待ち遠しかった夜明けが、ようやく訪れた。
風はあるが、もう雨の心配はなさそうだ。
今日も日の出とともに準備開始し、 朝食に具なしのマルタイ棒ラーメンをすすり、ちょうど起きてきたドラスタ乗りに挨拶して出発!
時刻は午前7時。今日中にまわりたい場所が何箇所もあるので、どうしても気が急いてしまう。
まず、目指したのは鈴ヶ森林道。
四国カルストという高原の手前にある林道である。
県道から、ちょっと入り組んだ道に入ってかなければならないが、GPSに座標をしこんでおいたのですぐに入り口が分かった。
午前8時、到着。湿った未舗装路が森の中に続いている。
豪雨の一夜が開けたばかりなので、林道に入ってからは、さすがに誰とも会わない。
昨日の大雨で倒木や落石、崩落が怖かったので、僕も徐行運転で進んだ。
四万十川の源流に沿って、山ひだを縫うように走り、峠を超える。
ところどころ落石や倒木があったが、走行を妨げるほどではなかった。
それよりも分岐が多いために、しばしば迷わされた。
GPSと地図をにらめっこしながら進路を決めつつ前へ進む。
9:50。林道終点に到着。
国道197号線を少し東に進んでガソリンを補給し、今度は四国カルストのてっぺん、天狗高原に向かった。
この時点で、実はカルストって何なのか全然知らなかった。
地図には拡大図も載ってるくらいなので、どうも名所らしいけど、よくわからん。
どうも地形のことらしい。カルストのカル=カルシウムのカル=石灰岩と予想。
まぁ、行けば説明書きくらいはあるだろう。
国道を西進し、東津野城川林道を北に折れた。
ところどころ展望が開けた長い長い上り坂を快走。
結構なスピードで一気に天狗高原まで駆けぬけた。
高原が間近になると、周囲の景色は緑の草原と点在する白い岩塊に変化する。
10:30すぎ、天狗高原・展望台に到着。
まだ誰もいない展望台の駐車場にバイクをとめ、強い風の吹きつける中、今走ってきた方向を眺めた。
「おおー、すげー…」
思わず小さな歓声をあげてしまった。
絶景である。
その後、駐車場のそばにある「カルスト学習館」を見学。
カルストの成り立ちを勉強した。
やっぱ石灰岩が地表に露出した地形のことらしい。
大昔の海底火山とその上に出来たサンゴ礁がいったんプレートに沈み込んで、
さらに長い年月を経て隆起した地形とのこと。
ま、理屈はどうあれ、美しい地形である。
そこからしばらくカルストの高原を走る。
牛が放牧され、牧歌的な風景がしばらく続いた。
さて、次に目指すのは四万十川河口の町、中村。
山のてっぺんから四万十川に沿って、一気に海まで。
かなりの距離なので、寄り道しながらのんびり進んだ。
13:20。道の駅・四万十大正で遅い昼食。山菜そばセットを注文。
厨房の地元のおばちゃんたちが実に楽しそうに働いている。
女子中学生がそのまま年を取った感じで、素朴で可愛らしい。
美味しくそばを食べてたら「あんた、ゆず食べれるか?」という趣旨の質問を、分かりやすい土佐弁で聞いてきた。
食べられると答えると、「来年からメニューに加えようと思っている試作品である(土佐弁・趣意)」と言いつつ、冷蔵庫からゆずのシャーベットを出してくれた。
大きなゆずの角切りと甘い卵黄がアクセントになった、手作りの味わい深い美味しいシャーベットだった。
真夏日の太陽の下を走り続けて火照った体に、冷たい酸味が染み渡る。
後から入ってきた客にも「ゆず平気か?」と聞いてシャーベット出してた。
せっかくなので、東京へのお土産もそこで買うことにした。四万十川の川海苔。
最初、1パックだけ買おうとしたら、「東京まで送料が高いから、たくさん送った方が得だよ(土佐弁・趣意)」と言われ、3パック。
純朴そうに見えて、意外と商売上手である。ますます土佐のおばちゃんが好きになった。
13:50、出発。
国道439号線はヨサクという愛称で親しまれているらしい。
車線が狭く、きついカーブが連続するため、 酷道とも呼ばれる。
大型車も多く、バイクでもすれ違うのがきつい。
そんな道を40kmほど走って、午後3時。ようやく四万十川河口の町、中村市に到着。
一応ガソリンを補給して、 そのまま足摺岬を目指す。
土曜日なので観光客も多い中、山道を抜け、海へ出た。
そこからさらに狭い道を海岸沿いに走り、午後4時。足摺岬に到着。長かったー。
さてさて、そういえば今夜の宿。四万十川中流域の無料キャンプ場を予定していた。
しかし、すでに午後4時過ぎ。予定の場所はここから70km。
日暮れまでに間に合うか微妙だがとにかく行くことにした。
足摺岬の滞在時間は15分。ウーン…余裕のある計画が必要だな。
中村市へ戻ってスーパーで買出し、この時点で17:30。
愛媛方面に伸びる441号線を北上。
西へ傾く太陽が否応なく気持ちをあせらせる。
GSPの直線距離表示の具合ならどうやら間に合いそうだ。
18:20、そろそろ予定していたキャンプ地に到着…。
…
ショベルカーがたくさんあるのはなぜ??
「墓地・建設中」って何さっ!?
すべてが予定通り進む、そんな一日は無いのか?
もう、ヘッドライトを点けないと走れないほど暗い。
仕方ない。ライダーズイン・四万十がこの先にあるので、一応そこを目指すことにした。
目指しつつも、四万十川の川原に下りられる場所を探す。
大丈夫そうなら、キャンプしようかと…。
あった、あった!
そこは地元ボランティアが運営しているキャンプ場で、炊事場もトイレもあった。(この辺)
すでに1グループ、テントを張っている。
ボランティアへの寄付金100円を炊事場の箱に入れて入場。
川原は丸い石がゴロゴロしていて、さすがにバイクで入ることはできないので手前に駐車。
必要な荷物を運び、素早くテントを張る。真っ暗になる前に寝場所を確保できて一安心。
米を一合、水に浸してから、近くの温泉に出かけることに。まさかこの辺りで盗むやつ、いないだろ。
向かった先は山村ヘルスセンター。バイクならキャンプ場からすぐの場所。19:20、到着。
一応、入浴時間を聞いたら20:30までとのこと。
料金315円(安っ!)を支払い、浴場へ。
小さな浴槽で、洗い場も3人で一杯に。
僕が行ったときは、地元の方が一人いただけだった。
「ボイラーが弱いから、お湯を目一杯出しといて、水で温度調節するといいよ(土佐弁・趣意)」と親切にレクチャーしれもらう。
一日中走り、肌にこびりついた汗とホコリを洗い流す。極楽極楽。
湯船に浸かり、四万十川の話をいろいろ聞かせてもらった。
「今日は雨で水が出ているから、残念だな。いつもはもっときれいなんだが。
もっとも、俺が子供の頃に比べると、きれいとはいえないな。
仁淀川(高知の川)の方が清流ランキングが上位じゃないか? 確か9位か?
四万十は40何位だったか…どうしても生活排水が流れ込むからなぁ…」(土佐弁・趣意)
んー、よそ者の目には清流に見えても、やっぱ汚くなってるのか…。
全く規模は小さいが、僕の地元の川も子供の頃とは比べられないくらい汚れてしまった。
まず水量が違う。山の木が伐採されたせいだろう。
そして護岸。小魚が隠れたり、水棲生物が繁殖する場所がなくなってしまった。
僕はどれほど川で遊ばせてもらったろうか。
毎日、ウグイやオイカワを釣りに行ってたこともある。
あんなに汚れた川では、今の子供たちはもう遊べまい。
ユネスコの世界遺産じゃないけど、小さな自然環境も心がけて保護して行かねばならないと、切に思う。
風呂を出て、キャンプ地に戻ったのが午後8時。
さっぱりしたとこで晩酌&夕食~♪
今日のオカズは地元・四万十産・ウナギの蒲焼!!
時間を掛けて水につけた米をまず炊いて、蒸らす。
その間にウナギの調理。そうそう、 こっちではウナギは丸ごと一匹しか売ってないのね。はみ出ちゃうので二つに切りました。
そのウナギの白焼きをフライパンに乗せ、出来合いのタレを掛けて、蓋をして温める。
程よく焦げ目が付いてきたとこでご飯の上に乗せて、タレも最後の一滴まで掛けて、蓋をしてしばらく蒸らして出来上がり。
炊き立てのご飯と、ホクホクのウナギ…冷えたビール…清流のせせらぎ…。
最高の夕食だぁー!!!