炎天をいただいて乞ひ歩く


今朝も5:00起床。
朝一から佐多岬へ行くつもりだったので、朝食は無し。
アリを追い払いながら食器やテントを撤収。しかし何しろ数が多すぎ。
朝から少々グッタリして、6:30、出発。

大泊野営場にて 折り返し地点までもう少し

大泊野営場にて 折り返し地点までもう少し

ふれあいセンターの脇から有料道路・佐多岬ロードパークへ抜ける道を登る。
ロードパークに合流して本土最南端へと向かったが、ゲートに阻まれた。
ここが開くのは午前8時から。むむぅ、一時間半も後ではないか。
近くにいた地元の人に確めたくて声を掛けてみたが、「そこに書いてあるでしょ」と素気無い扱い。むぅ。
悔しいが、ここまで来ておいて諦めきれない。時間をつぶして再チャレンジすることにした。
この道以外に佐多岬へ至るルートが無いのだ。
ちなみに徒歩や自転車は通行禁止のため、旅人から極めて不評である。

佐多岬ロードパーク 8~18時営業

佐多岬ロードパーク 8~18時営業

中間地点にもゲートがあります…

中間地点にもゲートがあります…

6:45、大泊野営場まで戻った後は付近をうろうろ。
大隈半島東岸を走ったり、佐多の町までまた出てみたり。
走っていると、意外なほど人の姿をちらほら見かけた。
涼しい早朝の内に行動するのが夏の南国のリズムなのだろう。
腹が減ってるのだが、営業している食料品店などどこにもない。
こんなことならキャンプ場で朝飯をゆっくり食べるんだった。アリやゴキやフナムシと。
時間が余りに余ってるのでR269を無駄に北上し、7:30、道の駅・根占に到着。
ジュースを飲み、トイレを済ませた後、携帯電話で掲示板へ書き込み。

佐多の町の彼方に薩摩富士・開門岳を望む

佐多の町の彼方に薩摩富士・開門岳を望む

本土最南端の道の駅・根占

本土最南端の道の駅・根占

7:50、たっぷり時間を浪費した後、ようやく出発。
佐多岬ロードパークのゲートには8:15、到着。バイクの通行料金は400円。
南国情緒たっぷりだが、やや荒れ気味のアスファルトを数km進み、8:25、終点の駐車場に到着。
ここから佐多岬までは徒歩になる。入り口のトンネルでさらに入場料金100円。
やたら金を徴収されるのも不評の理由の一つである。
それでも経営難のため佐多岬へのルートそのものが閉鎖の危機にあったらしい。
最南端というだけで、食事する場所も遊ぶ場所もないから観光客も少ないのだろう…。
にしても、早朝、もし駐車場まで来れてもトンネルを通るのは無理なのかな?

佐多岬へ至るトンネル 100円

佐多岬へ至るトンネル 100円

ひんやりと冷たい空気のトンネルを潜り、ジャングルのような森の中をヒーコラ歩く。
断崖の上を行く遊歩道だけあって風が強い。
神社やかつてレストハウスだった廃墟を経て、8:40、展望台に到着。あー疲れた。
『本土最南端・佐多岬』の看板で、日本一周中のチャリダーに写真を頼まれた。
と言っても、昨日、宮崎を出発したばかりらしい。会話しながら二人で展望台を登る。
自転車通行禁止の区間はバスを使ったらしい。

途中のレストハウスは廃墟と化してます

途中のレストハウスは廃墟と化してます

本土最南端・佐多岬 思えば遠くへ来たものだ

本土最南端・佐多岬 思えば遠くへ来たものだ

断崖の上に聳え立つ展望台からの眺めは目も眩むばかり。
足下の灯台だけでなく、水平線の彼方には屋久島の島影も微かに認められた。
ちなみに、展望台の中は荒れまくり。ここも完全に廃墟マニア向けのスポットだった。

展望台から佐多岬灯台を俯瞰 ちと怖い高さ

展望台から佐多岬灯台を俯瞰 ちと怖い高さ

展望台内部も廃墟マニア向けです

展望台内部も廃墟マニア向けです

チャリダーはお疲れのご様子で、しばらくここで休憩していくとのこと。
僕だけ先に駐車場へと戻る。我ながら意外とタフ。
蝉の声が響き渡る森を抜けて、9:10、駐車場に到着。
歩き疲れに暑さも加わって、もうクタクタ。
さてと。折り返し地点を過ぎたところで進路を北へ。まず目指したのは佐多市街。
9:30、昨日買出ししたAコープで惣菜パンの朝食を済ませた。

Aコープ佐多 結構広い店舗です

Aコープ佐多 結構広い店舗です

惣菜パンも地元鹿児島産にこだわってみました

惣菜パンも地元鹿児島産にこだわってみました

腹も落ち着いたところで出発。
開聞岳を左手に見ながら鹿児島湾沿いにR269を一気に北上。
県道68号を経由してR220に合流し、さらに北へ。
快晴で景色はいいのだが、日差しの殺人的な強さには参った。

辺田海岸より薩摩富士・開聞岳を望む

辺田海岸より薩摩富士・開聞岳を望む

10:45、垂水のコンビニで水分補給を兼ねた小休止。
裏手の海岸からは桜島がよく見えた。
駐車場には高校生くらいのママチャリ集団がいた。
どうやら佐多岬まで今日中に往復するつもりらしいが…。
そもそも自転車通行禁止ということや、アップダウンの激しさを一応忠告しておいた。
無事に到着できたかなぁ?

垂水から桜島を遠望 噴煙モクモク

垂水から桜島を遠望 噴煙モクモク

R220にある珍しい二輪車専用レーン

R220にある珍しい二輪車専用レーン

時間が無いので桜島周回ルートは諦めて、R224とのT字路を右折。
11:15、道の駅・たるみずでまた小休止。余りの暑さでエンジンが心配だ。
無料で利用できる足湯があったが、この気温なので遠慮しておいた。
真上から照りつける太陽が恨めしい。
バッグの上に乗せていたペットボトルの水は、完全にお湯。

道の駅・たるみず 無料の足湯サービス

道の駅・たるみず 無料の足湯サービス

どどーんと眼前に聳える鹿児島の象徴・桜島

どどーんと眼前に聳える鹿児島の象徴・桜島

影がほとんど無い… 日差しに眩暈を覚える…

影がほとんど無い… 日差しに眩暈を覚える…

さらに鹿児島湾を北上して、国分でR10に合流。
給油を済ませて、12:00、霧島神宮を目指して県道60号を右折した。
GSの店員さん曰く「今日の暑さは、それほどでもないですよ」。
…僕はこのあたりに住めそうに無いな。

霧島町から霧島山を遠望

霧島町から霧島山を遠望

12:30、霧島神宮に到着した。参道の入り口辺りにあった食堂で昼食。
注文したのは黒豚カツカレー。肉は美味いが、大きさが小さいのが残念。
まぁ、暑さで食欲減退気味なので、丁度良いか。
肉の代わりにお冷をがぶ飲みしとこう。

霧島神宮参道入口

霧島神宮参道入口

今日のお昼は黒豚カツカレー (゚Д゚)ウマー

今日のお昼は黒豚カツカレー (゚Д゚)ウマー

食事を終えて13:00。もっと近い駐車場に移動してから、霧島神宮に参拝した。
祭礼の準備のためか、参道は電飾を張り巡らせるためのポールだらけでちょっと見苦しい状態。
国家「君が代」で詠われている「さざれ石」が脇にひっそりと置かれていた。
帰り際、空から何か聞こえてきた。見上げてみるとセスナが祭礼の告知をしていた。
歌謡ショーや花火大会など、結構派手なイベントをやるらしい。祭りっぽくて、よろしい。

君が代で有名なさざれ石 だそうです

君が代で有名なさざれ石 だそうです

セスナで祭礼の告知とは大掛かりだなぁ

セスナで祭礼の告知とは大掛かりだなぁ

頂に天の逆鉾が立つ高千穂峯を始めとして、ここ霧島山一帯は天孫降臨の地として知られている。
霧島神宮に祭られている神様=瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が、その神話の中心だ。
日本書紀や古事記によれば瓊瓊杵尊はアマテラスの子孫(天孫)であり、天皇家の始祖とされる。
神話と歴史の境界・解釈は歴史観によって千差万別なので扱いが難しい。
しかし神話の舞台に立つという経験は単純に面白い。実際に来て、なおさらそう思った。

霧島神宮本殿 思ったより派手な社でした

霧島神宮本殿 思ったより派手な社でした

参拝を終えて、13:25、出発。
R223を少し東へ進み、県道480号=霧島樹帯トンネルへ。
名前通り、木々のトンネルを走り抜ける高原の快走路だ。
僅かな木漏れ日で、斑に白く照らされたアスファルト。吹く風もさすがに涼しい。

霧島樹帯トンネル 涼風に癒されます

霧島樹帯トンネル 涼風に癒されます

脇を流れる霧島川のせせらぎ

脇を流れる霧島川のせせらぎ

途中、湧き水があったのでペットボトルに汲んだ。んー、冷たくて美味い!
やがて県道1号=えびのスカイラインに合流し、えびの方面に北上。
地図で展望台と書かれた地点をいくつか通過したが、全く展望が開けないのが残念。
あまり良い写真が撮れないので、火口湖・大浪池まで散策してみることにした。
14:10、バイクを停めて、登山道へ。10分ほど歩いて疲れ始めた頃、時間が気になり始めた。
上から帰って来た人達がいたので所要時間を聞いたら、登りだけで1時間弱との答え。
うーん、そこまで時間の余裕がない。疲れていたので仕方なく引き返すことにした。
とことんヘタレで申し訳ないが、無理はしないに限る。駐車場に戻って14:30、出発。

大浪池に至る登山道 ヘタレて途中でUターン

大浪池に至る登山道 ヘタレて途中でUターン

霧島連山を貫くえびのスカイライン

霧島連山を貫くえびのスカイライン

えびの高原の手前で鹿児島から宮崎への県境を越えた。
開けた場所で韓国岳の山頂も撮影できた。
諦めかけていたのだが、丁度、雲も晴れて良い感じ。
県道30号をえびの方面に左折。分岐付近に鹿の群れがいた。

えびの高原より韓国岳を望む

えびの高原より韓国岳を望む

鹿の群れ 何かを警戒してるのかな

鹿の群れ 何かを警戒してるのかな

ワインディングをウネウネ降り、15:00、えびの市平野部に出た。
そのまま狗留孫(クルソン)峡を目指して北上。
R221から県道404へと田園地帯を走り抜ける。

えびの高原から平野部を眺望

えびの高原から平野部を眺望

水田の緑が目に眩しい

水田の緑が目に眩しい

15:20、狗留孫林道に到着。未舗装区間約30kmの長距離林道だ。
水が美しく澄み渡った狗留孫渓谷に沿って、フラットダートを快走。
近所のガキどもがチャリで乗りつけ川遊びをしていた。実にうらやましい。
釣り目的なのか、4WDなどの交通量も多い。

狗留孫林道 綺麗な渓谷沿いのフラットダート

狗留孫林道 綺麗な渓谷沿いのフラットダート

狗留孫渓谷 くぅ…釣りしたい…!!

狗留孫渓谷 くぅ…釣りしたい…!!

川筋から山肌に上る分岐でちょっと間違えて狗留孫神社に進んでしまった。
時刻は15:45。ゲートをモゴモゴしたが、すぐに土砂崩れで行き止まり。
分岐へ戻って改めて右手へと進む。

狗留孫神社への分岐 本線は右へ

狗留孫神社への分岐 本線は右へ

倒木で行き止まり ノコギリの出番無し

倒木で行き止まり ノコギリの出番無し

登り勾配がきつくなり、少し路面も荒れ気味になったが、のんびり走行する分には問題なし。
一箇所、路面が大きく崩落していた。バイク一台は優に通過可能だったので、これまた問題なし。
ただ、一雨降っただけでも路面がさらに削られそうな雰囲気ではあった。

林間を進む登り勾配の峠道

林間を進む登り勾配の峠道

路面崩落現場 昨日のあれに比べれば…ふっ

路面崩落現場 昨日のあれに比べれば…ふっ

長い長い登り勾配のダートを経て、16:25、温迫峠に到着。
バーンと展望が開け、球磨川流域を一望できた。
絶景を満喫したかったが、余り時間に余裕が無い。
5分そこそこで休憩を終え、出発。
峠以降の降りも未舗装路だが、路面状況は格段に良くなった。
と言っても直線はほとんど無く、ワインディング主体なのでスピードは出せない。

温迫峠より球磨川流域を一望

温迫峠より球磨川流域を一望

峠北側は走りやすくなります 良い眺め♪

峠北側は走りやすくなります 良い眺め♪

支線分岐がいくつもあったが、敢えて無視。
ゆっくりと下り続け、舗装区間を経て、17:00、県道43号に出た。
左折して人吉を目指し西走。やがてR445に合流した。
さらに西へと進んで、17:15、人吉クラフトパーク石野公園に到着。
管理事務所の受付時間は過ぎていたが、手続きしてもらえた。
キャンプ料金420円を支払ってから、バイクでサイトへ行き、早速テントを張る。
トイレも炊事棟も清潔なキャンプ場だ。目の前に川も流れていてロケーションは最高。
18:20、買出しと温泉に出かけるのと入れ違いで神戸ナンバーのカップルライダーがやって来た。

人吉クラフトパーク石野公園

人吉クラフトパーク石野公園

良いロケーションのキャンプ場でした

良いロケーションのキャンプ場でした

向かった先は神城温泉。入浴料金500円。今日も沢山、汗を掻いたなぁ。
地図にはコインランドリーが併設されてると書かれていたのだが、この春に閉鎖されたらしい。
ここで洗濯しようとあてにしていたのだが残念だ。入浴後にジャスコで買出し。
ここでもさっきのカップルライダーと入れ違いだった。
温泉もジャスコもサンロードシティという大規模店舗が集まったエリアにあるため移動が楽だ。

神城温泉 竹林の露天風呂が気持ちよい

神城温泉 竹林の露天風呂が気持ちよい

キャンプ場に戻ったのが19:40。
のんびり買い物をしていたら遅くなってしまった。
川縁にある石のテーブルセットで、いつのまにか現れた地元おっちゃん二人組が晩餐を始めていた。
とりあえず生乾きで臭くなっていた下着・靴下を洗濯しなおし、炊事場に干す。
その後、ビールで晩酌。ツマミは鯉のあらい。酢味噌でコリコリと美味しくいただいた。
川面を撫でてきた風が、適度に冷たく気持ち良い。
湯で麺を2玉湯掻いた盛り蕎麦を主食にして食事終了。
かなり急いで食べたのだが、これには訳がある。

鯉の洗い 酢味噌で(゚Д゚)ウマー

鯉の洗い 酢味噌で(゚Д゚)ウマー

冷たい盛り蕎麦(大)も(゚Д゚)ウマー

冷たい盛り蕎麦(大)も(゚Д゚)ウマー

飲みきりの焼酎を片手に、おもむろに地元二人組の元へと歩み…。
「混ぜていただいて、いいですかー?」
「どうぞどうぞ(熊本弁趣意)」
肥後人の宴に潜入成功。鍋では熊本名物の馬肉と椎茸が煮えていた。
勧められたものは断れない。食事を終えたばかりシェラカップにおすそわけしてもらう。
うーん、ピリ辛の味付けでめちゃ馬。

馬肉と椎茸のピリ辛鍋 メチャ(゚Д゚)ウマー

馬肉と椎茸のピリ辛鍋 メチャ(゚Д゚)ウマー

二人とも、すぐ近くにお住まいとのこと。涼みがてら時々ここで夜宴するらしい。
飲みながらの話は弾む。この辺りの気候・風土から始まってバイクや釣りなどなど。
僕の出身地に話題が及び、静岡と答えるとこう質問された。
「相良町って知ってるか?(熊本弁趣意)」
「実家からも遠くないです。田沼意次で有名ですよね」
「うんうん、この辺りは、その相良から来た人間が多いんだよ(熊本弁趣意)」
「へぇー? 初耳です」
鎌倉時代、遠江国相良荘出身の相良氏が、この辺りの地頭に任命された。
戦国時代・江戸時代を経て明治維新にいたるまで、その統治は続いたらしい。
その間も静岡の相良との交流が続き、現代でも静岡県相良町と友好都市の提携をしてたりする。
いやはや。今から800年以上も昔の縁が、21世紀にまで生き続けるとは驚嘆するしかない。
「100年前」なんてのは「このあいだ」程度の感覚なんだろうか…。
22:00頃、宴もお開き。お礼を言ってお別れ。
テントに戻って、デザートのリンゴを齧りながらAirH”で掲示板に書き込み。
昼間の暑さを忘れるほど、涼しくて過ごしやすい夜だった。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*