紀伊半島凸凹巡礼・森の巻


5:00過ぎ。今朝も自然な目覚め。
体調がキャンプツーリングに順応し始めたかな。
ジャケットを着込んでしばらく散歩。さすがに明け方はまだ肌寒い。
本州最南端の岬で、日の出を迎えた。 今日もどうやら快晴だ。

本州最南端の碑

本州最南端の碑

空の色が徐々に変わる貴重な数分間

空の色が徐々に変わる貴重な数分間

マルタイの棒ラーメン(ミソ)に納豆をぶち込んだやつと、菓子パンの朝飯。
我ながら、めちゃくちゃな取り合わせだなぁ…。
日が高くなるにつれて、早々に出発する人もちらほら。
僕もちゃっちゃとテントを撤収。猫が散らかしたゴミも片付けた。
7:00。昨日会話したライダーに挨拶して出発。
本日、最初の目的地は南紀の代名詞・白浜。
古くからある温泉で有名な町だ。昨日の続き、R42を海沿いに進む。
太陽が照っていても走ってみると結構寒い。
途中、道の駅・イノブターランドすさみでトイレ休憩。
潮岬から一時間ほど走ってR42を左折。
白浜空港の下を潜り抜けると、白浜温泉の巨大なホテルが立ち並んでいた。
途中、景勝地・三段壁千畳敷を見学。

三段壁 熊野水軍が洞窟を隠れ家にしていた

三段壁 熊野水軍が洞窟を隠れ家にしていた

千畳敷 夕日が美しいらしい

千畳敷 夕日が美しいらしい

バイクを停めて歩くと今度は暑い。
三段壁で食べた、和歌山名産の梅を使ったソフトクリームが美味かった。
白浜の代表的な立寄湯・崎の湯に到着したのが9:00。
日曜だけあって、朝なのにかなり混雑していた。
せっかくなので入浴したかったのだが温泉目的の旅ではない。
夕方、キャンプ地近くで入る予定なので、ここは雰囲気を味わうだけにして出発。
駐車場整理のおじさんに「はいらんの?」と聞かれたが、また今度ね。
今入っても、すぐに汗まみれになるだろうから…。

白浜温泉・崎の湯 いつかまた入浴しに行きます

白浜温泉・崎の湯 いつかまた入浴しに行きます

さて、ここからはひたすら内陸部を目指す。
海風に別れを告げ、JR白浜駅をかすめてR311へ。
このR331は中辺路と呼ばれる熊野古道の一つだ。
古来、熊野詣の際に使われてきた由緒ある道だが、現代はとても走りやすい快走路になっている。
冨田川流域をなだらかに登り、やがて奥深い紀ノ国の山の中へ。
昔は幾日もかけて参拝したのだろうが、今はトンネルと橋で峠も谷も簡単にパス。
あれよあれよと言う間に熊野川流域へ抜けて、10:00過ぎ、熊野本宮大社に到着した。

熊野本宮大社 鳥居をくぐる

熊野本宮大社 鳥居をくぐる

両側に幟がはためく参道

両側に幟がはためく参道

階段を上ると八咫烏の幟が出迎え

階段を上ると八咫烏の幟が出迎え

古色蒼然とした社が並んでます

古色蒼然とした社が並んでます

3枚目の写真を撮ってると、若い男女4・5人のグループがやってきた。
「ほら、あれ、サッカーの日本代表で使われてるやつや」
「あ、あのカラス…名前何やっけ…?度忘れしてもうた」
僕は思わずボソリと一言。「ヤタガラス」
「あぁ、そやそや、そうですわ、おおきに♪」
10:30、熊野大社を出発。紀伊半島を縦断するR168を北上。
日本で最も面積の広い村、奈良県十津川村を目指した。
この先に走る予定の林道も含めてガソリンが不安なので、
途中で給油を予定していたのだが、予定していたGSが休みだった。
仕方なく道の駅・奥熊野古道ほんぐうに寄り、近所でやってるGSについて聞いてみる。
「熊野本宮の先にあります」
今来た道を戻るのね…。10分ほどかけて来た道を戻って給油。
GSのおばちゃんの話によると、このあたりのスタンドは日曜日は休みになってて、当番で一軒だけ営業しているそうだ。
戻ってでも給油して正解だった。給油を終え、気を取り直して十津川村を目指す。
熊野川に沿って徐々に高度を上げるに従い、渓谷は深くなり、樹木が鬱蒼と茂った山々が周りを囲む。
和歌山県の古名、紀ノ国はもともと「木の国」が転じたものらしい。
熊野の主神・家都御子神(けつみこのかみ)も、樹木の神としての側面を持つ素戔鳴尊(すさのおのみこと)の別名とされている。(参照’
最高でも2000m未満という適度な標高の山々と、国内随一の降雨量がこの豊かな森を育んだのだろう。
林立する大樹の足元に立つだけで、原始の人々でなくとも畏怖の念を抱いてしまう。
伊勢神宮や熊野三社、大峰信仰に高野山…神・仏・修験の聖地がこの紀伊半島にあるのは歴史の必然なのかも知れない。
11:30、十津川村に到着。温泉の硫黄臭が漂っている。
現代では自然に恵まれた秘境の温泉郷として成り立っているが、実は歴史に何度も登場する由緒ある土地なのだ。
記紀の神武東征から始まって、壬申の乱に源平・保元の乱、南北朝時代にも幕末にも歴史の舞台に登場する。
また北海道・新十津川町の開拓団も有名らしい。僕の知り合いにもその町の出身者がいる。
(行ったらよろしくと言われたが、どうしたものか?)
とりあえず、ダムのほとりの食堂兼居酒屋で昼食。
カレイの煮付けに山菜の煮物をいろいろ添えた定食をあつらえてくれた。
1000円取られたが、大変おいしゅうございました。

十津川温泉郷と十津川ダム

十津川温泉郷と十津川ダム

さぁ、実はここからが今回のツーリングのメイン・イベント!
この秘境から、さらに山奥へ分け入っての長距離林道だ。
渓谷を縫うように走るR425をしばらく龍神方面に進み、川津今西林道へ。
分岐点を間違って民家の畑へ入り込んでしまったが気にしない。
川津今西林道の本線は舗装路だが、とにかく進む。
うねうねうねうねと狭苦しい登りのワインディングが続き、ようやく尾根道へ。
しばらく進んで、目的の未舗装路の分岐点に到着。時刻は12:30。

ここで左折 ドキドキ…

ここで左折 ドキドキ…

尾根の下を横切る筋を今から行くわけです

尾根の下を横切る筋を今から行くわけです

ここからの未舗装路。実はまだ正式名もないらしく、仮に護摩壇山今西林道とか、県営作業道とか呼ばれている。
奈良県と和歌山県の県境にある山々の尾根を結び、猪笹林道に合流して、護摩壇山へ抜けられるらしい。
(猪笹林道との分岐までを含めて川津今西林道と呼ぶのが地元では一般的、ってことが後に判明したのでその名称を採用します)
一応、地図でだいたいの行程は調べたが、登山道のような細い破線を結ぶルートしか確認できなかった。
まぁ行けると言ってる人間が複数いるし、進めなくなったら引き返せばいいさ。レッツらゴー。
路面は四輪のタイヤの後が目立つ。軽トラックが辛うじて通れるくらいの復員だ。
ガードレールなど勿論無い。道を外れたら谷底に真っ逆さま。
生きて帰ることが最優先なので、なるべく臆病にノロノロと進んだ。
尾根道なだけに景観はとにかく素晴らしい。
御荷鉾林道以上。剣山スーパー林道に匹敵するかもしれない。
開放感に満たされながら、紀伊半島の屋根を西へ進む。
三浦峠を越えたあたりから明らかに道の状況が悪化した。
ここで一度支線に迷い込み、石がゴロゴロして復員の狭い悪路を走らされたが、本線も負けてはいない。
土砂崩れと路肩崩落の挟み撃ちで、四輪じゃとても無理そうな難関が何箇所もあった。

白い縦線が崩れている部分ですね

白い縦線が崩れている部分ですね

祈るような気持ちで通過

祈るような気持ちで通過

このまま無事に抜けれるのか?
一人で崖に落ちないか?
落石や土砂に巻き込まれないか…?
いろんな不安がよぎりながらもとにかく前進。
崖に面したトラバースルートの途中で放置されたバイクを見つけた。
ライダーは無事なのかと気になって崖下をしばらく眺めたがいないようだ。
どうやらトラブルが発生したためにバイクを置いて下山したらしい。
ここじゃバイク屋を呼んでも絶対に来ないだろうなぁ…。

放置されたランツァ

放置されたランツァ

よく見るとスプロケットに荷ひもが絡まってました

よく見るとスプロケットに荷ひもが絡まってました

雄大な眺望と時々現れるフラットな区間に慰められつつ、崖又山鉾尖岳を越え、川津今西林道から猪笹林道の区間へ。
護摩壇山までもう少し…
ってとこで、なぜか道を間違えちゃった!!(てへ♪)
そして、ここからが悪夢の始まりだった…。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*