風の強い夜だった。雨も夜通し降り続いた。
6:00少し前に起き、恐る恐る外を見る。
案の定、昨夜の宴に使われた大型タープが無残に倒されていた。
emiさんのレポによると、どうも猫バスのルートだったらしい。
猫バス怖ぇー。つるかめつるかめ。
早めに出発する予定なのですぐに朝食を作りはじめる。
雨風を避けテントの前室でコトコト炊飯。
今朝のメニューはお茶漬けの素を使った炊き込みご飯に水煮の鯖缶。
実は昨夜のなめこ御飯は朝食に食べるつもりでいつもよりもだいぶ多めに炊いた。
しかし勢いでついバクバクと1合半全部食べてしまった。美味かったことだしあきらめよう。
むしゃむしゃと平らげて食器片付けとトイレを済ませ、雨具を完全武装して撤収開始。
雨の朝はやっぱり気が重い。起きてきた方何人かに挨拶して、7:30出発。
飯豊檜枝岐大規模林道で小繁峠を越える。
青空が時々見え、朝日も届くが基本は雨。見通しも良くない。
峠付近では紅葉がちらほらし始めた。風が強い。
7:50、R352に合流して尾瀬方面に進む。
桧枝岐村の中心部を過ぎたあたりに小出まで90kmの標識。
ふむ、90kmならガソリンは持つだろう。
かなり強い雨に降られながら桧枝岐川沿いを西へ走る。
ワインディングを上って、8:15、御池駐車場に到着。
尾瀬散策を楽しむならここが目的地だが、僕はR352を直進。
交通量は一気に減り、1.5車線の道になる。
紅葉は見頃で嬉しいが、峠付近の強烈な風には参った。
ウネウネと降って、8:30、広沢林道の分岐に到着。
できれば林道探索はご遠慮願いたいコンディションだが、どうしたものか。
入口は開いていたので一応少し中を走ってみた。
が、本格的な山道になる手前で通行止の看板を発見。
簡易バリケードごと風に飛ばされて倒れていた。くわばらくわばら。
こりゃ、止めといた方がよさそうだ。林道は退散してR352に専念する。
やがて只見川沿いの平坦な道になり、8:40、金泉橋を渡って新潟県に入った。
手持ちの地図ではここから大湯温泉までの区間が『二輪通行禁止』となっている。
それが今年の夏から規制が解除され、二輪車も通れるようになった。
今回のツーリングの一番の目的はこの道路を走ることなのだ。
既に走行済みのダーさんやMr.mudさんのレポを参考にして、いざ突撃。
濁流を横目に赤岩平の湿原を快走。この辺りは走りやすい。
尾瀬口船着場を過ぎ、奥只見湖沿いの道になった途端、道路状況は悪化した。
狭い幅員に繰り返されるカーブ。ダム側は千尋の谷。
そしてR352の名物・沢渡り。いったい幾度、流れに突っ込んだろう。
雨のせいか川と呼んでも差し支えない水量だ。
流速も早いし、木や石や土砂が流れの中でこんにちはをしながら遠ざかる。
深いものでは膝ぐらいの深さが優にあった。
普段の沢渡りなら水流中にバイクを停めて撮影もするのだが流石に無理。
オフロードバイクであることに感謝しつつ、一つずつクリア。
大型オンロードバイクとすれ違ったが、大丈夫かいな。
雨は時折強くなり、何度か土砂降りにもなった。
ただでさえ路肩や方面の崩落があちこちある怖い国道なのだが。
パトカーや道路公団の車と数度すれ違った。
被害状況を確認しているのだろう。
ダム越しに見る景観は素晴らしい迫力だった。
頂上付近から谷間まで一気に落ちる幾筋もの滝。雪渓もちらほら見える。
奥只見湖そのものも巨大だ。呆れるほどでかい。
この下流にさらに田子倉ダムが控えているのだから恐れ入る。
9:10、中ノ岐林道の分岐に到達したが今日はスルー。
探索するには天候が悪すぎる。まじで遭難しかねない。
まぁいずれ林道浪漫の健さんが丹念に探索してくれることだろう。
さらにいくつもの川を渡って、9:40、銀山平に到着。
公衆トイレで小用を足してる間に、また土砂降りになってしまった。
しばらく待ったが、少し勢いが弱まる程度でいっこうに止みそうに無い。
仕方なく出発。大粒の雨で煙って、前がよく見えない。
北ノ又川を渡り、再び狭いワインディング路に。
対向車に気をつけながらグイグイと上っていく。
路肩が欠損してギリギリ一車線の区間もあった。
屋根を滝が流れるスノーシェッドもあった。
奥只見湖を離れても、全く油断がならない。
10:05、枝折峠に到着。
その手前から霧が深くなってきた。風も強い。
深い深い谷に面した路肩からなるべく距離を保ちつつトラバース路を降る。
ちなみに約24時間後=翌朝からこの区間が全面通行止になってしまった。
『全線通行OK』という僕の報告を信じて訪れた黒洋梨さんがえらい目にあったとか…。
10:30、大湯温泉に到着。
この辺りから快適な二車線道路になり、国道らしいコンディションに戻った。
未だに二輪通行禁止の奥只見シルバーラインへの分岐はスルーして直進。
朝からあいにくの天候だったが、ここまで良いペースで来ることが出来た。
湯之谷温泉を経て小出市街へ向かう。
10:40、R352を離れ、道の駅・ゆのたにで小休止。
雨の中、地図を眺めて今後の予定を確認。
時間節約のため小出ICから関越道で長岡へ向かうことにした。
関越道では凄まじい横風に悩まされた。
雨はそれほどでも無く時折日差しも刺したが、路面はびしょ濡れ。
追い越すトラックが撒き散らす水飛沫を横目で見たら、虹が出来ていた。
11:05、越後川口PAで給油を済ませ、11:25、長岡ICでR8に接続。
長岡市街の中心部へ進み、11:35、麺味・金子屋本店で昼食。
雨具を脱いで店内へ。注文したのは長岡名物・洋風カツ丼の大盛・820円。
御飯とカツとデミグラスソースは知っていたがナポリタンにサラダまで乗ってる。
まるでトルコライスだが、タクアンが二切れ乗っている辺りはカツ丼ぽい。
カツやソースはなかなか美味いが、御飯の量がとにかく多い。一合以上あるだろう。
しかもそれがやや団子状で正直いまいちだった。米どころなのに…。
その代わりと言ってはなんだが豆腐となめこの味噌汁は美味しかった。
その味噌汁で御飯を胃袋に流し込んで完食。うーん、かなり辛い満腹感だ。
ちなみに他の客は皆麺類を注文していた。麺が自慢の中華料理屋さんなのね。
12:10、出発。次の目的地は近いので雨具を着ず。
R352に接続し、長岡駅近辺を抜け、市街地の東側へ抜けた。
悠久山公園をスルーして、12:25、東山ファミリーランドに到着。
ここで『牛の角突き』と呼ばれる闘牛イベントが催されるのだ。
『牛の角突き』は旧山古志村で行われてきた長い歴史を持つ伝統行事だ。
本来は山古志に闘牛場があるのだが、二年前の中越地震で甚大な被害を受けてしまった。
復興は進み、先月は元の場所で闘牛サミットというイベントが開催されるまで戻った。
だがまだ状況が芳しくないため、今月はここ長岡の臨時闘牛場に戻されたそうだ。
駐車場の脇の立木には牛が何十頭も繋がれていた。
2000円の入場料を払うと、パンフレットと折りたたみ座布団を渡された。
この座布団がなかなか味があって気に入った。
復興支援の募金と座布団代ってことで2000円も納得しておこう。
13:00から開始予定なのだが、予想通り微妙な雰囲気。
基本的にジジババが多い。しかも雨なので長靴と雨合羽。地味である。
焼そばとかお好み焼きの露店ぐらいは出てるかと思ったが全く無い。
ジュースの自動販売機さえ無いのに日本酒の匂いは漂っている。不思議だ。
しばらくして、待ち合わせをしていたcultkingささきさんと合流。
この春に東京から新潟へ引っ越して以来の再会だ。
とは言え互いに東京-新潟間=近距離という感覚なので感慨も無い。
今夜宿泊予定のキャンプ場に既にチェックインして下さったらしい。感謝感謝。
cultkingさんもこの微妙な雰囲気に戸惑っているようだ。
こじんまりした闘牛場。特に席が用意されているわけでは無い。
泥と雨で汚れたブルーシートに座布団を乗せて座席をどうにか確保。
牛は興奮して鳴き喚き、思い出したように雨も降る。
いやがうえにも盛り下がる。これで角突き自体がつまらなかったらどうしよう。
酒と塩で会場が清められ、司会の挨拶と共にいよいよ取り組みが始まった。
最初は3歳ぐらいの若手から。いわば幕下の取り組みである。
何度か頭をぶつけただけで盛り上がらずにマターリと終了。
cultkingさんと顔を見合わせ、苦笑してしまった。
微妙な和やかさで見守る観衆。まぁ、こんなのもたまにはよかろう。
登場する牛の年齢が上がるに連れて、段々と取り組み時間も長くなってきた。
先月の闘牛サミットに引き続き、沖縄や徳之島から連れて来られた牛たちもいた。
彼らは幼い頃からの矯正によって角の幅も狭くなってるのですぐに判る。
地元の牛は南部牛と呼ばれる種類だそうだ。牛によって使う技も違うらしい。
山古志の闘牛は勝敗を付けないのが特徴だ。
一度でも惨敗するとそれ以降戦う意欲を失うことがあるそうだ。
そのため決着が付く前に勢子と呼ばれる人々が間に入り、牛を無理やり引き分けさせる。
その命懸けの様も角突きの見所になってるらしい。
この日も勢子が一人怪我をして救急車で運ばれた。
まぁ説明を書き連ねるより実際に取り組みをご覧いただいた方が良いだろう。
この日十一番目の取り組み、武勇伝VS良虎(20MB)。
この日の取り組みの中でも、攻守が目まぐるしく入れ替わる面白い取り組みだったかと思う。
温かい目で観戦下さい。
※ 再生にはWindowsMediaPlayerが必要です
16:00、全てのプログラムが終わった。
観客のジジババは勢子との顔なじみも多いらしく、挨拶して話しこんでいる。
なんというか地方の小学校の運動会のような雰囲気だ。
昔から地元の人たちにとってはK-1やPRIDE以上の娯楽だったに違いない。
cultkingさんのパジェロミニと連れ立ってキャンプ場へ向かう。
都合よく闘牛場のすぐ上、東山ファミリーランド内にある無料のキャンプ場である。
事前に聞かされていた通り、急勾配の泥道を降って登って到着したテントサイトは雨でグチャグチャ。
深い森で暗い雰囲気だ。炊事場はちゃっちい。トイレも遠い。ま、無料なので文句は言うまい。
テント設営の間、雨が止んでくれて助かった。
cultkingさんが気を使ってくださり、今日は完全にオヨバレさせていただくことになった。
ラッキー♪ ってことで、17:10、僕一人だけで温泉へ。
暗くなる中、向かったのは近くの民営国民宿舎・悠久山湯元館。
すぐに到着したが日帰り湯はやってないとのこと。『湯元』と名前に入ってるのにー。
仕方なくツーリングマップルに載ってる最寄の温泉に向かう。
途中また雨が降り始めた。完全に日も暮れた。むぅ。
17:40、長岡かまぶろ温泉に到着。入浴料は800円とかなり高め。
学生の団体と入る。どこかの運動部の高校生らしく礼儀正しかった。
温泉の売りになってる「かま風呂」は塩が敷き詰められたの和風のサウナだった。
敷かれた筵に横たわり汗をかく。なかなか気持ち良い。
風呂から上がってR17経由でキャンプ場に戻る。
18:40、テントサイトに帰着。早速、宴開始。
cultkingさんが調理してくれたのはローストビーフにちゃんこ鍋。
四輪の強みを生かしてダッチオーブンで豪勢にもてなしてくださった。
おまけに八海山の純米吟醸まで。いやはや、本当にご馳走様でした!
いつか埋め合わせせねば…。
お言葉に甘え、後片付けもお任せしてテントに戻った。
まだ雨は時々降っているが、天気予報によると明日は晴れらしい。
とりあえず今夜は猫バスが通らないことを願っておこう。むにゃむにゃ。
20thセローオーナーパーティーでBMを売ってセローに乗り換えてお会いした者です。
7日8日の嵐の日は坤六峠の野営場でキャンプして関越トンネルこえてR352を通ろうとしましたがあまりの雨風寒さに断念。
14日15日に同じ野営場で泊まりリベンジに行きました。
なかなかR352いいですね。入り口にある秘湯駒の湯に浸かり(源泉32度冷たい)ワインディング気持ちよかったです。幕営地ありそうでしたが熊でそうですね。
R352ドシャブリ残念でしたね。
あれだけ山深いともう紅葉が始まってるんですね。
来月桧枝岐へ行こうとしてたんで参考になりました。
>>konichanさん
お久しぶりです。
あの雨風の中を行くより、快晴の翌週を選んだのは絶対正解ですよ。
晴れていればもっと良い景観を僕も望めたんでしょうけど…残念。
私もあの辺りで幕営したかったのですが、やはり熊が怖くて今回はやめときました。
>>ハカセさん
コメントありがとうございます。
来月になると早朝などは路面が凍結しているかもしれません。
ご覧頂いた道路状況で濡れた路面も多いです。お気をつけて。