6:00起床。夜はまだ明けきっていない。
トイレのためテントの外に出たら周囲は霜で真っ白だった。
それでも外気温はマイナス2度くらい。昨夜もたいした冷え込みは無し。
朝食はフライパンで炒めるだけの茹で麺ナポリタンスパゲティ。
具が無いのは寂しいけど、朝はとりあえず腹が膨れりゃ何でもいいさ。
それより気になるのは対岸から聞こえる銃声。散弾飛んで来ないだろうな…。
食べ終わって撤収開始。フライシートに降りた霜が厄介だった。
寒い朝はエンジンの掛かりが悪い。撤収の間も十分な暖気をしておいた。
7:45、出発。
県道58号の滝下橋で鬼怒川の対岸に渡った。
すぐに路地を右折して鬼怒川河畔に出、そのまま利根川へと向かう。
峻烈な冷気と左手から差し込む朝日を浴びながら堤の上を走行。
空気は澄み渡り、視界を遮るものもない。気分爽快だ。
8:00、常磐自動車道・つくばエクスプレスと二つ並んだ橋を潜った。
県道47号と交差する辺りで一旦堤を離れ、常総ふれあい道路で河畔を迂回。
8:20、取手でR6を右折し、大利根橋で右岸の千葉県・我孫子方面へと渡る。
県道8号を左折して、手賀大橋で手賀沼を渡り、8:30、道の駅・しょうなんに到着。
丁度入れ違いにハーレーの集団が出発するところだった。
こちらはのんびりトイレ休憩。ついでにハクキンカイロの燃料補給を済ませた。
9:00、休憩を終えて出発。
来たルートをしばらく戻り、利根川の手前で県道170号へと転進。
ゴルフ場や運動公園を避けながら、県道沿いの堤や河川敷を走る。
9:20、栄橋で左岸へ渡り、さらに東へ。
土手の内側や外側、あるいは上にルートを切り替えつつ、フラットダートはひたすら続く。
9:50、長豊橋で右岸へ渡り、今度はR346沿いを進む。
ここから約20kmほどの区間はほとんど堤の上を走った。
二輪以外の自動車通行禁止なのが嬉しい。
見通しもいいのでついついスピードを出してしまう。
隣のR346を走る四輪を追い越すこともしばしば…。
この辺もそうだが、利根川沿いで終始オレンジ色のベストを着た人たちを見かけた。
猟銃を担ぎ、猟犬を連れたハンターたちだ。水鳥でも狙っているのだろう。
狩猟免許を取る気は無いが、パチンコ(スリングショット)猟ならやってみたいなぁ。
魚のように鳥も捌けると世界が広がりそうだ。
…てなことを考えつつ、常総大橋・神崎大橋を越え、川沿いを走行。
10:20、水郷大橋を横目にR356を進み、佐原市街に到着。
予定ではこの界隈で昼食のつもりだったが、まだちょっと時間が早い。
先に次の目的地へ向かうことにして、10:30、香取神宮に到着。
この後訪れた鹿島神宮と並ぶ、東国筆頭の古社である。
祭神は経津主大神(ふつぬしのおおかみ)。
駐車場から土産屋が並ぶ参道を経て境内へ。
シックな趣きの屋根葺きの割りに造りはカラフルの社殿が印象的だ。
参拝を済ませ、駐車場に戻ると見知らぬおじさんに話しかけられた。
葛飾から仕事で来ているそうだ。「何CC?」と聞かれたのはお約束。
11:00、香取神宮を後にして、向かったのは水郷佐原。
数分走って水路の辺にバイクを停め、目的の店を探しつつウロウロ散策。
で、やってきたのは小堀屋本店。天明年間に開業した老舗の蕎麦屋である。
千葉県の有形文化財に指定されてる店内へ入り、黒切蕎麦850円を注文。
ツーリングマップルで紹介されているせいか、ライダーが何組かいる。
待つこと数分、昆布が使われてるという真っ黒な麺が、朱塗りの盆で運ばれてきた。
新潟・小千谷で食べたへぎそばに似てるかと思ったが、味はそうでもない。
昆布の風味は特に感じなかったが、蕎麦として普通に美味しかった。
上総の小江戸とも呼ばれる町並みが薬味に効いてるのかもしれない。
昼食を済ませて11:30、出発。
R51へ戻り、水郷大橋を渡って11:40、利根川左岸へ移動してダート走行再開。
この頃から北西からの風が強くなり始めた。風除けも兼ねてなるべく土手の内側を進む。
11:50、JR鹿島線を潜ったあたりで、河川敷ルートの轍が薄れはじめた。
道なき道だが走れないことは無いな…と思ったら東関東自動車道の手前で水没してた。
昨日のクラクションに懲りてハンドルを右に切ってUターン。
今度はタンクバッグに押されてセルがキュルルルと鳴ってる…もう、どうにでもなれ(ノД`)
斜面を駆け上がって一段内側の段をしばらく進んだ。
水路に遮られ、土手の上に追いやられてしまうこともしばしば。
12:05、小見川大橋に到着。
健さんのレポートのスタート地点だ。ここから下流は未知の領域である。
土手の内側の草むらが一応走れるが、かなり無理なルートである。
やがて霞ヶ浦から発する常陸利根川の流れが左手に見えてきた。
12:25、合流ポイントに架かっている利根川大橋を左折。
R124を右折して給油を済ませた。それにしても『利根川大橋』だらけだな。
ここからR124と並行する地図で確認できる一番利根川寄りの道を進んだ。
川は見えず、ほとんど農道だが、それでもしぶとく未舗装路が続く。
畑の中、工事現場、民家に挟まれた隘路…。
12:55、利根かもめ大橋を潜り抜けても、まだ続いた。
13:05、別所の辺りでようやく未舗装路終了。
道路から川岸のエリアは利根運動公園として柵が巡らされていた。
13:10、利根川最下流の橋・銚子大橋を通過。いよいよ河口が近い。
河岸には漁船が並び、漁港の雰囲気に満ちている。
そして、13:15、波崎新港に到着ー。海に溶け込む利根川を確認完了!
それにしても風が強い。バイクを停車して離れるのが怖いくらいだ。
さっさと岸壁を離れよう、そうしよう。
13:20、銚子大橋を渡って銚子市街地へ移動。
県道254で市場前を抜け、銚子側からも利根川河口を確認。
遭難した漁民を祭る千人塚という慰霊碑があった。
利根川の河口まで走るという目的はとりあえず達した。
後は気ままに観光しようっと、向かったのは海産物の卸売センター・うおっせ21。
13:35、到着。虫養いに何か食べようと物色したが、軽食はほとんど売られていない。
結局、銚子の隠れ名物・サバカレーを使ったサバカレーまんを一つ購入。
カレーのスパイスで生臭さが軽減され、なかなか美味い。
ペロリと平らげて、13:55、出発。
次の目的地は鹿島神宮。結構遠いが、せっかくだから行っておこう。
銚子市街地を抜け、R126を右折。ここからしばらく渋滞が続いた。
2車線になって、ようやく流れ始めた。風はますます強くなり、気温も下がり始めた。
県道238を経て、14:55、鹿島神宮に到着。
銚子から約40kmの道程を約一時間掛かった。
寒い寒い。とにかく寒い。手水が痺れるくらい冷たい。
鹿島神宮の祭神は武甕槌大神(たけみかずちのおおかみ)。
本来、『神宮』という呼称は伊勢・鹿島・香取の三社のみに用いられていた。
何らかの政治的な思惑があったのだろうが、東国に二つあるのが面白い。
香取神宮に比べ、鹿島神宮の拝殿は落ち着いた色使いだった。
武道の神様なので、境内や絵馬に必勝祈願とかの文字が目立つ。
香取神宮と同じく、ここでも売店で木刀を売っていた。
参拝を終え、15:10、出発。
R51を潮来方面に進む。横風が無茶苦茶強い。
県道を左折して、15:20、道の駅・いたこに到着。暖房が目当てに10分ほどの小休止。
駐車場に土浦ナンバーのカタナが停まっていた。
ライダーのnoblogさんと風・寒さを愚痴りあう。うぅ、まじ辛い。
15:30、出発。かなり早いが東京へ戻る前に食事を済ませておこう。
R51から県道50を進み、常陸利根川沿いの水郷潮来へと走った。
歓迎の文字があるから観光地なのだろうが、うーん…寂れているなぁ…。
15:40、川魚料理の専門店・清水屋に到着。
注文したのは天然物を使った鯉のうま煮定食1800円。
流石に調理に時間が掛かるらしく、15分ほど待った。
運ばれてきた皿の切り身を見て大きさに驚く。バカでかいのに肉質はプリプリ。
火の通りが少し足りないのか、身離れの悪さや皮が堅さが惜しまれる。
皮がトロトロになるまで煮てあるのが好みなのだが…タイミングが悪かったのだろう。
だが、味付けは文句なし。身だけではなく内臓(レバーだろうか)も美味い。
この煮汁を掛けたい衝動に駆られ、ライスをお代わり(250円)してしまった。
満腹満腹。満足満足。骨以外は完食。
食べ終わって、16:30、出発。
潮来ICから東関東自動車道へ乗り、東京方面を目指す。夕方になって寒さも倍増。
距離が短いからまだ我慢できるが、少し遠い道程ならサウナにでも避難したいところだ。
渋滞に混ざって湾岸市川から首都高速道路の料金所を通過。
17:40、PAでしばし休憩。暖房で温まりつつ、ルート確認。
何を隠そう実は首都高を走るのは初めてなのだ。ドキドキ。
18:00、出発。ナビと案内板を頼りに、おっかなびっくり新宿を目指す。
左右にめまぐるしく現れる分岐・合流をなんとかクリアして、18:40、無事一般道へ。
ほっとしつつ、19:00、帰宅。はぁ、寒かった。
坂東太郎・利根川と共に海まで降ったこの二日間。
未舗装路もB級グルメもゲップが出るほど味わった。もう、お腹一杯っ。