一昨日の夕方、東京港を発ってから東九フェリー「おーしゃんさうす号」に揺られること30時間余り。
今朝5:00未明、僕は荷物を満載したセローに跨って北九州に降り立った。
ここは関門大橋の東南に位置する新門司港。
さぁ、GWの代休を利用しての山陰ツーリングの始まりだ。
今回は九州が目的では無いのですぐに本州へ渡ってしまう。
ちょっと勿体無い気がするが日程を考えた結果こうなった。
九州の大地を北上。明け初めの曇り空でやや肌寒い。
ICから高速道路に乗って関門橋を渡り、下関ICで降りた。料金は300円。
下関市街を抜け、5:35、関門海峡に面した唐戸市場へ到着。
僕の目当ては2Fにある市場食堂よしでの朝食。
営業時間が2:00~14:00なので、この時間に食事するにはピッタリなのだ。
市場で働くおっちゃんたちに混じってカウンターに座る。
せっせと働くおばちゃんたちに注文したのはふく刺し定食、1100円。
朝から豪勢にも思えるが、トラフグにしては激安である。
白米・味噌汁・アラ煮・御新香。
そして白い切り身が綺麗に並べられた大皿が、お盆に乗せられて目の前に置かれた。
透き通った白身に薬味を乗せて、箸でつまんでポン酢でいただく。 んー、こりゃ美味い!
コリコリとした歯応えは勿論、白身の魚肉そのものに味わいがある。
ウニを箱ごと食べられる1500円の定食も魅力的だった。
食事を終えて出発。関門橋を見に壇ノ浦方面に進む。
橋の下を潜ると海に面してちょっとした広場があった。時刻は6:00。
源義経と平知盛の像がよく目立つ。大河ドラマにあわせて昨年12月に作られたらしい。
この地で平家は滅亡したわけだが、義経も壇ノ浦での活躍後は破滅への道を進んだんだよなぁ。
Uターンして西へ向かい、R191を道なりに進んで方向転換。
早朝の爽やかな風に吹かれつつ本州の西端を北上。吉見を過ぎて、県道245を左折。
西北へ西北へと進んでやってきたのは、本州最西端の地・毘沙の鼻。
…に至る駐車場のゲートが閉まってる。
8:30から開くらしいが、いまは6:30を過ぎたばかり。そんなに待てないよ。
んー? よく見れば鍵が掛かってないなぁ。モゴモゴ。
というわけで6:40、毘沙の鼻に無事到着~。
これで本州の四方の先端のうち、西・北・南の三箇所を制覇した。残すは最東端だけだ。
県道へ戻り再びR191に合流して、さらに北上。
県道40号を右折して、7:15、川棚温泉に到着。
名物の瓦そばを食べてみたかったが、さすがにまだ開店前のようだ。残念だが今回は諦めよう。
この川棚温泉は瓦そば以外に、山頭火の所縁の地としても有名である。
昭和初期の偉大なダメ人間・種田山頭火は僕の大好きな俳人の一人だ。
ちなみにツーレポのタイトルでも氏の句を借用させてもらってる。(これとかこれ)
往時の彼を忍びつつ、お寺の句碑や展望台などを見て廻った。
7:40、川棚温泉を離れ、県道を繋いで東へ向かう。
瓦そばよ、いつかまた。中国山地の山々が眼前に迫って来た。
R491に合流して、道の駅・きくがわでトイレを済ませ、県道34号を左折して北東へ進む。
8:20、石柱渓という看板があった。
名所らしいので寄ってみよう。渓谷沿いに作られた遊歩道を40分ほど散歩。
意外とアップダウンがあって疲れてしまった。絶対、運動不足だよなぁ。
ここの滝には「お通と万作の恋物語り」という昔話があるそうだ。
9:00、出発。県道268を北東に進み、9:15、荒ヶ峠林道の入口に到着。
荒れているらしいが、この林道を経由して次の目的地へ抜ける…つもりだったのだが。
林道は途中で二又に別れていた。どちらが本線だか判らない。
荒れている左へ進むと1kmも行かないうちに倒木で塞がれていた。
整備された右側へ進むとこちらも営林作業中の車で道が塞がれていた。
むぅ。平日なので仕方ないな。諦めて迂回しよう。
R316に戻り、大ヶ峠トンネルを潜ってずーっと南下。
県道31号を左折し、9:50、秋吉の市街地で県道32を左折。
秋芳洞から秋吉台へと抜けるメインルートだ。っと、その前に給油。
いつも通り給油口を自分で開けて待ってたら、GSのおばちゃんに「優しい」と誉められた。
ふっ、ジェントルマンとして当然ですよ、マダム。
秋芳洞は駐車場の呼び込みがうざかった。
修学旅行なのか遠足なのか、学生の団体も多かったのでスルーしとこう。
そのままワインディングを登り、秋吉台へと出た。県道を離れて国民宿舎方面へ。
見事なカルスト地形を展望できる駐車場もあったが、あえてパス。
カーブの脇にあったあった。10:00、秋吉台林道の入口に到着。
林間を抜けるとドーンと展望が開けた。おぉ、こりゃ気持ち良い!
四国カルストと同様の景観がどこまでも続く。
これまでに走った未舗装路の中でも屈指の開放感だ。
路面は砂利が深いところが多く、やや荒れ気味。
というか景色が良すぎて余所見しがちなので、そっちに注意が必要である。
牧場への分岐を抜け、県道を潜り、10:25、展望台のある長者の森へ到着。
うーん、ここからの眺めも素晴らしい!
さて。すでにあちこち回ったのだが、まだ10:30である。
このまま萩へ出てキャンプ場へ行く計画だったが、めちゃくちゃ時間が余ってしまう。
ってことで、予定に無かった青海島へ行くことにした。
R490経由で県道28号に合流し北上。10:55、R191を左折して長門方面に進む。
やがて右手に日本海の仙崎湾が見えてきた。
県道56号を経由して、11:15、青海島の手前にある仙崎港に到着。
海の幸を売りにした店が並んでいる。せっかくだからここで昼食にしよう。
遊覧船乗り場手前の交差点にあった浜屋というお店に決定。
開店時間の11:30まで、ぶらぶらしながら時間をつぶす。
今朝の曇り空が嘘のようだ。日差しが照りつけて、かなり暑い。
汗をかきつつ待つこと十分余り。開店時間と同時に入店。
注文したのは昼の日替わり定食800円。
ウニ釜飯が名物のようだが、これでも根っからの貧乏性である。
フグに続いてウニを食べるなんて何となく許されない気がした。
日替わり定食の内容は穴子の天ぷらや刺身などなど。
安くても堅実に美味しい正統派の昼定食である。満足満足。
食事を終えて、11:55、出発。
青海大橋を渡って青海島に上陸。
名前の通り海が綺麗だ。晴れ渡った空を映して真っ青に煌いている。
まずは西へ進み、深川湾と青海湖を隔てる波の橋立を渡った。
沿道の松越しに両手の水面を眺めながら進む珍しい道だ。
波の橋立を渡りきった後は青海湖の対岸を経由して県道283に戻り、海岸沿いを東へと進む。
紫津浦をグルリと迂回。シラスだろうか、魚の天日干しをよく見かける。
漁港独特の匂いが漂ってきた。
この辺りは捕鯨が盛んだったようで、くじら資料館や鯨墓などがあった。
鯨の墓というと実家の近くにあった二つの山を思い出す。
大きい方はオクジラ山、小さい方はメクジラ山と呼ばれていた。
つがいの鯨が海から迷い込んで山になった、という昔話に由来する。
そこまでならロマンチックな話なのだが、現実は厳しい。
僕が東京に出て来てから間も無く、メクジラ山はバイパス工事で跡形もなくなってしまった。
男寡となったオクジラ山が不憫でならない。
閑話休題。
鯨関連施設に寄るほど暇でもないので、それらはスルー。
県道は島の東端でループして行き止まり。来た道を戻る。
12:45、青海大橋を渡って本土に戻った。
12:50、R191に合流。萩を目指して東へ進む。
そろそろ今日の宿の心配をしてもいいかもしれない。
途中のコンビニで休憩がてらキャンプ場に電話したら、直接来てくれて構わないとのこと。
安心して先を進む。(この時点で料金を確かめておけばよかった)
R191は長州の幹線道路なので渋滞にもぶつかった。
すり抜けしつつ走り続けて、13:40、萩に到着。
レンタルサイクルを借りてじっくり廻るのももどかしい。バイクでザッと城下町を一巡り。
維新を成し遂げた長州の志士達が生活した土地と思うと感慨深いものがある。
続いて向かったのは萩郊外にある松陰神社。
長州の志士達を育んだ吉田松陰を祭る神社である。
13:55、鳥居前の駐車場に到着。
境内には松下村塾や松陰が幽囚された旧宅が残されていた。
明治政府の実権を掌握した長州閥のことを考えると、ここには政治的な意味合いもあるのだろうか。
もしかしたら徳川家にとっての東照宮のような存在かも知れない。
ちなみに東京世田谷の吉田松陰墓所にも松陰神社があるそうだ。
一巡りして駐車場に戻って、14:15。まだ時間に余裕がある…。
さっさとキャンプ場へ行って体を休めれば良いのだが、そうできない性分なのだ。
再び内陸へ進んで林道をこなして行くか。県道67号で阿武川を遡る。
広い瀬で竿を延ばしてるのは鮎釣りかな。
それにしても山口県のガードレールが黄色いのは何故だろう?
14:30、阿武川ダム湖畔に出て、県道10号を左折し、大藤大橋を渡る。
14:35、未舗装路・阿武川線の分岐に到着した。
ダムの湖畔を巡る数kmのダートを堪能。釣り人の4WD車が意外と多い。
湖面の展望がなかなか開けないのが残念。
14:55、再び県道10号へ合流して、今度は大藤大橋方面に少し戻る。
橋の手前で川の上流に分岐する林道・大代線へと進路を向ける。
上流にダム湖があるせいだろう、水量が乏しい渓谷沿いの道だ。
路面はフラット。沸き水があったので、東京の水道水と入れ替えた。
途中、ウサギとサルが目の前を横切ったが、写真は撮れず。
佐々並川ダムの湖畔を進み、ちょっとした峠を越えて、15:30、県道359へ出た。
県道を南下してすぐR262に合流。
東へ進み、木戸山トンネルの手前で山陰の基幹道路・R9に合流した。
山口から益田・出雲へと至る山陰道をさらに東に進む。
15:50、道の駅・長門峡に到着。
朝から走り通しでちと疲れたので、ここで大休止。
アイスクリームを舐め、裏手の清流に佇んでボーっと涼んだ。
ふぅ。我ながら休憩しなさすぎなんだよなぁ。
充電完了。16:20、出発。もうキャンプ場を目指すのみだ。
R9を東へ進み、16:35、徳佐の交差点でR315を左折。
須佐方面に中国山地の山中を快走。
須佐でR191へ合流する前にちょっと寄り道。県道305を北上。
ホルンフェルス断層の看板に従って進んだ。西日を照り返す海面が眩い。
17:20、ホルンフェルス断層に到着したが、時間が無いので遠めに見ただけ。
この縞模様は普通の地層と違って再結晶によるものらしい。
実はよく判ってないけど、まぁいいや。
17:25、R191に合流し、益田方面の東へ向かう。
17:35、道の駅・ゆとりパークたまがわに到着。
島根県との県境が眼と鼻の先にある、山口県の北東端の地である。
今日、宿泊する予定のキャンプ場の受付は、この道の駅にあるそうだ。
観光窓口で名前と住所を書いて許可証を受け取る。
「ではキャンプ場の料金として1000円いただきます」
「Σ(゚口゚; えっ?」
やられた。
ツーリングマップルの情報だと500円なのだが、実際は1000円だった。
どうやら今年の4月1日から料金が改訂されたらしい。
うーん、1000円と判ってたら。他のキャンプ場か野宿にしたのになぁ…。
まぁ、いい大人が500円で揉めるのもみっともないので、今回は利用させてもらおう。
普段、500円以下のキャンプ場しか使っていない僕としては千円は痛い。
しかし、このキャンプ場、かなりロケーションが恵まれているので許せてしまう。
国道に出て萩方面に200mも進むとスーパーもGSもある。
風呂はキャンプ場の目の前に田万川温泉・憩いの湯という温泉がある。
歩いて1分も掛からない。しかも400円で貸しタオル付きである。
(貸しタオルは7月でサービス中止になるらしい)
もっと安ければ最高のキャンプ場なんだけどなぁ。
料金値上がりは合併して萩市に属したせいだろうか。
道の駅から数百m離れたキャンプ場にバイクを走らせ、早速テント設営開始。
駐車場でバイクから荷物を降ろしていたら、荷物を満載したアメリカンがやってきた。
見れば宮城ナンバーだ。顔や腕の日焼け具合も随分年季が入っている…。
「こんちはー」
「ちはー」
「ここのキャンプ場の受付どこでしょうか?」
「道の駅ですよ。でも1000円です」
「えぇっ? まじっすか?」
あてのない旅なのでお金はなるべく節約したいのだろう。
とりあえず無断でテントを張ることにしたようだ。
翌朝、僕が出発する時も、そのままテントは張られていた。
管理人に見つからず無事に出発できたかな?
ムーンライト3を張り終わって、18:10、給油と買出しに出発。
18:35、キャンプ地に帰還。すぐに温泉へ。
湯船で全身を揉みほぐして一日の疲れを癒す。
今日は朝が早かったせいもあって、400kmも走ってしまった。
そりゃ疲れるわな。
さっぱりした気分でテントに戻って発泡酒で晩酌。
ツマミは山陰のローカル食品、江木の赤てん。
赤い魚のすり身にパン粉をまぶして揚げたピリリと辛い練り製品である。
島根西部の石見で製造されて山陰地方全域に流通し、地元民からも愛されているようだ。
パックから出してそのままかぶりついたのだが、うむうむ、発泡酒によくあう。
徳島のフィッシュカツに似ているけど、あちらはカレー粉の辛味、赤てんは唐辛子の辛味という違いがあるようだ。
発想は同じだが並べて食べ比べてみると面白そうだ。
W杯予選のバーレーン戦を聞こうとラジオを付けたが、周波数が判らず聞くのを諦めた。
夕飯は缶詰を使った秋刀魚の蒲焼丼。
朝に比べて、どんどんチープになってる気がするが気にしない気にしない。
今日一日のあらましをPCに打ち込んでから、22:00、就寝。
…
…ン
…プーン…
Σ(゚口゚; はっ!?
この季節、蚊が居るのを忘れてたっ!!
知らん間にテントの中に数匹侵入してやがるっ!! ( つД`)
やはり、んまいもんは海にあり(・∀・)!
ですねー、フクにつづいてウニなんて…って
オ ク ユ カ シ ス ギ マ ス !!
私だったら食べちゃうな〜、うぅ、もったいないっ。
のどかで優雅な景色…つづきも楽しみにしてますねぇ〜♪
実は、ウニ釜飯と聞いて、ただウニを混ぜて炊き込んだだけかと思ったんです。
「火を通したウニより生ウニの方が好きだからなぁ」と思って止めといたのです。
ところが、帰宅後調べたら「ウニとともに炊き込んだご飯の上に、さらに板一枚分もの生ウニをのせ」とか書いてあるじゃん!
食べとけばよかった! ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
初めまして。
2005年の記事へのコメントで、驚かれてしまったでしょうか。
「うつぎ花」の写真を探していて、こちらにたどり着きました。「花咲く道ブログ」は、私の母の遺した短歌を紹介しているブログなのですが、最近になり、花を詠んだ句に写真を添えるようにしています。SaltyDogさんのうつぎ花の写真をお借りしてもよろしいでしょうか。というか、事後承諾の形になりごめんなさい。まずければすぐ他を探しますのでおしえてくださいね。
花咲く道ブログ管理人さん、初めまして。
コメント投稿&ご報告ありがとうございます。
うつぎの写真はご自由にお使いいただいて結構ですよ。
桜が散って寂しいなぁと感じる頃に咲く、貴重な花ですよね。
よかったら、またいらしてください。ではでは。