魁!山菜塾 飛騨の章


まだ夜も明けきらぬ午前4:30、人の気配で目が覚めた。
黒洋梨さんがタープの下でくつろいでる。
車中泊したが寝心地が悪く眠れないので起きてきたらしい。
昨日の寝坊した時間を考えると生活リズムが夜型のためと思われるが突っ込まないでおこう。
僕はまた寝て5:30頃起床。雨はまだ降っていた。
そのうちmudさんも起き出して朝食調理を開始。

タープに椅子・テーブル…まるでオートキャンプだ!

タープに椅子・テーブル…まるでオートキャンプだ!

米が炊き上がる頃には飛騨半さんも起きてきた。
重曹でアク抜きしたワラビは煮びたしと卵とじにされた。
ウドは豆板醤炒め。固い茎も芯の部分は充分食べられる。
朝飯から豪華なオカズで嬉しいなぁ。

アク抜きされたワラビ これでも収穫の一部です

アク抜きされたワラビ これでも収穫の一部です

油揚げとワラビの煮びたし (゚Д゚)ウマー

油揚げとワラビの煮びたし (゚Д゚)ウマー

ウドの豆板醤炒め 癖のある香りが(゚Д゚)ウマー

ウドの豆板醤炒め 癖のある香りが(゚Д゚)ウマー

ワラビの卵とじを御飯に乗っけて…ウヒヒ

ワラビの卵とじを御飯に乗っけて…ウヒヒ

ついでに昨日、土産物屋で購入したざざむしも登場させた。
ざざむしとはご存知、伊那谷名物の昆虫食である。
砂糖と醤油と味醂で甘く煮てあるが、やはり妙な臭みがある。
食べられないことはないが、他に蛋白源があるならそちらを選ぶだろうなぁ。

ざざむし これ一瓶で1500円くらいの高級品

ざざむし これ一瓶で1500円くらいの高級品

ヒゲナガカワトビゲラの幼虫…ですよね?(後日撮影)

ヒゲナガカワトビゲラの幼虫…ですよね?(後日撮影)

四合炊いた銀シャリも黒さんがきっちり片付けてくれた。
たっぷり食べて撤収開始。雨はほとんどやんでいたが雨具は一応着ておこう。
テントを畳んで荷物をセローに積んだ。
mudさんのタープは4人がかりで片付け、石を戻して撤収完了。

さて出発 幸い雨はひと休み

さて出発 幸い雨はひと休み

木曽川水系末川 月夜沢はさらに上流

木曽川水系末川 月夜沢はさらに上流

さて今日の予定だが僕とmudさんは月夜沢林道を走って野麦峠を越えて高根方面に降る予定。
飛騨半さんは舗装路で高根に先回りし、山菜ポイントへ案内してくださるそうだ。
黒洋梨さんは満腹になって眠気が戻ったらしい。
幕営地で一眠りしてから帰宅とのこと。ってことで、9:20、出発。
ジムニーと一緒に月夜沢林道を北上する。

月夜沢林道 渓流沿いに遡ります

月夜沢林道 渓流沿いに遡ります

沢筋を離れて勾配きつめの峠道に

沢筋を離れて勾配きつめの峠道に

それにしてもmudさんのジムニーは速い。
僕の走りがヘタレなのは自覚してるが、林道で四輪に煽られるとは…。
先行していただき引き離されたりしつつ、9:45、1700m弱の月夜沢峠に到着。

月夜沢峠 関所破りに使われたらしいです

月夜沢峠 関所破りに使われたらしいです

標高1695m どんな旅人が通ったのかなぁ…

標高1695m どんな旅人が通ったのかなぁ…

峠の前後は雨を覚悟してたのだが降られずに済んだ。
北側は荒れ気味なのだが以前より軽めの印象だ。多少は経験を積んだからかなぁ。
僕は途中で写真を撮ってるせいもあるが、mudさんのジムニーはずっと先に行ってしまった。

月夜沢峠からの眺めです

月夜沢峠からの眺めです

北側は荒れ気味 まぁ問題はないと思いますが

北側は荒れ気味 まぁ問題はないと思いますが

沢筋まで降りると路面の水溜りが増えてきた。
マイペースでまったりと進んで、10:05、終点に到着しmudさんと合流。
県道39号を左折してワインディングを登り野麦峠を目指す。

沢筋はジメジメした林間のダートです

沢筋はジメジメした林間のダートです

野麦側の月夜沢林道分岐

野麦側の月夜沢林道分岐

10:20、野麦峠に到着。霧が立ち込めているがここでも雨は降っていない。
途中で追い越したディーゼルワゴンの運転手が話しかけてきた。
「軽なのにずいぶん速い」とmudさんのジムニーに感心していた。
お助け小屋という茶屋もあったが先を急ぐので外から眺めただけ。

野麦峠・工女の碑 「ああ飛騨が見える…」

野麦峠・工女の碑 「ああ飛騨が見える…」

お助け小屋 まだ昼食には早いのでスルー

お助け小屋 まだ昼食には早いのでスルー

飛騨川沿いに降って、11:00近く、高根で飛騨半さんと合流した。
山菜ポイントへ移動して雨具を外し、山菜塾二日目の開講である。起立。礼。着席。
今日の獲物はワサビが中心だ。沢筋に群生していくらでも採れる。
野生のワサビは根が貧弱なため、もっぱら茎と葉が採取対象である。
なるべく長くて太い茎の根元付近に指を伸ばしてポキリと折り取る。
間違えて根から抜けた場合は根だけ土に埋め戻そう。
間引くように広く薄く採るのがマナーである。

飛騨半さんの軽トラ(仕事用)とmudさんのジムニー

飛騨半さんの軽トラ(仕事用)とmudさんのジムニー

ワサビ 山葵の字の通り葵に似た葉です

ワサビ 山葵の字の通り葵に似た葉です

ウワバミソウ(ミズナ)も生えていた。
が、癖が無さ過ぎて通のお二人は余りご執心でないらしい。
数は少ないがオオバギボウシ(ウルイ)もいくらか採取した。
形状は違うがどちらも茎の部分を食べるため、根元で折って葉は落とす。

ウワバミソウ(ミズナ) 茎を食べます

ウワバミソウ(ミズナ) 茎を食べます

オオバギボウシ(ウルイ) 若芽が美味らしいです

オオバギボウシ(ウルイ) 若芽が美味らしいです

それにしてもmudさんの採取ペースは速い。飛騨半さんは危なっかしい僕のお守り役。
この二人にマンツーマンで山菜を実地講義してもらうって贅沢だよなぁ。
スーパーのビニールに葉ワサビとその他をたっぷり採って退散。
そばにホオノキ(朴の木)があったので飛騨半さんが葉を何枚か採ってきてくれた。
パッと見、トチノキ(栃の木)と似ているが葉脈の濃さや葉の付き方が違うらしい。

あそこに見えるのがホオノキです

あそこに見えるのがホオノキです

新鮮な朴葉 素敵な薫りがします

新鮮な朴葉 素敵な薫りがします

山菜ポイントを離れ国道361に復帰したのは12:00くらいだろうか。
朝方の雨の懸念はどこへやら。あれほど曇っていたのを忘れるくらい強い日差しだ。
飛騨半さんに幕営候補地や吊橋などを案内されつつ高山を目指す。
朝日貯水池や秋神貯水池を過ぎ、美女街道で飛騨ふるさとトンネルを抜け市街地へ出た。

高根町中之宿の吊り橋

高根町中之宿の吊り橋

かつてはこの先にも集落があったそうです

かつてはこの先にも集落があったそうです

右左折を繰り返し、地元民でなければ迷うであろう裏道を進む。
12:50、一旦、飛騨半さんはご自宅に寄って黒のKSRに乗り換えた。
高山市街の中心部に入り、13:00、飛騨半さんおススメの店・ちとせに到着。
ここの焼きそばが高山市民のソウルフードとのこと。ならば食わねばなるまい。
いか・肉・玉子の具を全て乗せたスペシャルというメニューがあった。
その大盛りが大スペシャルらしい。
mudさん「大スペシャルのさらに大盛りってのはできますか?」
店員さん「え? はい、できますけど…」(※ 並でも量が多いと評判の店です)
塩犬「では、僕はその大スペシャルの大盛りで」
飛騨半さん「イカ苦手なので、肉玉子焼きそば大盛りの大盛りで」
mudさん「んじゃ、大スペシャル焼きそばの大盛りを定食(御飯+スープ)で」
店員さん「…えっと…肉玉大の大一つに大スペシャルの大を二つ、片方は定食ですね」
三人「はーい」
ただでさえ安さとボリュームが評判の店である。大盛りの大盛りとなるとさすがに量が多い。
大きな皿に山盛りになって運ばれてきた。一皿に麺3玉は使ってるだろう。
3人で9玉である。mudさんはさらに銀シャリとスープである。
柔らかめの麺に甘めのソースがなじんで美味い。具もボリュームが多く十分満足。
ハフハフモグモグ、ズビズビズババと三人無事に完食。
ちなみに飛騨半さんに言わせると高山の麺類はとにかく柔らかいらしい。
地元の好みに併せると、パスタはアルデンテどころかソフト麺になってしまうそうだ。

高山・ちとせ 焼きそばは市民のソウルフード

高山・ちとせ 焼きそばは市民のソウルフード

ちとせの焼きそば ボリュームたっぷりで(゚Д゚)ウマー

ちとせの焼きそば ボリュームたっぷりで(゚Д゚)ウマー

満腹にひぃひぃ言いながら、13:25、出発。強烈な日差しは相変わらず。
僕は林道を一本走ってから平湯を経て松本に抜けて帰宅する予定である。
林道の入り口まで飛騨半さんに案内してもらうことになった。
R158を東に進み、丹生川で給油を済ませ国道を離れた。
裏道をウネウネと抜けて、14:15、八本原林道の起点に到着。
ここで御両人とお別れ。二日間ありがとうございました!
八本原林道は、高山・平湯間のR158の北側を東西に伸びる林道である。
国道沿いに横たわる尾根筋を繋ぎ四輪も通行可能。20km弱の長距離極上完抜ダートだ。
詳細は林道浪漫さん特設ページをご覧いただきたい。
ってことで、早速走行開始。レッツゴー。

公共林道八本原線の起点

公共林道八本原線の起点

本線だけでも19kmを超えるダートです

本線だけでも19kmを超えるダートです

路面はおおむねフラット。四輪のラリーで使われてるほどなので幅員も広い。
尾根に近いルートなので展望もしばしば開ける。
彼方に見えるのは乗鞍岳だろうか。雪渓が涼しげだ。

最高地点は標高1400m以上ありました

最高地点は標高1400m以上ありました

ドーンと広がる展望を楽しみつつ快走

ドーンと広がる展望を楽しみつつ快走

眼下に広がる濃緑の森林

眼下に広がる濃緑の森林

「望岳の道」と書かれた石碑がありました

「望岳の道」と書かれた石碑がありました

行程の四分の三ほども過ぎたろうか。
下り勾配のカーブを曲がり、開けた直線の前方に中型犬ほどの生き物がいた。
丸っこい体格。漆黒の毛並。図太い足首。無様に走る後姿…。

   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | クマ──!!
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)

間違いない。熊だ。ツキノワグマの仔だ。慌てて停車。
逃げる小熊はガードレールを潜り、路肩から谷の方へと降りていった。
おそらく親熊がそこで待っているのだろう。ガクガク(((;゜Д゜)))ブルブル
一瞬、写真撮影も考えたが初対面なのでやはり恐怖が先に立つ。
逃げたガードレールとは反対側の路肩一杯に寄せてソロソロと通過。
はー、怖かった。飛騨の山奥はおっかねーなー。
ドキドキしながら続きを走って、15:00、走行完了。
平湯側の分岐からR158を平湯方面に左折した。

熊と初対面 あー怖かった(写真は本文とは無関係です)

熊と初対面 あー怖かった(写真は本文とは無関係です)

八本原林道 平湯側分岐

八本原林道 平湯側分岐

平湯トンネルを潜り、15:15、平湯バスターミナルで小休止。
トイレを済ませ、冷たいお茶で一服つけて、15:35、出発。
通行料金600円を支払って、安房峠道路へ。

平湯バスターミナル 土産物を売ってます

平湯バスターミナル 土産物を売ってます

安房トンネル …の西側の湯ノ平トンネルですな

安房トンネル …の西側の湯ノ平トンネルですな

安房トンネルから有料区間を抜け、上高地への分岐をスルー。
連続する狭いトンネルとスノシェードを通過して松本を目指す。
16:00、奈川渡ダム(梓湖)でちょいブレイク。空の雲が厚くなってきた。

梓湖 よくもまぁこんなに水を貯めたものだ…

梓湖 よくもまぁこんなに水を貯めたものだ…

奈川渡ダム 堤上をR158が通ってます

奈川渡ダム 堤上をR158が通ってます

平地に降りると左手に麦畑があった。
麦秋とも呼ばれるこの季節、黄金色に実った麦穂が誇らしげに屹立している。
『実るほど頭を垂れる』稲穂とは好対照である。
稲作中心の文化と麦作中心の文化との違いにも通じてたりして。

麦秋 黄金色の麦畑

麦秋 黄金色の麦畑

収穫の時は近そうです

収穫の時は近そうです

松本市街に入ると、雲行きは急激に悪化した。
夕立を警戒し、16:45、雨具を着けようとコンビニへ寄る。っと、いきなり雨が降り始めた。
見る間にバケツをひっくり返したような豪雨となる。これは酷い。
これまでのツーリングでも五指に入る勢いだ。
また雨男が近くにいるのかなぁ…一体どこに…。

松本で凄絶な集中豪雨に遭遇…

松本で凄絶な集中豪雨に遭遇…

雨具を完全武装し、少し雨脚が弱まったタイミングで、17:00、雨の中に飛び込んだ。
二輪の僕は勿論、周りの四輪も時速20~30km程度のスピードしか出せない。
松本ICから長野自動車道に乗ったが、合流区間には雨を避けて緊急停車中の車が何台もいた。
そんな状況だったが、スピード控えめで5kmも南下するともう小降りになった。
塩尻から岡谷に至るころには雨は止み路面も乾いている。ごく局地的な集中豪雨だったのね。
中央道では相模湖以降、東京まで降られたが雨脚は極弱かった。20:00前に無事帰宅。
週明けには品評会という名目で行きつけの店・Kannaに集まり、mudさんが持ち帰った山菜を味わった。
やはり天然物の山菜は美味いなぁ。これからは脇見運転に注意しながら探してみようっと。



コメント

魁!山菜塾 飛騨の章 — 3件のコメント

  1. 飛騨の章、拝読いたしました~
    山菜、豪食、林道と楽しまれて熊初体験のオマケつき
    なかなか楽しまれましたね☆
    八本原林道の写真は美しいっす…半さんと訪れたときは
    霧がかった中を半さんにくっついて疾走していたので、
    こんなに美しい景色だとは知らなんだです、ハイ。

  2. どもども黒さん、お疲れ様でした。
    八本原林道、えがっだです。紅葉の時期の快晴の日に行ったら最高でしょうねー。
    ちとせの焼きそば、機会がありましたら黒洋梨さんも味わってくださいませませ。

  3. 魁!!山菜塾 Part〓(木曽・飛騨遠征編 二日目)

    んがぁ〜・・・・・。(-o-)zzzZZZ..。 爆睡者の夜は更ける。 夢か?現か? 確か夜半からは、シトシト雨が降っていた様な??? 枯れ果てた記憶の彼方で誰…

海千山千ぷらす1 (本舗) へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*