雪年来る年


「正月はさすがに実家に帰らなきゃなぁ…」と思いつつ、もう大晦日。
年内に帰省する予定がずギリギリまで延びてしまった。
まぁ、今年中に帰れればいいや。
今日一日あれば十分だろうから、寄り道しながらのんびり行こう。
ちょっと寝坊して11:30出発。まず目指したのは宮ヶ瀬湖。
先日の積雪がヤビツ峠にまだ残っているらしいのだ。
スノーチェーン軽アイゼン、それに工具もろもろ持ってレッツゴー。
天気予報では昼過ぎから雪とか言っていたが、この装備なら心配あるまい。
環七から青梅街道、五日市街道、環八、甲州街道と順調に進む。
こないだハンドルカバーが盗まれてしまったので手が寒い寒い。
府中から鎌倉街道で多摩へ。この辺りから天気が怪しくなる。
予報通り雪が降り始めたと思ったら、えらい勢いで積もり始める。
12:40、橋本手前のセブンイレブンに寄って軽い昼食。
肉まんカレーまんホットハニーレモン。
ついでに軒下を借りてレインスーツの上下を着た。

コンビニの駐車場でこんな感じ

コンビニの駐車場でこんな感じ

走り始めたが雪はどんどん降り積もる。
雪道を走る車列は思いっきり低速。まぁ当然か。
「こりゃ峠はやばいな」っと当初の予定を中止。
R16からR129で厚木に出るルートに変更した。
降り積もった雪が踏み固められた圧雪路となったR129を南下する。
「幹線道路なら、なんとかいけるだろう」と思ったのだが甘かった。
時々リアが滑る路面状況で、チェーンの必要性を徐々に感じ始めたその時。
13:20、どこかの道路と交差する緩やかなカーブの陸橋でハプニングは起こった。
カーブに沿って曲がろうと重心を少し移動したら、リアがスーッと横へ流れる。
やばいやばいっとステップ加重で堪えたのも2秒ほど。


磨き上げられた鏡面のような一面のアイスバーンでタイヤのグリップ力は皆無だった。
あえなく転倒して横向きにグルリと回転しながら車道を20mも滑走。
カーリングのパックの気分をしばし味あわせてもらった…。
横を同様に滑るバイクの向こうに、停車する後続の大型トラックが見えた。
車間距離を開けてくれてて助かった。。。
まじで一歩間違えれば死んでたかも。。
幸い体もバイクもダメージはほとんどなかった。
慎重に踏ん張ってどうにかこうにかバイクを起こす。
両足を伸ばして二足二輪で支えながらローギアのアイドリングで陸橋を降りた。
すぐに路肩へよせて停車。しばし気持ちを落ち着けるブレイクタイム。
目の前の道路には、凍結で駆動輪が空回りしてスタックしている車が見えた。
路肩の前後にも続々と避難してきた車がやってくる。さてどうしたものか。
バイクを置いていくという選択肢もあるが、やるだけのことはやってみるか。
ディバッグからスノーチェーンを取り出して装着作業開始。
ついでに両足のライディングシューズに簡易アイゼンも付けた。
初めてなので手間取ったが、30分ほどで作業完了。やれやれだぜ。

スノーチェーン装着完了

スノーチェーン装着完了

念のため駆動輪だけでなくフロントにも

念のため駆動輪だけでなくフロントにも

見る間に降り積もる雪雪雪

見る間に降り積もる雪雪雪

いやはや通りは大変な状況です

いやはや通りは大変な状況です

ちゃんと走れるのか不安があったが、結構しっかりグリップしてくれた。
アイゼンもGood。凍結路面に足を着いた時の安心感は絶大だ。
シフトアップやリアブレーキはしにくくなったが、デメリットを補って余りある。
スノーチェーンの取り付け具合が悪いのか、チェーンガードに干渉するのが気になる。
しかしまぁ、音が煩いくらいで深刻な問題はないだろう。
少し走ってまだ厳しそうならバイクを置いてこうと思っていたが、これなら行けそうだ。
車線上には動けなくなった車。
路肩にはチェーン装着や放置された車。
救急車も頻繁に往来している。そんな状況で大渋滞の交通マヒ。
厚木でR246にようやく合流できたのは14:50。
そこからも長い長い大渋滞の車列は続く。
積雪で首都高速・東名自動車道・厚木道路など有料道路は軒並み通行止め。
そのためR246やR1に交通が集中してしまったらしい。
キャブがアイシング気味なのか、エンジンのオーバークールなのか、ややもすると信号待ちでエンストさせてしまう。
少しスロットルを煽り気味で高回転を意識しつつ走った。
意識して体の雪を払わないと、すぐ雪だるま状態になる。
一度、地図を見ようと顎を引いたらヘルメットに積もった雪がドサリと落ちてきた。
あと気になるのはシールド。内側に水滴が付くのが煩わしくて仕方ない。
っと途中、発車寸前のジェベルがいた。同好の士に会釈。
「お、チェーン!?」と声が聞こえたので、後ろに向かってサムアップで応じた。
ちょっといい気分。
進むうちに雪が雨に変わり始めた。積もった雪が溶かされて、路面状況が回復してゆく。
渋滞の流れも少しずつ緩和されてきた。路肩ではチェーンを外している車もちらほら。
ここらで僕もそろそろ外そう。
「普通の路面で使うと走行距離10kmくらいで切れるので、こまめに着脱を」
そう購入時に注意されていたのだ。
15:30、伊勢原の辺りにあった駐車スペースにバイクを止めチェーンを外す。
着けるのに比べて、外すのは手早くできた。
作業中、ジェベルが追い越して行くのを見かけたが、追いつけるかな。

チェーンを外して意気揚々だが…

チェーンを外して意気揚々だが…

さぁこれでペースアップして進めるぞ。いざ出発っ!!
…とセルを回せど一向にエンジンがかからない。。
最近エンジンの始動が悪く、プラグやオイルの交換で改善しつつあった。
昨日バッテリーも交換したのだが、気温と湿度によるアイシング(オーバークール?)には勝てなかったか。
何度もセルを回しているうちについにバッテリーがあがってしまった。
押し掛けを試したが足元が溶けた雪のシャーベットでどうにもトルクが得られない。
はぁ…最寄のGSまで押して、バッテリーを充電してもらうか…。
大晦日の夕方、グチャグチャのR246の歩道をヒーコラ言いながらセローを押し歩く。
バイク屋に注文中のキックセットが、年内に届かなかったことを恨みつつ…。
右手を仰ぎ見ると、雪化粧した大山が悠然と見下ろしていた。
休み休み、3kmほど歩いたところで対向車線にENEOS発見。
さらにこちらの車線にもJOMO発見。渡るのは面倒なのでまずJOMOへ。
ぜーぜー言いながらたどりつき、店員に声を掛けた。
「すいません、バッテリーあがっちゃったんですが充電していただけます?」
「いやぁ充電はお時間かかりますよ」
以前、1時間待った経験があるのでそれは覚悟していた。
しかし何か迷惑そうだ。
「構いません、どれくらいでしょう?」
「お預かりして早くても年明けになります」
Σ(゚ロ゚;
年明けはありえんだろ。状況を見てわからんかなぁ…。
やりとりに半ば呆れつつ、儚い希望を抱いて斜向かいのENEOSへ転進。
若い店員に挨拶すると、後ろから店長らしき初老の男性が現れた。
「すいません、バッテリーあがっちゃったんですが充電していただけます?」
「早くても30分ほどお時間かかりますが」
「いいですいいです、一時間くらい平気で待ちます!」
プラスドライバーを一本借りてバッテリーを外し、店長に渡し充電器にセット。
その間、5・6人の店員たちが話しかけてきた。
どこからどこへ向かってるのか、どこから押して来たのかなどなど。
「向かいのJOMO行ったんですか?」
「あそこ、サービス悪いでしょう」
「年明け?困ってる姿見て何とも思わないんすかね」
「帰りにはこっち寄って下さいよ(笑)」
わはは。ちょっと溜飲が下がった。
待ち時間、郵政カブやピザ屋が給油にやってきた。
ピザ屋は可愛そうに雪で転倒してピザを駄目にしてしまったらしい。
GSから電話でお客さんに再配達する旨を謝罪していた。
大晦日に仕事の上、こんな悪天候じゃピザ屋も気の毒だ。
AirH”とノートPCで暇つぶしなどしながら一時間経過。
バッテリーは充電完了。ケーブルを繋げて恐る恐るセルを回す。
数秒間のセル音の後、ドドドドドと無事エンジン始動。
よかったー。(つд`)

新日本石油・伊勢原SSに感謝

新日本石油・伊勢原SSに感謝

好青年ばかりのGSです

好青年ばかりのGSです

充電代金とは別に皆さんにジュース代を差し上げて、17:40出発。
日没はとうに過ぎ、辺りはもう真っ暗。
路面はすっかり回復していたが、渋滞は酷くなっていた。
ずっとずっとどこまでもテールランプが続いている。
すり抜けられるところはすり抜けつつ進んだが、どうにも距離が延びない。
松田を通過したのが18:17。渋滞の車列はほとんど動く気配がない。
脇を抜けつつ山北町へ。この辺りから御殿場へ抜ける峠道になる。
しばらく進んで路肩でチェーン装着作業をしている車が現れ始めた。
これが渋滞の一因のようだ。
足元の路面を靴底で擦って確かめてみると、ところどころ凍結していた。
まだ登り勾配は続く。標高がますます高くなるってのにノーマルじゃやばい。
18:40、僕も路肩に駐車してスノーチェーン再装着。
かじかんだ指先をマフラーの排気で温めながら作業を進めた。

スノーチェーン再装着の作業中

スノーチェーン再装着の作業中

軽アイゼンはこんな感じです

軽アイゼンはこんな感じです

渋滞中の家族連れが物珍しげに僕とセローを見てゆく。
大晦日のこんな時間にこんな場所で奇特な人だ、って思ってるのかなぁ。
こっちも自覚してるよ…。

狭い橋の上でチェーン作業する車列

狭い橋の上でチェーン作業する車列

19:10、出発。
路肩は除雪された雪で埋まっているので渋滞の車列に混ざらざるを得ない。
エンジンが止まらぬよう、アクセルを少し開けてノロノロノロノロ。
峠を越え静岡県内に入ると、車線が増えたが渋滞は相変わらず。
除雪されているが安心するのはまだ早い。路肩や歩道の雪が凄いのだ。
スノーチェーンの寿命を考えると外したくなるが油断禁物、ここはそのまま進もう。
っと、道の駅・ふじおやまの看板。新しい道の駅か?
とりあえずトイレ休憩。この時点で20:00。
箱根に向かっている家族連れと愚痴りあった。
「年内に目的地に着けるやら…」

駐車場は一面の圧雪でした

駐車場は一面の圧雪でした

二輪駐車場は貸切状態

二輪駐車場は貸切状態

御殿場を過ぎるとようやく渋滞解消。箱根方面に流れる車が多かったようだ。
裾野にさしかかる辺りで路肩や歩道から雪も消えた。
21:00、コンビニの駐車場でチェーンを外す。これでようやくまともに走れるはず。
ここから実家まで150kmくらい。長い道のりだったがまだまだ遠い…。
紅白もK-1もプライドも諦めた方がよさそうだ。

サークルKでスノーチェーンは御役御免

サークルKでスノーチェーンは御役御免

対向車線は相変わらず酷い渋滞

対向車線は相変わらず酷い渋滞

沼津でR1に合流し、ハイペースで西へ進む。
寒い寒い。無茶苦茶寒い。風も強い。
22:00、道の駅・富士に到着。
自動販売機で『どん兵衛・天ぷらそば』を夕食に購入。
昼間食べた肉まんに続く、今日二度目の食事である。

涙と鼻水味の年越し蕎麦 (TДT)ウマー

涙と鼻水味の年越し蕎麦 (TДT)ウマー

新年目前の道の駅・富士は寂しかった

新年目前の道の駅・富士は寂しかった

ここから先は一度給油したのみで休憩なし。
遠州の空っ風に吹き付けられながら、バイパスを走り続ける。
宇津ノ谷峠でも牧の原トンネル付近でも幸い凍結はなかった。
実家に到着したのは23:20。体は芯まで冷え切って強張った状態だ。
まぁ無事に到着できたことを喜ぼう。
何とか年越しに間に合ったのだ。
で、翌日は終日全身筋肉痛。
せっかくの元日なのにツーレポを書くぐらいしか出来ないって一体…。
一年の計は元旦にあり。
どうやら2005年も「痛い」「寒い」年になりそうである。。



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