犬も走れば棒にあたる


暦の上では3月5日が啓蟄(けいちつ)だった。
冬眠していた虫たちが起き出すという日である。
いよいよ春というわけだ。
啓蟄といえば冬眠。
冬眠といえばカエル。
カエルといえばガマ蛙。
ガマ蛙といえば「四六のガマ」。
「四六のガマ」と言えば筑波山!
(↑もちろん、後からでっち上げた理由です)
ってなわけで茨城県の筑波山へ行くことに。
もう春なんだからできればキャンプしたいのでテントなど一式持ってく。
雪は心配ないだろうからチェーンは不要。
午前8時30分、出発。環七を時計回りに進み、国道6号線=水戸街道を左折。
北東の方角を目指し、やがて都内から千葉県内へ。
9時半。街道筋の吉野家で朝食。鮭イクラ丼を注文。
20人くらいの少年野球の団体がいて20分くらい待たされた…。
待ち時間の何分の一かの時間で食べ終えて出発。
茨城県内へ入り、牛久沼が見えて、ようやく少しほっとした。
多少なりとも景観が変わると嬉しいものである。
房総半島へ行くときも感じたが、とにかく関東平野は広いのだ。
似たような町並みがどこまでも続く。 とにかく走っててつまらない。
ずっと都内を走ってる気がして、 ひたすら苦痛である。
土浦を過ぎ、石岡で左折。筑波山の北側を通っている県道7号線=石岡下館線を北西に進む。
筑波山…とくに南側は観光地として開発されすぎているため、未舗装の林道は筑波山自体にはなく、
その北に位置する加波山の周辺がメインになるらしい。(今回はここを参考にさせていただいた)
11時半、上曽峠を左折し、北筑波稜線林道(舗装路)を北上。
連続するワインディングの登り坂と時々開ける展望が楽しい。
だいぶ標高を稼いだところで端上林道との分岐に。
左折して今度は下りだ。剥き出しの岩盤の脇をうねうね下る。

端上林道 関東平野が眼下に広がる

端上林道 関東平野が眼下に広がる

裏側から見た筑波山

裏側から見た筑波山

県道41号線に出て、ちょっとコンビニへ寄り、北上。県道大塚真壁線を目指す。
この頃から洒落にならないほど風が強くなってきた。
吹きすさぶ風の音でバイクのエンジン音でさえ、かき消されてしまう。
中国大陸から飛んでくる本物の黄砂とは違うのかもしれないが、
黄色い砂塵が舞い上がり、景色が全て黄色く霞んでしまったほどだ。

ほれ、この通り凄まじい強風

ほれ、この通り凄まじい強風

上の写真と比べてみてね

上の写真と比べてみてね

さて、県道大塚真壁線。県道なのに結構ハードな未舗装路である。
特に西側は泥ヌタとややガレで面白い。
登りきった一本杉峠で北筑波稜線林道と交差し、そのまま県道大塚真壁線の東半分を下る。
東側は林間を抜ける穏やかなフラットダートだった。

一本杉峠 二本ありますが…

一本杉峠 二本ありますが…

県道大塚真壁線

県道大塚真壁線

さて、県道大塚真壁線を走り終えたら、予定では戻らねばならないのだが、
単純にUターンするのもつまらないので、ちょっと別のルート(この地図で言う名なし林道)を探してみることに。
ここかな~と思って幼稚園の脇を抜け、山道を進んで行ったのだが…

倒木…

倒木…

ここも…

ここも…

うわ、あんなに…

うわ、あんなに…

ただでさえ急勾配でむちゃくちゃハードなのに、倒木だらけ…。
ノコギリもナタも持ってきてないので、どかしたり、避けたりして通れる場所は通ったが、
どうにも通り抜けできない場所も。諦めてUターンし、一本杉峠まで戻った。
この時点で午後2時過ぎ。そろそろ日の傾きが顕著になる。
次に目指したのは林道丸山線。 加波山神社への案内通りに進む。
途中、凍っている沢などもあったが、難なくピストン走行完了。
復路で レプリカや大型が混じった雑多なバイクのマス林道ツーリング集団と遭遇しあいさつを交わす。
さて、残る予定は東飯田林道支線のみ。
迂回のため三度一本杉峠へ戻り、県道大塚真壁線を西へ。
前を行く5人ほどのMTBの後ろを、車間距離を開けつつノソノソ下る。
迷惑かなぁ…まぁ追い越して欲しかったらサインするだろうから、気にしないでおこう。
下りきったところで追い越して、舗装路をいつものペースで進み県道41号線へ。
北上したところで右折。ちょっと迷いつつも、東飯田林道支線に到着。

車輌通行止めでしたがモゴモゴ…

車輌通行止めでしたがモゴモゴ…

東飯田林道支線 加波山山頂付近

東飯田林道支線 加波山山頂付近

今日の走行予定はこの林道で終了なのだが、まだ宿泊地が決まっていない。
強風と寒さでテント泊には覚悟がいるが、よさげな場所が見つかったらそこに決めるつもりだった。
テン場候補を探しつつ、結構な距離のフラットダートを往復。
平らなスペースを見つけるたびに、バイクを止めてシミュレートしてみる。
…が、この風…どこも落石・倒木が恐い…。
二往復(!)してみたが、どうにもいい場所が見つからない。
分岐していた支線にも期待して入ってみたが、

またかよ!

またかよ!

今日は倒木デーらしい。
冷静に考えてみると、手袋を外すと10秒でかじかんでくる寒さである。
しかも、強風で山火事が恐いので焚き火は出来ない。
うーむ。
決めた!宿、探そう!
だって寒いんだもん!(←チキン)
日暮れ時、薄暗くなりゆく県道を、筑波山の表側目指して車列に混じりひた走ること40分。
県道42号線を左折し、筑波山麓をウネウネ登り、観光ホテル街へ到着。
よさげな温泉ホテルに飛び込みで泊まれるか聞いてみたが、
「すみません。今日は一杯で…」
まぁそうだよなぁ…しゃーない、土浦あたりのビジネスホテル探すか…。
っと来た道を下っていく最中、何度も目にする看板が。
「筑波○○ホテル 一泊二食付き 5500円 大浴場でひとっ風呂!」
ほぉ、安いなぁ。
ユニットバス覚悟してたが、大浴場は魅力的だなぁ…ダメ元で行ってみるか…っと目指してみた。
県道をしばらく南下して、すぐに発見!
むぅ…なんか妙な建物…建て増しなのかあちこちくっついてるような…という第一印象。
駐車場から見て正面にレストラン、左手にあるのがおそらく旧館なのだろう。
二つの建物をつなぐスペースにもガラスドアが面取りをするように斜めにしつらえられている。
駐車場にバイクを停めてすぐそばにあった旧館に向かったが、
オフシーズンは使っていないのだろうか、電気が消されて真っ暗だ。
ガラス越しに闇の中で木彫りの恵比寿像がにんまりと笑っている。
なんか不気味な…と思っていると、建物の間のガラスドアから愛想のいい主人が声をかけて来た。
「お泊りですか?(ニコニコ)」
何となく、さっきの恵比寿像を連想させる笑顔である。
「ええ、部屋空いてます?」
「お一人様ですと6000円になりますがよろしいですか?」(二人以上だと5500円ね)
「はい」
案内されてガラスドアをくぐったそのスペースは、建て増しされたホールと階段だった。
すぐ右にあるレストランのレジが受け付けも兼ねているらしい。
レジの奥にある洗い場では、小学生くらいの子供二人が騒いでいる。
雰囲気が「ホテル」という語感にどうにもそぐわない…むむぅ…これはネタの予感…。
否が応でも期待と不安が膨らんでしまう。
宿帳(宿泊者シート)に名前・住所を書いて、料金を払い、早速二階の部屋に案内してもらった。



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