根室 ふりむかないで


六日目。起床は5:30。
一番中続いた雨が、まだ残っている。
朝食は納豆・卵に鰯缶詰。
自宅から非常用に持ってきた、ごく普通の缶詰である。
北海道に居られるのは今日を含めて、あと二日。
持って帰るのも面倒なのでここで食べることにしたのだ。

納豆・生卵に鰯 臭そう?

納豆・生卵に鰯 臭そう?

羅臼町立林間広場 羅臼の町が近くて便利

羅臼町立林間広場 羅臼の町が近くて便利

テント撤収の時はたまたま晴れたが、時々ポツポツ。
それにしても寒い。寒すぎる。風も強い。
この日は丸一日フリースを着っぱなしだった。
7:40、チェーンにオイルを挿してから、出発。
キャンプ場の先が展望台になっているので、ちょっと寄って行った。
その後、羅臼市街に下りて、とりあえず道の駅でトイレ。
キャンプ場のトイレより、こっちが落ち着く。

展望台より国後島を望む

展望台より国後島を望む

知床半島は厚い雲に覆われてる…

知床半島は厚い雲に覆われてる…

8:00。さて、すっきりしたとこでレッツゴー。
とりあえず知床峠を越えよう。
R334のワインディングをグングン登る。
高さと比例してグングン寒くなる。風も雨も強くなる…霧も濃くなる…。
シールドの雨を左手で拭う隙に、油断すると風に煽られ蛇行してしまう。
いや、まじでこりゃ辛すぎ。うー…、怖い怖い。寒い寒い。
8:20、知床峠に到着。
しかし、楽しみにしていた展望は、一面の濃霧で再悪な状態。
国後島や羅臼岳は言うに及ばず、樹海すらも殆ど見えない。
雨に混じって何だか白い氷の粒まで舞っているし…。
まさか雪かと驚いたが雨雲の中だったのだろう。
それにしたって8月の気候とは思えない…。
気温はおそらく7~8度程度だろうが、体感気温が尋常じゃない。
観光バスでやってきた団体さんは皆長袖。
傘を飛ばされないように前傾姿勢で知床の夏に身を縮ませていた。

知床峠 看板の先は何も見えなかった…

知床峠 看板の先は何も見えなかった…

寒そう…って寒いんですよ、まじで

寒そう…って寒いんですよ、まじで

ここは寒すぎるので早々に退散。
北方の宇登呂(ウトロ)方面へ峠道を下る。
やがて勾配も緩やかになり、海沿いの道に。
雨はほとんどやんだが、風は相変わらず。
むしろ海に出て勢いを増したかもしれない。
8:40、オロンコ岩という展望台に寄り道。
苦労して登ったが、知床半島自体はあまりよくみれなかった。
強風の中、カモメたちが必死で餌を採っていたのが印象的。

オロンコ岩より知床半島を望む

オロンコ岩より知床半島を望む

カモメ~の水兵さん♪ って状況じゃなさそう

カモメ~の水兵さん♪ って状況じゃなさそう

さらにR334をオホーツク沿いに西進。
空は雲に覆われたままだが、雨は完全にやんだ。
9:10、国道沿いにあった100名瀑の一つ、オシンコシンの滝に立ち寄ってみた。
幾筋もの流水が斜面を下り、滝壷に落ち着く間もなくすぐ側の海へ注いでいる荘厳な滝だ。
冬はやはり凍るのかな?

名瀑・オシンコシンの滝

名瀑・オシンコシンの滝

さすがヒグマのメッカ知床

さすがヒグマのメッカ知床

以久科(イクシナ)原生花園にちょっと寄って、浜辺から知床半島を遠望。
やっぱ見えないや。9:50、斜里(シャリ)の町で給油。
ここからR244を根室方面に向かう。

斜里の海岸から知床半島を遠望…

斜里の海岸から知床半島を遠望…

斜里から標津(シベツ)まで、ひたすら原野が続く。
斜里岳の東、根北峠を越える山道だ。交通量は皆無に等しい。
スピードが出せるのはありがたいが、むちゃくちゃ寒い…。
やけくそでカントリーロードを大声で歌いながら走り続ける。
かんり~ろ~ てきみ~ほ~♪
とぅざぷれ~ あいび~ろ~ん♪
…サビしか分からんので、あとは鼻歌でごまかす。
途中でオコジョが道路を横切り、危うく轢きそうになった。
10:30過ぎ、標津でR335に合流。再び根室海峡。今度は南下。
雨と風で体が冷えきったので温泉に入りたい…。
根付半島への分岐を過ぎて、しばらく進み、もうすぐ11:00。
尾岱沼(オダイトウ)で国道から外れ、野付温泉・浜の湯で入浴。
住宅地にある地元密着型の公衆浴場だ。
露天風呂は国道のすぐ脇なのだが、かえってジモティに愛されてる雰囲気が出ている。
入浴料370円で二種類の泉質を堪能できてお得な感じ。
いやぁ、温まった~。

野付温泉・浜の湯

野付温泉・浜の湯

11:30出発。
温泉のそばにある港へちょっと寄ってみた。
昼飯にカニを食べようかと思ったが、この辺りはエビがメインらしい。
「カニなら根室だ」と言われたので、根室で食べるモードに切り替え。
左手の沖に見え始めた根室半島目指して、ひたすらR244を南下する。

根室半島が彼方に 知床半島と対照的に平坦です

根室半島が彼方に 知床半島と対照的に平坦です

根室から釧路に掛けて、今の日本では稀有な手付かずの原野が広がっている。
「根釧原野」と呼ばれるその広大な一帯に差し掛かったのだろう。
風連湖の辺りから道路周辺以外に人工物が見えなくなる。
幻の大魚・イトウで有名な風連川を渡って、12:10過ぎ、厚床(アットコ)でR44に合流。
あとは東に進むだけ。もうすぐ根室だ。

この後寄った道の駅にあったイトウの剥製

この後寄った道の駅にあったイトウの剥製

…って、ここからまだ33kmもあるんだよな。結構かかるよな。
…かなり腹が減ってきたな。んー。
カニはひとまず置いといて飯を食おう。そうしよう。
ってことで、12:30、道の駅・スワン44ねむろで昼食。
注文したのは根室名物・エスカロップ、840円。
エスカロップ…?
聞いたこと無い人も多いだろう。僕も旅の予習で初めて知った。
バターライスにカツを乗せてデミグラスソースを掛けた食べ物だ。
根室のレストランには必ずあるポピュラーなメニューらしい。詳しくはこちらで。
「100円増しで大盛りも出来ますよ」と言われたが、カニが待ってるので丁重に辞退。
しかし、それでも結構ボリュームがあった。味も満足。
バターライスにデミグラスソースが絡んで、それだけでも美味いのにサクサクのカツまで…。
カツと御飯の相性の良さを、根室で再確認した。

道の駅・スワン44ねむろ 風連湖は白鳥で有名

道の駅・スワン44ねむろ 風連湖は白鳥で有名

根室名物・エスカロップ (゚Д゚)ウマー

根室名物・エスカロップ (゚Д゚)ウマー

12:50、さぁ、お腹も膨れた。
このまま本土最東端・納沙布岬まで一気に進もう!
R44をひたすら東へ。…って、風がむちゃくちゃ強い…。
海が近いせいもあるだろうが、平坦な地形も影響していそうだ。
凄まじい横風に煽られながら、東へ東へ。
13:00過ぎ、根室市街をパスして道道に入り、さらに進むこと二十数km…。
13:30、納沙布岬に到着~♪

本土最東端・納沙布岬

本土最東端・納沙布岬

地の果ての海は荒れ狂っていました

地の果ての海は荒れ狂っていました

寒いからか、昼どきなのに観光客はまばら。
最東端の記念碑にバイクを近づけて撮影するには丁度いいが、ちと寂しすぎるなぁ。
ちなみにここは「本土最東端」であって、「日本最東端」ではないので注意。
「日本最東端」は実は…東京都! 南鳥島なのだ。(へぇ~へぇ~)
北方領土が返還されたら択捉島が最東端になるはずだが…いつのことやら…。
「北方領土返せ、露助(#゚Д゚)ゴルァ」っと心の中で叫びつつ、納沙布に別れを告げる。
半島の南側を回るルートを使って再び根室へ。こっちも風は強い。
14:00、根室駅前に到着。この駅前にはカニの直売店が並んでいる。
その一つに入ってお土産購入。ついでに花咲ガニを食うことに。
一匹、1000円のやつを注文。新聞紙とキッチンバサミとお箸を渡された。
昼飯からあまり時間が経ってないが、そこはそれ、カニは別腹だから。

根室駅前のカニ通り

根室駅前のカニ通り

花咲ガニ メチャ(゚Д゚)ウマー

花咲ガニ メチャ(゚Д゚)ウマー

カニはやはり食べてる間、無言になる。
美味しいカニならなおさらだ。
パキパキと殻をむき、黙々と肉を穿ること数十分。14:45、完食。
貴重な時間を費やしたが得るものは大きかった。
満ち足りた気分で、さぁ、出発!

ミソ! ほらっ! 溢れんばかり!

ミソ! ほらっ! 溢れんばかり!

完食~♪ 食った食った

完食~♪ 食った食った

さて、次の目的地だが、帰りのフェリーのことを考えねば。
乗船手続きに間に合うように、明日の17:00には苫小牧にいなければならない。
…何百kmあるんだ…???
とりあえず釧路を目指そう。って釧路まででも130kmか…。
R44を西へ。主要道路なので結構混雑気味。
まぁ、先は長い。のんびり行こう…。
根釧原野の牧場や厚岸(アッケシ)の港、いくつもの川を越え…。
16:30、釧路川に到着。
釧路市街へは進まずに、川の手前で道を折れ、向かったのは細岡展望台
もう、キャンプ場へ向かうべき時間なのだが、釧路湿原を見てみたくて最後の寄り道。
R391から道道を経て、未舗装路・細岡展望台線へ。途中多少渋滞…。
本日唯一のダート9kmを走り、17:00、細岡展望台に到着。
この時間でも観光客が意外に多かった。
彼らに混じって釧路湿原の展望を堪能。広いなぁ…。

湿原を蛇行する釧路川を一望

湿原を蛇行する釧路川を一望

細岡展望台線 走りやすいので安心

細岡展望台線 走りやすいので安心

この展望台は夕日が特に見事らしいのだが、のんびり待つわけにもいかない。
先を急がねば。来た道を戻り、R44へ。
そこからはなるべく市街地を避けるルートを選んだ。
だが、さすがに大きな街なので交通量も信号も多い。
混雑で釧路市街の西へ抜けた頃には、時刻はすでに18:00。
すっかり暗くなってしまった…。
さて、今日のキャンプはどうしたものか。
明日、苫小牧のタイムリミットを考えると、もうちょっと近づいて余裕を持っておきたい。
A.今日は疲れてるのでもう休んで、明日早く起きる
B.明日の夜はフェリーでゆっくりできるので、今日無理をしておく
選んだのはB。早起きできるか自信が無いって単純な理由。
今日中に苫小牧になるべく近づいておこう。
ってわけで、浦幌(ウラホロ)のキャンプ場を目指す。距離は約70km。
暗くて寒いR38を西へ西へ。
白糠(シラヌカ)から音別(オンベツ)を経て直別(チョクベツ)へ。
ライダーハウスも見かけたが、やはり最後の夜はテントで過ごしたい。
海沿いの町をいくつも越え、やがて山中を抜ける峠道に。
真っ暗闇のワインディングに、細々とした照明しかない狭いトンネル…。
なるべく安全運転で峠を越え、ようやく浦幌の町へ。
人家の明かりが見えるとホッとする。
19:15、うらほろ森林公園キャンプ場に到着。
ここは有料キャンプ場なので、早速受付へ。
営業時間が気になったが、まだ管理人さんがいた。
途中で見かけた料金表ではテント1張り1000円となっていたが、一人用なら500円でいいらしい。
自分のテントは3人用だが、まぁ適用範囲内だろう。
早速テントを張って、食事の支度…をする気力が無い。。
疲れてるから今夜は外食で済ませましょ、と浦幌の町へ出たら縁日…?
何かの祭りらしく混雑が激しい。適当な食べ物屋も営業してなさそう…。
仕方なく国道に戻り、公園の入口にあったレストラン(ドライブイン?)へ。
注文したのは十勝の名物・豚丼。945円。
土地的には十勝から離れているが、んなこと関係無しに美味かった。
甘辛醤油ダレで焼いた厚めの豚肉ってば、歯ごたえがあってジューシーなんだわ。
新潟・糸魚川で食べた豚重に近い。
新潟は北海道開拓で繋がりが深い土地なので、何か関係しているのかな。

十勝名物・豚丼 (゚Д゚)ウマー

十勝名物・豚丼 (゚Д゚)ウマー

吉野家とは違うのだよ、吉野家とは

食後、すぐ近くにある公衆浴場・健康湯へ。入浴料は300円。
温泉ではないが、細かいことは気にしない、気にしない♪
洗面所に入ったら、若者が洗面台で洗濯をしていた…。
細かいことは気にしない、気にしない…。。
国道沿いにあるPAで野宿する予定とのこと。
もう一人居た若者も、そこで出会った行きずりのチャリダーらしい。
彼ら二人で坂道でのスピードの話題で盛り上がっていた。
バイクで一日に走る距離を聞かれて、2~300kmって言ったら、驚いていたなぁ。
…ってか、GPSのログを確認したら、この日約500km走ってた…。
下道で寄り道しながらそれだけ走れば、そりゃ疲れるわな…_| ̄|○
汗を流して、テントに戻ったのは20:45。
さて、今夜は北海道最後の夜。
名残惜しいが、明日には帰らねばならぬ。
長いようで短かった一週間を振り返りつつ、シュラフで寝返りを打つ…。
いつまでも、この地にいるわけにはいかないのだ、と自分に言い聞かせつつ…。
…道東スーパー林道の入口、この近くなんだよなぁ…。
Σ(゚Д゚;)ハッ いかん、いかん…。。



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