ガヤガヤ…
周りが何やらあわただしい…。うーん…。
…そうか、入港か!
北九州行きフェリーの二等寝台で寝ていたことを思い出した。
夏休みを使った、実質6日間の九州ツーリングなのだ。
寝ぼけ眼で携帯電話の時計を見ると到着まで30分ほどしかない。
慌てて起床。顔を洗って着替えを済ませ、予定通り5:00下船。
まだ薄暗い新門司港フェリーターミナルへ降り立った。さすがに肌寒い。
ほんの二ヶ月前に山陰ツーリングでやって来た港だ。ちょっと懐かしい。
前回はすぐに本州へ渡ったが、今度こそ九州を思い切り走り回るぞ。
まずは朝食。この時間に食事が出来る店は限られている。
しかし、その辺はリサーチ済み。迷わず24時間営業の資さんうどんへ向かった。
北九州中心にチェーン展開しているうどん店らしくジモティの支持も厚い。
5:30、葛原店に到着。注文したのはごぼ天うどん+高菜おにぎり2個。
かしわのおにぎりを食べたかったのだが、残念ながら売り切れだった。
うどんは澄んだ出汁に、やや大盛気味のシコシコ麺。
その上にカラッと揚がった大きなゴボウ天と「資」印の蒲鉾が乗っている。
うんうん美味い。天カスとトロロ昆布が入れ放題なのも嬉しい。朝から食べ過ぎてしまった。
腹も膨れたところで、本格的にツーリング開始。まず向かったのは平尾台の林道群。
北九州空港の脇を南下して、6:00、貫山林道の起点に到着。
舗装林道を登り、昭和池沿いを走って数キロ。
6:10、左に枝分かれしている平尾台林道の起点に到着した。
ここから未舗装路が始まる。しばらくは走りやすい道が続いた。
平尾台支線林道も走ってみたが、2・3kmで行き止まり。
(「林道への案内板」では本線とされる区間だが、看板の位置からするとこちらが支線と思われる)
結構深い溝が穿たれていたが、この後走る本線に比べればなんてことはなかった。
昇ったばかりの太陽に照らされた周防灘が眩しい。
平尾台林道の本線に戻り先へ進む。水晶山の北側をグルリと巡るルートである。
この辺りから本格的に荒れてきた。深い溝だらけで勾配もきつめの酷い道だ。
会津の多々石林道から大きな石と路肩から伸びる木の枝を省いた感じ。
水の流れた後だろうが、それにしても深い。
いちいち停止してルートを見定めながら慎重に進んだ。
どうにも溝を避けて通れない区間で一度転倒。
その後も1m以上の深さのクレパスや、路面の3分の2が欠けた崩落などをクリア。
しかし、最後にコンクリートの溝が横切って出来た段差で二度目の転倒。
九州上陸一時間でこの調子では先が思いやられるなぁ。疲れたー。
7:25、展望の開けた三叉路で休憩。早朝からバテバテである。気温もだいぶ上がってきた。
バイクの脇の地面に腰を下ろし、目の前に広がるカルスト台地を眺めながら息を整えた。
三叉路から左に少し下ってみたが荒れが酷く、危険を感じたのでUターン。
右手に伸びるもう一方の道(塔ヶ峯林道か?)を登って、舗装された貫山林道に再び合流した。
本線を左折し、封鎖していたゲートをモゴモゴして井手浦方面に進む。
やれやれ生き延びた…と安心し、のんびりと舗装路を降った。
だが、7:55、最後の最後にバリケードに阻まれた。脇は抜けられそうに無い。orz
「またあの道を戻るのか…?」と欝になったが、少し手前で分岐していた立花林道の存在を思い出す。
路面は雑草で覆われ廃道っぽかったが、地図とGPSで井手浦に完抜してることを確認。
無事にエスケープできて助かった。8:25、県道28号に合流。
山口の秋吉台や四国カルストとあわせて日本三大カルストと呼ばれるカルスト台地・平尾台。
その景観をもう少し楽しもうと、県道を登ってみた。オンロードも楽しい。
登り、下りとも急カーブのワインディングだが、走りやすい道だ。
途中の駐車場でトイレ休憩。おばさんグループがハイキングに丁度出発するところだった。
8:50、行橋を経由して、県道34号に合流し、今川沿いに南下。
福岡と大分の県境に聳える英彦山(ひこさん)を目指す。
田園風景の中を一時間弱走り続け、添田で給油。
標高が上がるにつれて雲が濃くなってきた。
9:45、R500=英彦山天狗ラインを右折。英彦山は雲の中。残念。
峠を目指して登る途中で雨もポツポツ降り始めた。
10:05、薬師林道の分岐に到着。入り口を見て一瞬怯んだ。
幅員が0.8車線程度しかない、ガレガレ路面。九州はハードな林道ばかりなのか?
「まぁ、行くだけ行ってみっか」
鎌房甲子林道を髣髴とさせる石だらけの道に、とりあえず突入。
薬師峠までの数百m、川原のような爽やかな勾配が続いた。
福岡と大分を結ぶ切り通しの峠付近は落石が酷かった。
大分側に入ると路面の石は減り、多少ましな状況になる。
少し下ると落ち着いた雰囲気の林間へ。薬師渓谷沿いにのんびりと高度を下げる。
ジメジメした天候だが、こういう道にはあっている。
10:35、林道の終点から集落を経てR496に合流。平地へ出たら天気も回復してきた。
東南に下ってR212を右折し、道の駅・やまくにで小休止。
耶馬溪(やばけい)にちょいと寄り道しながら東へ走り続け、11:35、大分の幹線道路R10に接続。さらに東へ。
12:00、宇佐神宮に到着。予想以上に長い道のりだった…。
天候が回復しすぎて暑さもピークに達した。汗をかきかき参拝。
大鳥居を潜ると、美しい蓮華の咲く池が現れた。
社叢から吹いてくるそよ風の清涼感に癒される。
宇佐神宮は全国にある八幡宮の総本宮である。
八幡神=応神天皇を始め神功皇后・比売大神を祭る、伊勢神宮と並ぶ日本の祖廟だ。
八幡大菩薩と称せられるように、古来、神仏習合が盛んな神社だった。
国家守護の神様として武家の信仰を集めたが、明治の神仏分離令で仏教色は薄められた。
今回訪れてみた限り、神仏習合の痕跡は皆無に思えた。ちょっと寂しい気がする。
参拝を終え、12:35、昼食。入り口の大駐車場近くにあった観光客向けの食堂へ。
注文したのは大分名物・だんご汁700円+とり天定食800円。
本来、それぞれ独立したメニューだったが、どちらも食べたかったので無理してオーダー。
団子汁を「だごじる」と呼ぶ地域もあるが、ここでは「だんごじる」だった。
ここのだんご汁は、平たくて太い麺とたっぷりの野菜を味噌で煮たもの。
麺も具も調理方法もほうとうに近い。鉄鍋で出て来たのでなおさらそう感じてしまう。
とり天は酢醤油+練りからしで食べた。油で調理されてるが、酸味と辛味でサッパリとした味わい。
どちらも美味かったが、さすがに量が多すぎた。ってか暑い。汗ダラダラ。
13:05、食事を終えて出発。会津以来調子の悪かったセルがなぜか回復してきた。
ガレ林道での当たり所がよかったのだろうか?
そんなことを考えながら湯布院を目指し県道50号を南下。山の中を快走した。
13:55、道の駅・ゆふいんに到着。トイレ休憩がてら、ここで一服。
遠足か修学旅行か、観光バスと高校生で道の駅は溢れかえっていた。
14:15、県道11号=やまなみハイウェイの北端に到着。
九州ツーリングでもオンロードのハイライトとされる有名コースである。が、残念ながら天候悪し。
とりあえず南下してみたものの、肝心の展望台に限って霧だったり曇ってたり。
道程のほとんどは晴れなのに、九重連山も見えず終いでかなり悔しい。
瀬の本高原でR442を越え、県道11号をさらに南下。大分県から熊本県に入った。
県道45を右折し、15:30、大観峰に到着。
阿蘇山を望む絶景スポットなのだが、しかしこれまた雲の中。
観光バスも来ていたが、周りは白一色で何にも見えない。
うーん、残念だが諦めるしかない。R212を左折して阿蘇の町へと降り始めた。
阿蘇へ下る途中。
何の変哲も無いワインディングで、いきなりズザー!!っと転倒してしまった。
雨上がりの濡れた路面でバンクさせすぎ、リアが滑ったのだ。
幸い後続車も無く、バイクのダメージも怪我もほとんど無かったが、あせった。
今日、転んだのはこれで三度目。気分的に凹むが、気持ちを引き締める機会だったかも知れない。
これ以降、九州ツーリングは終始安全運転を心掛け、転ばずに済んだ。
15:50、阿蘇の町へ到着。街中から阿蘇山の姿は見えるものの、山頂は雲の中である。
給油を済ませてからスーパーで買出し。
おばちゃんの眉毛の濃さに何故か南国を感じてしまう。
16:35、日ノ尾峠へ続く林道桜ヶ水線の起点に到着。
この林道経由でキャンプ場へ向かうのだ。全面舗装済みだったが、景色は良い。
雲もかなり晴れてきて、阿蘇五岳の高岳と根子岳が良く見えた。
この辺、別荘地になってるらしく、分譲・売却の看板が多かった。
16:50、日ノ尾峠を越えた。ここから林道名は鍋の平線に変わる。
峠道を下ったとこで牧場に出た。牛が迷惑そうに離れて行く。すまぬ。
牛避けのゲートを開いて閉じて、17:00、鍋の平キャンプ村に到着。
管理棟の券売機でサイト利用券500円・温泉券300円を購入。珍しい方式だ。
管理人さんがバイクの乗り入れを許可してくれた。ラッキー♪
僕の他には大阪から来たライダー一人と、三人の家族連れが一組。
適度に離れた場所にテントを張って食事の下準備も完了。蚊取り線香もセットした。
一段落したところで、GPSとシガーソケットの接続をチェック。
プラスチック製のプラグを以前割ってしまい、ちと気になっていたのだ。が調べてる最中に痛恨のミス。
ショートさせてしまったのか、シガーソケットのヒューズが切れてしまった。
GPSは電池で動くし、今すぐ充電が必要な機器も無いので、すぐに困るわけではないが、困った。
換えのヒューズを明日にでもどこかで買わねば…。
そんなことを気にしつつ、17:50、近くの温泉へ。
18;00、高森温泉館に到着。さっきキャンプ場で購入した割引券で入館した。
いろいろな風呂があったが、気温が暑いので長湯する気にはなれない。
一日の汗をざっと洗い流して、ちゃっちゃと上がった。
18:40、キャンプ場に戻って晩酌開始。
酒はビール。つまみは熊本名物の地鶏のコーラ煮と生トマト。
やわらかく煮たつもりだったが、地鶏の長所の歯応えが裏目に出てしまった。
手の込んだことをやろうとせず、素直に塩焼きにでもすればよかったなぁ。
適当なところで米を炊いて、地鶏をおかずに夕食。
熊本が誇るふりかけ「御飯の友」も美味かった。
20:00頃だろうか。すっかり日が暮れたころ、バイクが3台やってきた。
その内1台はタンデムなので4人組。やまなみハイウェイで見かけたグループだった。
遅い幕営で夜更けまで賑やかだったが、耳障りなほどではない。
寝る前にトイレへ行こうとテントの外へ出ると、星空を背景に阿蘇山のシルエットが迫ってきた。
よしよし。明日は晴れそうだ。
やまなみハイウェイいいですね〜
一度は走ってみたいなぁ。
平尾台林道本線、荒れてますなぁ
こんなとこキャンプ道具つんでソロじゃ走れない(>_<)っ
>おばちゃんの眉毛の濃さに何故か南国を感じてしまう。
禿同です(笑)
やまなみも一度、ぜひぜひ。
秋とか気持ちよさそうですよ。
大観峰は惜しかった…