが、じっくりと長湯…。
地元の人と二言、三言会話しながら体の芯まで温まった。
それにしてもここのお風呂、湯加減が最高である。お湯に入ってる感覚がない空気のような湯加減。
成分などにこだわりはないので温泉ならどこでも、と思ってたが、こりゃええわ。
お湯から上がり、300円払って大広間へ。
残ってた福田パンを食べてから、しばし横になってさらに体力回復。
11:00、HP・MP満タンの状態で出発。

花葉館 ほんとに湯加減が絶妙でした

花葉館 ほんとに湯加減が絶妙でした

まだ朝なのにクタクタでした

まだ朝なのにクタクタでした

R46をしばらく進み、R13を右折して秋田市方面へ向かうと、さすがに交通量も多くなってきた。
車列に混じってのんびり進む。やがて日本海岸を新潟から青森まで貫くR7と秋田市内で合流。
市街地を抜けるとまたハイペースになった。
しばらく北上して、適当なとこで右折。海岸沿いを男鹿半島方面に向かう。
左手に見えてきたのは日本海だ。風が強いが波はそれほどでもない。
曇り空だがかすかに日の光が感じられるのが嬉しい。
っと、男鹿の町でバイク屋(自転車がメインぽい)を発見。
オイルをそろそろ交換したかったのでお願いした。
オイル交換中に会話したところ、今日はこの辺りのお祭りですぐそこに縁日が出てるとのこと。
代金1500円を支払ってから、ちょっとだけ覗きに行ってみた。
見知らぬ町の小さな縁日って、風情があって実に好ましい。

雰囲気を壊さないように遠くから見ただけですがw

雰囲気を壊さないように遠くから見ただけですがw

さて、男鹿半島巡りの続き。
平坦な海岸をしばらく進むと、だんだん急勾配に。
大きなナマハゲの像の脇を過ぎると、そこからは高所を抜けるワインディング路だった。
男鹿半島はナマハゲ・はたはた・西岸の断崖絶壁で有名なのだ。
崖崩れだろう、あちこちで工事中の片側通行の規制が行われていた。

男鹿半島 ハタハタは今回食べられなかった

男鹿半島 ハタハタは今回食べられなかった

断崖の彼方に丸みを帯びた水平線

断崖の彼方に丸みを帯びた水平線

うねうねと海岸線をどのくらい走ったろう。
男鹿半島の北端・入道崎まで回ってたら時間がかかりすぎる。
西岸をほぼ走り終えたとこで海岸から外れて東へ向うことにした。
比較的平坦な道をスイスイ進み、半島の付け根を過ぎると八郎潟は目の前だ。
14:30。水路を渡ると、どこまでも真っ直ぐな道が伸びていた。
交通速度が尋常じゃないので、脇道との出入りも気を使う。
街路樹のない農道を少し進むと、見渡す限りの水田が広がっていた。
遮るものがないからだろうか、かなり風が強い。
さすが、かつて日本第二の広さを誇った湖を干拓しただけあって広い広い。
八郎潟の由来、八郎太郎の伝説はスケールの大きな神話で、実に興味深いものだ。
このレポートを書いている最中に調べてみたら、十和田湖・田沢湖とも密接に関連してるようだ。
詳しくはこちら。ジブリで映画化とかされないかなぁ…。

八郎潟 八郎太郎の伝説が残る

八郎潟 八郎太郎の伝説が残る

平坦です…とにかく平坦です…

平坦です…とにかく平坦です…

八郎潟を北上して走り抜けたところで、スーパーで買出し。
雨がどうなるかわからないが、一応、今夜はキャンプの予定だ。
買い物を終えて海岸線をさらに北上。右手には白神山地が迫ってきた。
能代のあたりから風がさらに強烈になってきた。
寒いのは勿論、あやうく転びそうになるほど横風が酷い。
道路は直線なのにカーブを曲がっているかのようにバイクを傾けながら走らねばならなかった。
16:00少し前、能代市街を抜けたあたりにあった道の駅・みねはまで休憩。
駐車場へ駆け込んで来た4輪の運転手も口々に「風強すぎ」と愚痴っていた。
さて、福田パン以来、何も口にしてなかったのでお腹がペコペコだ。
この辺りの名物「石川そば」を食して温まった。

素朴な平麺の田舎そばで美味かった~

素朴な平麺の田舎そばで美味かった~

道の駅・みねはまポンポコ101

道の駅・みねはまポンポコ101

渋谷101とは多分無関係

青森との県境が近づき、山が右手に迫るに連れ、風も遮られて弱まってきた。
白神山地が海に落ち込んでいる難所を越えて、いよいよ青森県内へ。
そこから18kmほど進んで、16:40、世界遺産・白神山地を横断する白神ラインの入り口に到着した。
44kmの未舗装部分を含む山道だ。日が暮れる前には絶対に走り終えたいので急いで進んだ。

白神ライン入り口

白神ライン入り口

冷気漂うブナの原生林。その中を流れる渓流に沿った舗装路をしばらく進む。
やがて道は渓流を離れ登り勾配に。ワインディングを繰り返しながら徐々に高度を上げていく。
道はいつしか未舗装路になったが、自動車が普通に通ってる道なので走りやすい。
走り始めて10分くらいの間に自動車3、4台とすれ違ったが、さすがに夕暮れが近いのでそれきり誰とも会わなかった。
世界遺産に指定されて以来、交通量も増えたのだろう。舗装化が急ピッチで進められているようだ。
個人的には未舗装のまま残して欲しいのだが、土建国家相手には無理な話か…。
高度が上がるにつれ、道の両脇に残雪が目立ち始めた。
路面はきれいに除雪されているのだが、なんとも寒々しい…というか寒い。かなり寒い。
峠を上りきったところで白神岳の展望台があった。
名前の通り、白き神々の宿る峰といった趣き。近寄りがたい神々しさを感じる…。

左手前は白神山地の最高峰・向白神岳

左手前は白神山地の最高峰・向白神岳

白神ライン 標高の高いとこは残雪多し

白神ライン 標高の高いとこは残雪多し

いくつかの峠を越え、徐々にペースも上がってきた。
雪解け水が勢いよく流れ落ちる滝や、林間を流れるせせらぎが目を楽しませてくれる。

ブナの貯水量の役割は非情に大きいのです

ブナの貯水量の役割は非情に大きいのです

滝です 冷たいです

滝です 冷たいです

あー、のんびり釣りしたい…

あー、のんびり釣りしたい…

要所要所、案内があるので迷うことはないでしょう

要所要所、案内があるので迷うことはないでしょう

1時間半ほどで、無事完走。
出口にはキャンプ場があったが、ちょっと高めなので弘前に近い岩木山のふもとの無料キャンプ場までいくことに。
ギリギリ日暮れまでには間に合うだろう。
…と思ったのだが、ちょっと途中で道を間違えてしまった。。。
キャンプ場にようやく着いた頃には完全に夜。
そのうえ、さすがに誰もいない…( ̄へ ̄|||) ウーム
携帯電話で天気予報を確認したら、今夜も雨の確率が高いらしい。
ちょっと悩んで、結局 、弘前で今夜もカプセルホテルに泊まることにした。
岩木山を後にして弘前の町へ向かった。

夕暮れに撮影した岩木山 別名・津軽富士

夕暮れに撮影した岩木山 別名・津軽富士

20:00くらいにチェックインしただろうか。
着替えて荷物整理して風呂入って、ビールと焼きそばの軽い晩酌で夕食を済ませた。
明日は早く起きる予定なので、早々に就寝。
それにしてもカプセルホテルを泊まり歩いてると、絵本の出版社で営業をやってた頃を思い出すなぁ。
宮沢賢治の「雨ニモマケズ風ニモマケズ」を地でいってる気がしたが、
「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」のフレーズはちょっと自分と違うかも。ちょっとだけね。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*