怪人M氏登場


夏も終わりに近づいて、ようやく暑さを思い出したようだ。
久々に晴れた週末。雨に祟られたお盆休みを取り戻そう、そんな家族連れも多いはず。
僕も平日夜中まで頑張って仕事に一区切りつけ、晴れ晴れとした気分でひさびさの林道へ出かけた。
今回は珍しく二人連れである。パートナーは腐れ縁のM氏。軽く紹介をしておこう。
M氏は都内のとある私立高校で生物の講師をしている。
自然科学の知識がすこぶる豊富で、昆虫の専門家。
またPC関連の知識もDOS時代から蓄積されており、僕もずいぶんお世話になった。
そのうえバイクは、かつて趣味でオフロードのエンデューロレースにも出場していたほどの腕前。
フラットな林道ならかなりやばいスピードを出してしまうそうだ。
キャンプツーリングもベテランでなんとも頼もしい存在である。
が、しかし!
この人、まれに見る悪食で何でも食う。
釣れても普通は捨てられるような雑魚や毒魚、昆虫や野草などとりあえず口に入れる。
「見た目が美味しそうだったから」とクモの卵を生食したこともあるらしい。
この人の「美味しい」は「食べても死なない」と同意義かと思う。
いろんな意味でディープな人である。

左:私のセロー 右:M氏のBAJA

左:私のセロー 右:M氏のBAJA

さて午前6時、塩犬宅前に集合し出発。
今回の目的地は長野県の入笠山周辺の林道である。
前回、山梨でキャンプをした場所の少し先にあたるのだが、今回はM氏の希望もあり高速道路を使用した。
高速は伊豆ツーリングで多少使ったことがあるが、 これほどの長距離移動は初めてだ。
中央フリーウェイ~♪
右に見える競馬場~♪ 左はビール工場~♪
この道は~♪ まるで滑走路~♪ 夜空に続く~♪
(JASRACほげほげ)
とユーミンを口ずさみながら中央高速を一路西へ。
セローはせいぜい100kmしか出ないので、嫌でも安全運転になってしまう。
途中、談合坂PAで朝食。七時を少し過ぎたくらいなのにずいぶん混雑してる。
なんとか席を確保して山菜そばを食す。ガソリンを補給して8時前に出発。
諏訪南ICを降りたのが9時15分。そこから多少迷いつつ、入笠山への道を探す。
このあたりの道は入り組んでいて分かりづらい。地元の人に道を聞いたが、言葉も分かりづらい。
で、どうにか金沢林道の入り口までたどり着いた。ジャンケンで僕が先に行くことに。

「よーし、いいとこ見せるぞー」
と、思ったのが間違いのもと。

っと、砂利の浮いた急カーブでバランスを崩し転倒。
転倒らしい転倒は,、バイクに乗り始めて今回が初めてである。
人間、調子に乗ってはしゃぐとろくなことが無い。

撮影M氏 嬉しそうにシャッターを押してた…

撮影M氏 嬉しそうにシャッターを押してた…

あぁ、太いさ!文句あっか!?(゚Д゚#)

金沢林道 自転車が非常に多い

金沢林道 自転車が非常に多い

ブレーキレバーが曲がり、フロントフォークがゆがんでしまったが、力ずくで元に戻す。
膝から血も流れてたけど、それ以上に痛かったのは、買ったばかりの1万5千円もした防水ライディングパンツが破れてしまったこと。
以後、M氏を先に行かせ、僕は安全第一で進むことにした。
砂利に気をつけてのんびり走れば何の障害も無いフラットなダートである。
難なく、目的地の入笠山山頂手前までついた。

入笠山の山頂手前にある山小屋

入笠山の山頂手前にある山小屋

これはクスサンという蛾の繭だそうです

これはクスサンという蛾の繭だそうです

「ここの山頂からの眺めは絶景」と社長の奥さんから聞いていた僕は、当然登るつもりでいた。
30分程度歩けば登れるらしいのだが、M氏が頑として拒否。40過ぎで最近運動不足だからに違いない。
仕方なく、散策は諦め林道ツーリングを続行。
結構、入り組んでいるため周辺全ての林道を走ろうとすると、
グルグルこま鼠のように同じ道を何度も通らねばならなかったりする。
途中、林に遮られた名ばかりの展望台で休憩。
正午近かったのでついでに昼食。
メニューはサラスパを使った明太子スパゲティ。

これなら失敗のしようがないか

これなら失敗のしようがないか

八ヶ岳がドーンとそびえてます

八ヶ岳がドーンとそびえてます

昼食を済ませて今後のコース計画会議。
「南アルプスの西側を南下する黒河内林道を抜け、長谷村で温泉&買出し」という僕の提案に、
地図も何も持ってきていないM氏は一も二も無く同意。12:30、出発。
さっきも通った山小屋でトイレ休憩などして、なんだかんだで13:20、黒河内林道に到着。
丁度、向こう側から大型バイクに乗ったライダーが来てゲートを開けようとしていた。
開けてる最中に、停車中の彼のバイクが転倒。BMW製の1150ccに荷物満載でさすがに重そうだ。
僕は 転倒のつらさを味わったばかりなので、迷わず手助け。 それにしてもBMWのバイクをよく見かける…。
さて、黒河内林道はカーブが少なくフラットでずいぶん走りやすかった。
先を行くM氏は、土ぼこりだけを残し、あっという間に見えなくなる。
僕はマッタリ景色を眺めつつのんびり巡行。
14.5kmのダートを抜け、南アルプス登山の玄関口・戸台口バス停を通り、国道152号線へ出たのは14:00。
そこから温泉に向かったのだが、ツーリングマップルの情報が少しずれていたため、しばし迷うことに。
14:20、 「南アルプス生涯学習センタ-・気の里・入野谷」という、なんとも長い名前の目的地にようやく到着。
名前は怪しげだが、こじんまりしたきれいな温泉だ。建物も建てられたばかりだろうか。
これで500円。かなりお得である。二人とも結構疲れて眠かったので、汗を流した後、休憩所で仮眠することに。

南アルプス生涯学習センタ-・気の里・入野谷

南アルプス生涯学習センタ-・気の里・入野谷

16:00。走り回る子供と甲子園決勝戦のせいで、休憩室はかなりうるさく、ほとんど眠れないまま出発。
野宿に備えて水を汲みたかったのだが、ペットボトルで売られてる商品しか見当たらない。
仕方ないので「薬を飲まなければならない」とフロントで嘘をついて、給湯室へ案内してもらった。
これで今夜の飲み水はOK。次は食料買出しである。
地図上ではこの辺にAコープがあるはずなのだが、フロントの女性に「土日は休み」という衝撃的な事実を伝えられた。
計画を変更し、国道を北上。この周辺でもっとも大きな都市であろう伊那市を目指す。
16:20。伊那市の手前の高遠という集落でかなり立派なスーパーを発見。ラッキー♪
M氏と塩犬、各自好き勝手に夕食と朝食の買出しを行う。
買い物を終えたら近くのスタンドでガソリンも満タン。これで万全。
17:00。いよいよ宿泊地の特定開始!
のんびり構えてるようだが、これまで走りながら候補地は何箇所か見つけてある。
どこもダメだったら、入笠山のキャンプ場(1人400円)もあるので気分的には楽だ。

このダム湖の湖畔も候補だったのですが

このダム湖の湖畔も候補だったのですが

この看板見て諦めました

この看板見て諦めました

結局、黒河内林道の脇を流れる小黒川の川原を野宿地に決定。17:30。
天気予報は晴れだし、上流にダムが無いことも確認済み。
バイクを止め、荷物を降ろし、テントを張って一安心。
M氏の買ってきたサワーで乾杯。
ほろ酔い気分で日没までのわずかな時間、二人で夕まずめの渓流釣りを楽しんだ。
釣れた魚はもちろん夕食に…
…なるはずだったが、釣果・なし。食料を買っておいて本当によかった。
車でも入りやすい川原だから、あらされてるのだろう。中州に 浮き輪まで落ちてる。
日も暮れた。さあ、宴会!
と言っても瓶の梅酒を一杯ずつ。二人とも大人だから、完全に酔っ払うほどは飲まないのだ。
地元産キノコの塩バター炒めやら、インゲン入りさつま揚げやら、トマトやら納豆やらをつまみながら、とりとめもない話をする。
M氏の昆虫に関する薀蓄は、こちらが質問するほど次々出てくるので面白い。
実生活では何の役にも立たないトリビアばかりだが…。

それなりに豪勢な宴♪

それなりに豪勢な宴♪

宴の〆はカップラーメン。お湯を沸かして注いで待つだけ。
キノコ炒めの余りを入れて、ズルズル・ハフハフ。
ただのカップメンだがこういうシチュエーションだと実に美味い。
片づけを終え、NGSを済ませて就寝。
山奥の夜。静かだと思い込みがちだが、そうでもない。
遠くの町から聞こえる打ち上げ花火の音。
テントの間近を流れる川のせせらぎ。
時折、林道を通り過ぎる車のエンジン音。
動物が踏んだのか、木立で枝が折れる音。
遥か上空を飛ぶ飛行機。
となりのテントでなにやらガサガサ…。
酒と疲れで確かに眠いのに、いろんな音が気になってなかなか寝付かれない。
キャンプって、たいていこうなのかも…。



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