昨年のいつ頃のことだったろう。
Mr.mudさんとの間で「北海道で年越しツーリング」という企画が持ち上がった。
狂気の沙汰と思われる向きも多いかもしれないが、実はそれほど危険でもない。
年に何十人と実行しており、準備さえ万全なら一般人でも充分可能なのだ。準備さえ万全なら。
二人で相談の結果、2007~8年は間に合わないから、2008~9年に掛けてやろうという話になった。
その前に雪道走行と厳寒環境下での幕営を一度くらい体験しておきたい。
そんなわけでこの時期に予行演習として長野界隈へキャンプツーリングに出かけることとなった。
さてさて、極寒雪中幕営ツーリングの始まり始まり~♪
今回は甲府のMr.mudさんの御自宅で合流し、そこから幕営地へ向かう手筈である。
キャンプツーリング自体が久々なので、荷造りも時間が掛かってしまった。
この日のために揃えた各種装備で身を固め、7:40出発。
環七、甲州街道を経て、8:00に首都高へ乗った。
8:25、八王子料金所を通過して中央道へ接続。ETCは楽だ。
8:50、談合坂SAで小休止。
バイクは少ないだろうなぁと思ってたのだが甘かった。
キャンプ道具を積んだオフ車が何台もいるではないか。
その中で注目したのは自作スタッドレスを履いたXLR(?)-BAVA。
お話を伺ったら今日は入笠山でソロキャンプの予定とのこと。ツワモノだ。
サイプの刻み方や乗り心地などを教えていただいた。
アイスバーン以外は全く問題ないそうだ。うーん…欲しい…。
高速道路の凍結を少し気にしていたのだが、甲府盆地まで全く何の問題もなかった。
9:35、甲府昭和ICを降り、9:45、Mr.mudさん宅に到着。
テント本体やポールなど荷物を手分けして積み直す。
ついでにスノーチェーンが干渉するであろう、セローのフロント後部フェンダーをここで外した。
Mr.mudさんが乗るのは諸々改造が施されたApeである。
軽トラ用のスタッドレスタイヤを流用するという荒業仕様なのだ。(詳しくはこちら)
準備完了して、10:10、いよいよ出発。
近所で給油を済ませ、Mr.mudさんの先導で甲府市街を抜ける。
実はこの時期の山梨は初めてだったのだが、雪の無さに驚いた。
静岡県出身者のイメージとしては山梨も長野も似たようなものと思ってたのだが違ったようだ。
茅ヶ岳広域農道に接続し、ガシガシと一気に北上する。
人家が減ってゆくに連れ、路肩に雪がちらほらと現れ始めた。
10:45、r23を右折し、塩川沿いにさらに北へ進む。
r610を左折して塩川ダムのみずがき湖は完全に凍結していた。
mudさんによると、ここまで凍るのは珍しいそうだ。
黒森鉱泉を過ぎた辺りから、信州峠を上る道路の勾配がきつくなる。
路肩の雪は次第に増えて行くが、路面は辛うじてドライなままだ。
11:10、信州峠を越えて、長野県側に入った。
と同時に、アスファルトは一面真っ白な圧雪路に変わった。
むぅ。ついにこの時が来てしまったか。
ノーマルタイヤで少し走ってみたら、案の定余りグリップしない。
スノーチェーンを装着したいのだが、作業には手頃な路肩スペースが必要だ。
スタッドレスタイヤのMr.mudさんは、先行してそのスペースを見つけてくれたようだ。
両足を伸ばし、アイドリングでソロソロとそこまで降りる。…ふぅ、とりあえず転ばずに済んだ。
二人掛かりでスノーチェーン装着。久しぶりなので15分ほど掛かった。
あまりスピードは出せないが、ちゃんとグリップしてくれる。
一面の雪原は初めて眺める光景だ。これだけでも来た甲斐がある。
ガシャガシャと音を立てて、川上村へと下ってゆく。
やがて雪がまばらになり、アスファルトが露出しはじめた。
スノーチェーンは普通のアスファルトだと10kmほど走行するだけで切れてしまうらしい。
購入の際には「小まめに着脱するように」とも言われた。
チェーンの状態を懸念しつつ、11:50、スーパーのナナーズに到着。
買出しを済ませた後に、ここでスノーチェーンを外したが既にだいぶ磨耗していた。
さらに粉雪がチラチラ舞い始めた。風花程度で済めば良いのだが…。
12:20、出発。千曲川沿いにr68を西へと進む。
信濃川上で県道を外れ、雪に覆われた村道で野辺山を横断する。
勾配がフラットだったのでチェーンが無くても何とか行けた。
12:35、R141に接続し、小海方面に右折。
路面はドライだが雪が強くなってきた。
海ノ口、海尻を通過して小海町へ。
12:50、松原湖近くのどんぶりや風とりで昼食。
二人ともカツ丼とラーメンのセット900円を注文したのだが、僕は少し残してしまった。
ここまでの緊張で胃袋が縮まってしまったのだろうか。
のんびりとトイレを済ませてから、13:30、出発。
雪はまだ降り続いていた。駐車場のバイクは真っ白だ。
シールドを吹き吹き走り、R141を少し戻る。
松原湖駅前からr480へと右折し、松原湖高原を西へ。
13:50、小海リエックススキー場に到着する頃、ようやく雪も止んだ。
ここから先が本日のメインイベント。麦草峠を擁するR299に接続する圧雪路である。
おもむろにまた二人でスノーチェーン装着。
先ほど作業で慣れたのか、今度は10分ほどで済んだ。
さて、おまちかねの圧雪路である。
稲子湯の分岐をスルーしてガシガシ登る。
轍の凹凸にフロントが取られそうになることはあるが、基本的には問題なし。
Mr.mudさんに至っては「アスファルトより走りやすい」とすこぶるご機嫌だ。
リフトの下を通過する際は、上をゆくスキー客から手を振られた。
14:20、R299との合流地点に到着。
この先は国道としては標高2位の麦草峠に至るのだが、残念ながら冬季閉鎖区間である。
Mr.mudさんがゲートの脇をモゴモゴしてみるも雪が深すぎて前進不可。
この辺りでの幕営を想定していたのだが、どうしたものか。
あてにしていたレストハウスふるさとも完全に雪に埋もれてる。
結局、土地勘のあるMr.mudさんの提案で八千穂高原スキー場へ向かうことにした。
R299を少し下って、すぐ到着。だだっ広いスカスカの駐車場があった。
健全なスキー客の迷惑にならないよう、一番奥の隅っこを幕営地点に決定。
ジャケットを脱いでテントの設営を始めた。
(今回はMr.mudさんの厳冬期用テントに二人で宿泊)
風が強くて油断すると本体が飛ばされそうになる。
また、地面が凍ったアスファルトでペグ(ソリッドステーク)が刺さらなくて苦労した。
最終的に溝を横に掘ってペグを埋め、雪のブロックを重石にするという手法を考案。
フライシートの裾をグルリと一周雪で抑えることで風に対する備えは万全となった。
テント内の荷物を整理して落ち着いたところでMr.mudさんからハーブ茶をいただいた。
保温ポットに入れられてたので熱々である。このポットのお茶が翌日まで重宝した。
その後は酒をチビチビやりながら、雪から水を作ったり、夕飯の下ごしらえをしたりした。
(と言っても、ほとんどMr.mudさんに任せきりだったが…)
くつろいでいたら何やら近づいてくる車の音がする。
「なんじゃろな」と思って入口を少し開けて外を見たら、物珍しげにこちらを窺がってるスキー客がいた。
手を振ったら振り返された。ふむ、動物園の動物はこんな感じかも知れぬ。
さて、本日のメインディッシュはMr.mudさん特製のキムチ風味ごちゃごちゃ鍋。
材料は鶏肉つみれ・豚モツ・焼豆腐・ニラ・エノキ・シメジ・キムチをそれぞれ適量。
ガソリンストーブとガスストーブの2台を駆使して熱々の鍋が出来上がってゆく。
そいつをハッフハッフと食らいつつ、焼酎をワッセワッセと飲む。正直、暑い。
買い出しの時に考えていたより量が多くて食べきれず。残りは朝食に回すことにした。
食事してる最中に日が暮れた。この時点で外気温はマイナス4度くらいか。
テントの外、スキー場に近い辺りではブルドーザーによる駐車場の除雪が始まった。
食後ひと段落してお茶を飲みながらくつろいでいると、その音がどんどん近付いてくる。
っと、人の足音がやってきて、「すみませーん」と外から声が聞こえた。
あちゃー…苦情言われるのかな…と思ったら、さにあらず。
「除雪するんでちょっとうるさくなりますー」と、わざわざ断りに来てくださったのだ。
「なんて良いスキー場だ」
「キノコ塾で文句言ってきたオヤジにも見習ってもらいたいものだ」
「いつか、また来よう」
と、テントの中でMr.mudさんと八千穂高原スキー場と駐車場を褒め称えた。
夜が更けるに連れ、さすがに段々と冷え込んできた。
この日のために用意した厳冬期用シュラフに潜り込んでまどろむ。
釣りだの林道だのバイクだの、Mr.mudさんとよしなしごとを語らいつつ、
3月頭・標高1600m超・どこもかしこも雪だらけの長い夜は過ぎてゆくのであった。
Salty Dogさんお久しぶりですヽ(´ー`)ノ
しかし、オフ車乗りってのは物好きな方が多いですねぇw
買い出しをしたスーパーは夏に大学の実習打ち上げの食材買いにいった覚えがあります。
自分は極寒キャンプよりも、幕営地までたどり着く道のりでの転倒が怖いです・・・(’A`|||)
2日目のツーレポも心待ちにしております。
noblogさん、コメントありがとうございます~。
本当に物好き多いですね。お互い、人事じゃないですがw
私も転倒覚悟で行ったのですが、幸い今回は無事でした。
圧雪路だけなら、足元の対策がしっかりしていれば
テクニック皆無の私でも全く問題なさそうです。
ま、怖いのはアイスバーン系ですが…。
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