ソロキャンパーのための炊飯教室


水と火さえ用意できるなら、お米は実に優れた携帯食です。キャンプ・ツーリングで必ずしもお米を炊く必要はありません。でも、『いつでもどこでもお米を炊ける』その安心感はかなり大きい。時間的にも空間的にも金銭的にも行動の制約が飛躍的に減少します。しかし、一人分の米を炊くとなると失敗しやすいのが難点。なるべく失敗の少ない炊き方を僕もいろいろ試行錯誤してきました。お役に立つか分かりませんが、ソロキャンパーのための塩犬流炊飯術を披露いたします。(そんな大層なものじゃないけどね)


用意するもの

用意するもの
・米
・水
・ストーブ(コンロ)
・シェラカップ(計量用)
・コッヘル(クッカー・鍋)

米について

米について
僕は無洗米を使ってます。水場が近くに無い場所で野営…そんな時、研がずに済む無洗米は意外と重宝するのです。2kgのを買ってきて、ジップロックに小分けして持ち歩いてます。1kgあれば朝晩自炊で丁度一週間程度。無洗米についてはこちらのサイトに詳しく解説されてます。

水について

水について
水は汲める時に汲め! これが鉄則。飲めそうな水があったら迷わず補給しましょう。僕は2リットルのペットボトルを水筒代わりに使ってます。なくしても惜しくないし、いらなくなったらリサイクルBOXへポイ。ちなみに水場が複数ある場合、『銘水 > 湧水 > 上水道』が僕の優先順位です。いざとなれば沢水でも可。お腹が丈夫な人に限りますが。

ストーブについて

ストーブについて
コンロ・ストーブは人それぞれ好みで。卓上コンロでももちろん可。僕はスノーピークのギガパワーWGガソリンストーブを愛用しております。ポンプ部分のリコールなどもありましたが、プレヒート不要で火力の微妙な調節も可能なので気に入ってます。これまで自己責任で赤ガス(=普通のガソリン)のみ使い続けてますが、今のとこ問題無し♪

シェラカップについて

シェラカップについて
計量さえできれば何でもいいです。僕が使ってるのは、いかにもアウトドアっぽいチタン製シェラカップ。いやまぁ、正式にはシェラカップはシェラクラブ製品に限るんだけど細かいことは気にしないで。計量だけでなく味噌汁やコーヒーを作る時にも使ってます。これまで無くさずにいることが我ながら不思議。

コッヘルについて

コッヘルについて
フタがある小型の鍋です。何となく飯盒がよさそうな気がしますが、実際に使うとたぶん大きすぎます。僕はユニフレームのトレイルスクエアコッヘル3を使用。四角でパッキングしやすいのが嬉しいです。小鍋のフタの取っ手が重石を乗せる時に邪魔だったので、出っ張らないよう細工しました。細工と言っても、土台のフタを強引に凹ましただけですけどね。100円ショップの小さな土鍋とか意外といいかも。


できれば美味しい御飯が食べたい。それは当然ですが、御飯は一度にたくさん炊くほど美味しくなるもの。少量の炊飯で味覚を追求するのは限界があります。むしろ目標として適切なのは食べるのが苦痛ではない御飯。慣れてないと、これでも難しいんですよ…。
A.芯が残ってるゴワ飯
B.おかゆもどきのベチャ飯
C.オコゲを越えた焦げ飯
以上のような食べるのが苦痛な御飯を避けるべく、いざ炊飯!

1.米をコッヘルに入れる

1.米100ccをコッヘルに入れる
米と水の量はできるだけ正確に計りましょう。目分量だと失敗率が格段に上がります!!
僕は米100ccが基準です。晩酌でお腹が膨れる分も考えると、一合=180ccは一食分としてはちょっと多い。ちなみに無洗米は通常の精米と比較して、同量でもヌカの分だけ米粒が多いようです。

2.米をとぐ

無洗米でない場合は。お米をとぐ必要があります。水を2・3度替えながら手でお米をかき混ぜて下さい。気合を入れて掌底でガシガシとやる人もいますが、米粒をつぶすのはやりすぎです。とぎ汁の濁り具合がある程度透明になったらOKでしょう。

3.水を注ぐ

3.水を注ぐ
水を入れます。通常は米の量の1.5~1.7倍、無洗米の場合は1.8~2倍くらいが妥当です。僕は米100ccに対して水200ccを入れてます。といでいる間に吸水している普通の米に比べて、無洗米は通常より多めの水を…ってことで、この比率に落ち着きました。鍋の大きさにもよりますが、余分な水分はほとんどふきこぼれます。少ないよりは多いほうが良いでしょう。塩を少し入れると美味しくなるって話も聞きますが試したことはありません。

4.30分~1時間以上、コッヘルをテントの隅に放置

4.30分~1時間以上、コッヘルをテントの隅に放置
さて、浸漬(水に漬けること)ですが、この時間が足りないと芯が残ってAのゴワ飯になります。少なくとも30分、できれば一時間以上、水に浸して下さい。朝食の分など一晩漬けたままでもOK。ゴワ飯よりずっとましです。ここで一点注意!
コッヘルは必ずテントの隅に置きましょう!
浸漬の間に荷物整理や温泉・買出し、晩酌などするわけですが、これまで何度コッヘルに躓いてひっくり返したことか…(ノд・、)
一度こぼすと水の量が不正確になり失敗率があがります。っつーか、疲れている時に濡れた米粒を片付けるの面倒くさいよ、まじで。。

5.コッヘルを火に掛ける

5.コッヘルを火に掛ける
お米を充分水に浸したらいよいよ炊飯です。ストーブに点火し、火力が安定するのを待ってからコッヘルを五徳に乗っけましょう。僕は前室にバーナーシートを敷いて調理することが多いですが、テントの中で火を使うのは大変危険なので、なるべく野外にして下さい。やむを得ず室内で調理する場合は、火の高さや換気、燃料の扱いなどに十分配慮してください。

6.中火の火加減で加熱

6.中火の火加減で加熱
「はじめチョロチョロ、中パッパ」とよく言いますが、火加減は中火でOKです。コッヘルの底面全体を満遍なく熱するのが理想的。風や気温に応じて適当に調節してください。加熱開始から10~15分ほどで勢いよく湯気が出始めます。熱湯がグツグツとふきこぼれますが、火が消えない程度なら構わずにおきましょう。ふきこぼれが激し過ぎる場合はストーブが消えないように火加減をやや弱めて下さい。弱めすぎるとBのベチャ飯になるのでご注意を。

7.フタが外れないように重石を乗せる

7.フタが外れないように重石を乗せる
沸騰が始まる前後から、鍋のフタが暴れ始めます。フタは内圧を高めるために必要なので、外れないように重石を乗せておきましょう。あ、石でなくても全然構いません。シェラカップで味噌汁を作ったり、レトルトのカレーや焼き鳥の缶詰を暖めたりして余熱をご利用下さい。写真はサンマのバターソテー調理中の図。さすがに炊飯完了後、過熱しなおす必要がありました…。

8.湯気から煙になったら火から下ろす

8.湯気から煙になったら火から下ろす
さぁ、いよいよ炊飯も佳境に。火から下ろすタイミングを見逃さないよう、ふきこぼれが一段落したら鍋から目を離さないで下さい。そのうち白い湯気が一旦途切れ、暴れていたフタも大人しくなります。しばらくすると今度は白い煙がゆっくりと立ち昇ります。ポイントは匂い。湯気はでんぷん主体の甘い香りがしますが、煙は焦げ臭いのですぐわかるはず。白い気体の匂いを嗅いでみて「ちょっと焦げくさいな」と感じたら、すぐ鍋を火から下ろして下さい。ふきこぼれが焦げた匂いも混じりやすいので、その点だけ気を付けて。このタイミングが早すぎるとベチャ飯、遅すぎると焦げ飯に…。熱せられた鍋を扱うときは火傷に注意。

9.5~10分ほど蒸らす

9.5~10分ほど蒸らす
鍋を火から下ろしたら、5~10分ほど蒸らしましょう。できればフタをしっかり押さえて逆さに置いて下さい。上下に振ったり底を叩くなりして鍋の底から米を剥がすとモアベター。この一手間で美味しさが違う気がします。フタを押さえるときは軍手など着用のこと!写真は温泉帰りの濡れタオルで鍋を持って振るところ。熱いです。

10.ホカホカ御飯の出来上がり♪

10.ホカホカ御飯の出来上がり♪
お待ちどおさまでした。蒸らし終わったらホカホカ御飯の出来上がりです。後はお好きにお召し上がり下さい♪
ん? 失敗した?
…そういう場合は、オカズの味付けを濃くするなどして己を欺くべし!
キャンプというシチュエーションが何よりの御馳走ですよ、はっはっは。



コメント

ソロキャンパーのための炊飯教室 — 2件のコメント

  1. 凄く楽しいし解り易いです。自分にも出来そうです。
    側で教えてもらってるみたい。あちこちたのしいですね(^^!

  2. しんさん、初めまして。コメントありがとうございます。
    BLOGのDBが文字化けしちゃいましてすみません。
    記事がお役に立てるとうれしいです。

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