通りゃんせ通りゃんせ


早朝、5:30。のっそりと寝袋から起き出した。
ここは道志の森キャンプ場のテントの中。
昨日・今日とセローの20周年記念パーティがここで開催された。
セローでの参加者はキャンプ無料ってことで、ここに泊まったわけである。
といっても、基本的にいつものキャンプツーリングと変わりない。
5:45、レトルトカレーの朝食。隣のテントの方やonogさんと話しつつ、テントを撤収。
荷物を片付けないと何となく落ち着かないのだ。

昨夜の餅で食えなかったカレーの処分

昨夜の餅で食えなかったカレーの処分

道志の森キャンプ場 いいロケーションです

道志の森キャンプ場 いいロケーションです

今日参加を予定しているイベントは新セローの試乗会のみ。
まだまだ時間があるので、その前に軽く林道を走ってこよう。
8:20、荷物を積んで出発。キャンプ場の奥へ伸びる未舗装の東沢林道を遡上。
途中までは昨日トレッキングで走った道だが、分岐は左折。
簡単な川渡りをして本格的な登り勾配の峠道となる。
見通しのよいトラバース路を経て工事区間を抜けた。

東沢林道 またモゴモゴ…

東沢林道 またモゴモゴ…

山肌を穿つトラバース路を登って行きます

山肌を穿つトラバース路を登って行きます

豪快な切り通しの峠を越えて下り勾配になったところで、8:40、チェーンに遮られて行き止まり。
うーん、突破は出来なさそうだ。このまま進めば道志の湯に抜けられるはずなのだが、残念。
Uターンしてキャンプ場へ戻ってきたのは8:50。中途半端で消化不良な感じだ。

豪快な切り通し いかにも峠

豪快な切り通し いかにも峠

セローって水辺が似合いますよね

セローって水辺が似合いますよね

戻ってから試乗会まで雑誌の取材を受けた。
片っ端からセローオーナーにインタビューしているらしい。
林道を走ってきたばかりのセロー君の写真も撮られた。
荷物に積んでいたゴミ袋は除けたが、まぁお世辞にも綺麗とは言えない…。
取材も試乗会も無事に済ませて、10:30、会場を後にした。
さて、ツーリング開始。最初の目的地は塩山。
今から目指せば昼飯時に間に合うだろう。R413に出て右折して少し東へ走る。
県道24号を左折し道坂峠を越えて、11:00、都留でR139に合流。
だいぶ暑くなってきた。コンビニで小休止。
県道705から712号を経て、11:25、初狩でR20=甲州街道を左折した。
車列に混じって甲府方面に向かい、11:40、笹子トンネルを抜けた。
11:45、勝沼で国道を離れて塩山方面へ。葡萄畑の間を抜けつつ北上する。

あえて勝沼の葡萄畑を突っ切るのだ

あえて勝沼の葡萄畑を突っ切るのだ

あー…うまそー…葡萄食いてぇ…

あー…うまそー…葡萄食いてぇ…

一瞬だけR411に合流し、12:00の直前に目的の店・白彩に到着。
ダー岩井さんのツーレポで何度か登場するお店で、一度来てみたかったのだ。
「準備中」の札が掛かっていたが、裏返すのを忘れていただけらしい。
安心して席に着き、名物えび天丼の大盛り(1,080円)を注文。(名物穴子丼も凄いらしい)
出てきたのはどんぶりの上で塔のように聳える7本の海老。
器を手に持つとずっしり重い。気合を入れてワシワシと掻き込む。
最後の一口・二口が大分苦しかったが、無事完食~♪

ほうとうの店・白彩 だが丼モノが凄いのだ

ほうとうの店・白彩 だが丼モノが凄いのだ

誇らしく屹立する名物えび天丼 (゚Д゚)ウマー

誇らしく屹立する名物えび天丼 (゚Д゚)ウマー

満腹の腹を抱えて、12:20、出発。R411を大菩薩方面に進む。
「一ノ瀬高原方面、大規模な土砂崩れのため通行止」の表示がしつこいほど出ている。
だが、林道を使えば問題なく抜けられているのはMUDさんの情報で確認済み。
12:30、念のため途中のGSで給油ついでに聞いてみた。
「通行止めってなってますけど、林道使えば抜けられますよね?」
「んー、うん。地元の人は抜けてるよ」
12:40、大菩薩の湯に到着。
満腹の腹ごなしに大休憩を取ることに。
汗を流して露天風呂にゆっくり漬かる。その後、休憩室でゴロ寝。
昨夜、なかなか寝付けなかった分の仮眠を摂る。うー、気持ちいい…。

大菩薩の湯 入浴料600円はちと高い

大菩薩の湯 入浴料600円はちと高い

たっぷりと休憩を済ませて、14:00、出発。R411をさらに進み、県道201を右折。
大菩薩周辺の林道群を目指し、上日川峠に向けてワインディングを登ってゆく。
(今回も林道浪漫さん地図を参考にさせてもらいました! 健さん感謝!)
こんな山道なのだが、登山客を送り迎えするためのタクシーが多い。
14:20、上日川峠に到着。ロッヂを横目に県道を上日川ダム方面に下ってゆく。

上日川峠から塩山方面を望む

上日川峠から塩山方面を望む

ロッヂ長兵衛 登山客で賑わってました

ロッヂ長兵衛 登山客で賑わってました

14:27、林道砥山線の分岐に到着。しばらく進んで、ゲートをモゴモゴ…。
グルリとダムを巡る基本的に未舗装の林道である。ところどころダム側に景観が開けている。
意外と荒れ気味の路面でクレパスも多いが、普通に走行する分には問題なし。
ただ、ハイキングを楽しんでる歩行者も多いのでスピードは控えめに。

上日川ダムの西側を巡る林道砥山線

上日川ダムの西側を巡る林道砥山線

ちょっとだけ荒れ気味の区間もあります

ちょっとだけ荒れ気味の区間もあります

やがて下り勾配になり、林道の幅員も狭くなった。
まったりと楽しんで、14:50、終点に到着。
こちらのゲートは鍵があったが、よく見ると…モゴモゴ…。
まぁとりあえず無事に県道へ出てほっと一息。水分を補給して小休止。

大きく谷を迂回しながら下ってゆきます

大きく谷を迂回しながら下ってゆきます

林道砥山線 南側ゲート

林道砥山線 南側ゲート

県道を木賊方面に下って、15:08、次の林道・焼山沢真木線の分岐に到着。
舗装林道をしばらく登り、標高1500mを越えた辺りから未舗装区間が始まった。
まずは一旦、終点の湯ノ沢峠登山口まで行ってみよう、ってことで支線は無視して直進。
15:30、終点に到着。タクシーが客待ちをしている。うーん、ここから先は無理そうだ。
細かな支線にも首を突っ込んでみたが、廃道だったり行き止まりだったり。

林道焼山沢真木線 こんな道をタクシーが往復

林道焼山沢真木線 こんな道をタクシーが往復

湯ノ沢峠終点付近の支線 入ってみましたが…

湯ノ沢峠終点付近の支線 入ってみましたが…

廃道状態 数百mで倒木のため行き止まり

廃道状態 数百mで倒木のため行き止まり

強烈な勾配の直線 ここも終点まで数百m

強烈な勾配の直線  ここも終点まで数百m

15:50、林道日川線の分岐まで戻った。
曲がってしばらくは舗装路だが、やがて未舗装に。展望が開けて素晴らしい開放感。
雲に見え隠れする大菩薩の嶺を眺めながら林道を下り、16:05、再び県道に合流。
一本一本の未舗装区間は限られているが、繋げて走れたのでかなり満足。

林道日川線 湯ノ沢峠側の分岐

林道日川線 湯ノ沢峠側の分岐

開放感溢れる未舗装路がお待ちかね

開放感溢れる未舗装路がお待ちかね

雲に隠れる大菩薩の山々

雲に隠れる大菩薩の山々

林道日川線 県道側の分岐

林道日川線 県道側の分岐

上日川峠を越え、ちょっと湧き水を飲んで休憩。
R411を右折して柳沢峠方面に。
っと、16:35、見通しの良い場所で、警備員が脇から出てきた。
通行止めだからと止められるのかな?
「えーっと、…どちらへ?」
むぅ。謎掛けのような言い方だが、何となく意図は判る。
「御用の無い者、通しゃせぬ」ってことか。
「林道経由で花魁淵へ(どうぞ通してくだしゃんせ)」
「なんて名前の林道ですか…?」
「えっと、泉水(せんすい)なんとか線」(←ぱっと思い出せなかった)
「ふむ…。タイヤOK、車高OK。合格です」
「あはは、合格ですか。よかったw」
「あくまでも自己責任でお通り下さい。お気をつけて」
ってことで、無事通過。
16:45、柳沢峠に到着したが、茶屋も完全に閉まっていた。
北麓に差し掛かると、とたんに暗くなる。空気も肌寒く、路面が濡れている。
どうやら雨が降った直後らしい。気温が表示されていたが18度しかない。
むぅ。フリースを持ち歩かねばならない季節が近いなぁ…。
捨て犬だろうか、人恋しそうな野犬と一匹すれ違った。

黄昏迫る柳沢峠 通行止で茶屋休業中

黄昏迫る柳沢峠 通行止で茶屋休業中

只今の気温18度 秋が近いぞ

只今の気温18度 秋が近いぞ

大ダル林道をスルーして、16:55、林道泉水横手山線の分岐に到着。
前回来たのは一昨年の12月か。時間が時間なのでさっさと走ろう。
しばらくは開けたトラバースなのだが、ガスって視界が悪い。
晴れてれば気持ちよい道だろうに。途中、二度鹿を見かけた。

林道泉水横手山線 R411の迂回路?

林道泉水横手山線 R411の迂回路?

夕闇と霧に視界を遮られつつ進めや進め

夕闇と霧に視界を遮られつつ進めや進め

下り勾配になって森の中に入り、暗さがより一層増した。
完全な夜闇が訪れる前に花魁淵まで抜けたいものだ。
セローのヘッドライトで林道ナイトランは遠慮したい。オカルト方面でも有名なスポットだし。
沢沿いの豪快な道を下り続けて、17:35、花魁淵でR411に合流。
渓流釣りだろうか、途中に4WDの車が何台か停まっていた。
雨降った上に、こんな時間まで入渓してるなんて大丈夫かいな。
っと人の心配してる場合じゃない。奥多摩方面に右折。

こんなところで夜になったら適わんわい

こんなところで夜になったら適わんわい

花魁淵側にもやっぱりバリケード

花魁淵側にもやっぱりバリケード

猿が横切る国道を東へ少し進んだ辺りから雨が降り始めた。むむ、かなり本格的だ。
木の枝で多少雨を避けられる路肩に停車し、ジャケットの前や裾を点検。
土砂降りの真っ暗な奥多摩路か、つらいものがあるな…。
四輪車に前後しながら青梅を目指して東へ東へ。
もっと渋滞してるかと思ったが、交通量が意外に少ない。
雨で皆早めに引き上げたのかな?

雨です 夕闇の山間部で雨が降り始めたとです…

雨です 夕闇の山間部で雨が降り始めたとです…

18:45、青梅街道に接続。ここまでくれば後は楽勝。
…と思ったのだが、東村山の辺りで大渋滞。車列が動く気配全く無し。
よくわからないが、裏道を使ったほうがよさそうだ。
地図表示可能なGPSの利点を生かし、裏道を使ってちょっと先の交差点へ出てビックリ。

うわ、思いっきり冠水してる!!

うわ、思いっきり冠水してる!!

なんと、青梅街道が完全に冠水し通行不可になっていた。
見た瞬間は水道管でも破裂したかと思った。
だが、なんと集中豪雨のせいだったらしい。
ここまでの道程の雨量では全く想像がつかなかった。
「これは難儀しそうだなぁ…」
さらに裏道を使って迂回することに。
19:45、青梅街道に再び合流。だが、花小金井の辺りで再び冠水していた。
今度は通行止めはされてないが、交差点の向こう側は完全に水没している。
えいやと突っ込んでみたら膝くらいの深さ。水面がステップ上の足首くらいまで達している。
「まぁ、セローなら大丈夫だろ」と走ってる横をパジェロが抜いていった。
むぅ。波に煽られてバランスが危うい。こりゃいかん。
ハザードを出し、やむを得ず歩道走行。と言っても、歩道も冠水してるのだが。
しばらくは平穏な雨中走行に戻ったが、関町の辺りから猛烈な雨が降ってきた。
四国や九州で遭遇した雨に匹敵する勢いである。
なるほど、こいつがあの冠水の原因か…。
西から東へ移動する集中豪雨に追いついてしまったようだ。
暗闇と豪雨で視界は最悪。その上、水滴で滲むヘッドライトや信号・看板の光…。
アスファルトの路面を川のように水が流れている。ブレーキの効きが滅茶苦茶悪い。
酷いコンディションの中、左手でシールドを拭いながら必至で走行。
…と、一台のバイクが隣の車線を抜いていった。あれは確かに新セロー…。
雨をものともせず、車列の間を危なげなくすり抜けてゆく。
「四輪も怯む豪雨の中、ツワモノがいるものだ…」
興味がわいた僕は、ちょいとペースアップして追いかけてみた。
早稲田通りと分岐する手前の信号でようやく追いついた。
シールドを上げて声を掛けてみる。
「酷い雨ですねー!」
雨音に遮られて聞こえなかったかな、と一瞬の間を置いて相手もシールドを上げた。
「ほんと酷いですねー!」
Σ(゚口゚; 女性!?
すげぇ、女性でこの雨の中あのスピードで…。タフだ。タフすぎる。
相手もこちらのセローに気づいたようだ。
「記念パーティ、私も行きたかったんですけど、別の予定が入っちゃってて」
短い会話を交わした後、信号が青に変わった。
「では、またどこかで」と挨拶し、走り出したと思ったら車列の間を抜けてゆく。
遥か前方へ消えてしまった新セロー。うーん、恐るべし…。
自宅に着く頃には雨はほとんど降っていなかった。
というか、集中豪雨を追い越してしまったのである。
数時間後、中野区を中心に記録的な豪雨が降り、近所の川は氾濫した。(その時の状況はこちら
行きはヨイヨイ、帰りは怖い。
前夜、道志の森で星空を見えていた時には想像しなかったなぁ。
この日走ったどの林道よりも、青梅街道が一番手強いなんて…。



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