5:00過ぎに起床。
天気予報では晴れ時々曇りのはずだが、まだ雨がシトシト降っている。
だが一晩寝た分、やさぐれ具合は幾分緩和されていた。
とりあえず朝食だ。米と味噌汁と久しぶりの納豆。
せっかく購入したバターを納豆にも味噌汁にも乗せてみた。ふむ。なかなかいける。
食べ終わって小雨の中、撤収開始。今朝もテントを乾かせないのか…。
出発する頃には雨は殆ど収まっていた。これぐらいなら雨具を着けずに済むな。
管理棟でトイレを済ませて、7:50、出発。富良野川沿いを西へ向かう。
8:10、ファーム富田に到着。
富良野の代名詞・ラベンダー畑の有名どころである。
ラベンダーのシーズンはほぼ終わりなので、畑はほとんど緑か茶色。
それでもマリーゴールドやコスモスなど秋の花が明るい色で出迎えてくれた。
お約束のラベンダーも僅かながら咲いている。
でもこれが一面に咲いていたとしても、僕は正直それほど感動しないだろうな…。
ただし売店で食べたカットメロンは美味かった。単に花より団子ってことか。
8:30、出発。線路を横断して南東へと進む。
ベベルイへの道の未舗装区間は通行止め。
迂回して、8:50、布礼別林道の分岐に到着。さっそく突入。
路面はフラット。いかにも林道っぽい渓流沿いの林道だ。
それにしても霧が酷い。細かな水滴でヘルメットが曇る。
一台の4WD車に追いついたが途中、分岐する橋の手前で停車した。どうやら釣り人らしい。
9:00、最後は広場で行き止まり。ここから先は登山道なのでUターン。
入口まで戻り、道道253号へ接続。
TV撮影によく使われるとかいう八幡丘近辺をウロウロしてみた。
だめだ、ただの牧場にしか見えない。良さが全くわからん。orz
9:35、展望駐車場で富良野盆地を一望。ここの眺めは良かった。
標高が下がると霧も晴れてきた。道道253号を東南へと直進し、道道544号に接続。
ダート区間を抜けて、9:50、R38へと合流した。
目の前をパトカーが走っていた。制限速度ギリギリのスピードだ。
むむぅ。もちろん速度違反はいけないことだが、これは辛い。
見通しの良い直線路で60km、市街地で40km/hは泣ける。
このペースはツーリングのスケジュールに響く。
R237を右折したが、パトカーも同じように右折。状況は変わらず。
脇道からパトカーの前に入った車がジワジワ先へ進むのが羨ましい。
思わず少しスピードを上げて追い越したら、すぐにスピーカーで注意された。
でもま、つかまらなかっただけ良いか。そのタイミングでパトカーは姿を消した。
10:10、道道465号を右折しかねひら湖畔を快走。
キャンプ場や売店もある行楽地になってるらしい。
ここでも湖畔の一角にまだラベンダーが咲いていた。
10:30、南富良野でR38を右折。
道の駅・南ふらのでトイレを澄ませてから、近くにあるにわとり牧場へ向かってみた。
名物のオムライスでちょっと早い昼食のつもりだったが営業時間前なのか閉まってた。残念、肩透かし。
R38へ戻り狩勝峠方面に抜けようと思っところでパトカーに迂回路を指示された。
四輪に混じって農道を進む。国道に負けないくらい農道のペースも早い。
11:00、再びR38に合流。
給油したかったので西へ右折して落合の集落へ。
っと、なにやらものものしい雰囲気。旅館で火災のようだ。
なるほど、これが通行止めの原因か。
炎は収まっていたがほぼ全焼のようだ…。お気の毒に…。
不幸中の幸いか、けが人などは出なかったようだ。
給油を済ませて狩勝峠へ。峠前後は爽快な道だ。
11:15、狩勝峠に到着。雲は出ていたが、霧は無い。
峠からの眺めは富良野方面も十勝方面も素晴らしかった。
十勝平野に下り、11:30、R38を離れて迂回路で帯広を目指す。
道道75号から道道133号へと接続して東へ東へ。
ダートを求めて、12:05、十勝牧場の展望台にも寄り道。
眺めも良かったが途中の白樺並木もなかなかのものだった。
道道133号は南へと進路を曲げ、道道377号を経てR241に合流。
さらにR236へと接続して帯広市街を南下した。
天気もテンションもだいぶ回復してきた。
12:35、帯広駅前のぱんちょうに到着。名物・豚丼の発祥のお店である。
有名店なのでやはり行列が出来ていた。TMにも紹介されているのでライダーの割合も多い。
入店までに約10分、注文してからさらに10分。ようやく豚丼が運ばれてきた。
僕が頼んだのは一番肉の多い「華」。それとライス大盛にわかめ椀である。
米の量も肉の量も予想していたより多い。嬉しい誤算だ。
空いた器とドンブリの蓋を回収したが、大盛は食べ辛いでしょうからお使い下さいといわれた。
焦げた醤油と豚肉が実によく合う。御飯も美味い。満腹。満腹。
地元民からは観光客向けの店とされているらしいが、僕は充分満足できた。
それにしても携帯電話で写真撮る人が多いなぁ。
13:15、出発。
帯広から中札内までR236と並行して走る直線路を走行。
13:45、R236へ戻って、道の駅・なかさつないでトイレ休憩。
出発して、すぐまた国道を離れて道道55号を直進する。
道なりに進んで、14:15、大樹でR236へ復帰した。
かなりハイペースだったが、それでも帯広からここまで約一時間か。やはり北海道は広い。
立ち寄った道の駅・コスモール大樹では警察車両が沢山停まってた。
むぅ。大規模な交通取締りでもあるのだろうか…?
14:30、豊似でR336へと直進し、14:40、広尾で海岸線に出た。
道の周りに家屋がなくなる辺りから、黄金道路となる。
厳しい断崖の地形に穿たれた、ほとんど隧道と洞門の道。交通量は少ない。
地元漁師が器用に路肩にクレーンつきの軽トラを止め昆布漁をしていた。
15:15、望洋台に寄り道。荒々しい豪快な眺めだ。
展望台のすぐ足元に廃屋と黄金の名とのギャップが印象的だ。
川崎ナンバーのBMW・GSとXRの二人連れがいた。
僕が先に出発したが、以後しばらく前後して走ることとなる。
道道34号を左折して、15:20、個人経営のGSで給油を済ませてさらに南下。
百人浜でもやはり昆布漁をしていた。これらが日高昆布として市場に出回るのだろう。
15:30、百人浜展望台に到着。しかし海が遠すぎて眺めは期待したほどでもなかった。
15:40、出発。
5分ほど走ったえりも岬手前の集落で沿道に群集がいた。
皆が手に手に日の丸を持ってる。僕の出迎えにしては派手すぎる。
警察も大勢いるではないか。いったい何だ? 何が起こったんだ?
道端の私服警官に聞いてみると、何ともうすぐ天皇皇后両陛下が来られるとのこと。Σ(゚Д゚;)
「よかったらお出迎えに参加しますか?」と気軽に聞いてきた。
後10分程度らしい。めったにない機会なので参加してみよう。
指示された場所にバイクを停め、沿道の群集の端に加えてもらう。
(この先へと急いでも、どうせ交通規制され通行止めだった)
パトカーに白バイ、その他諸々の警察車輌。さらにはヘリまで飛んでいる。
警察官だけでなく、地元の役人まで動員されていた。
神奈川から来たという若い警官が住民を笑わせてリラックスさせていた。
両陛下の車輌が来られるまでの場つなぎなのだろう。
そうかと思えば渋面で無線にボソボソ告げている警官もいる。
ここ数年笑ったことさえ無さそうな表情だ。色んな役割分担があるんだなぁ。
予定より10分ほど遅れて、「いよいよ来ます」と警官が告げた。
16:05、青ランプのパトカーに続いて、白バイ。さらに赤・青ランプのパトカー。
そして白バイと警備車輌に先導され、菊の御紋の車輌がキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
日の丸を振る群衆に応え、その車輌が目の前でスピードを落とす。
奥の席の今上陛下と窓側の皇后陛下が微笑みを浮かべ手を振られていた。
紀子さまがつい先日ご出産されたばかりなので『御誕生おめでとうございます』との祝福の声が多い。
東京に住んでいながら生で拝見したのはこれが初めてだ。実に貴重な経験だった。
車輌はとある建物に消えた。20分ほどしたら、また来た道を戻るらしい。
地元の人たちはそれまで残るようだが、僕は先を急がねば。
16:10、許可してくれた警官にお礼を言って出発。
すぐに襟裳岬に到着。ここにもつい先ほど陛下が立ち寄られたそうだ。
厳重警備の後がなまなましい。大勢の婦人警官に萌え。
GSとXRの二人連れもいた。やはり交通規制で止められていたようだ。
襟裳岬の眺めは素晴らしかった。日高山脈が岩礁になって点々と海原に沈んでいく。
さて、絶景をのんびり楽しんでもいられない。
20分ほどでまた道路が規制されてしまう。その前に出発せねば。
16:30、出発。岬の尾根沿いの道は風が強かった。
R336へ合流して太平洋を左に見ながら北上。
ずっと目の前に警察車両がいるため制限速度で走らなければならない。
カーブ毎に私服警官まで配備されている。よくこれだけ集めたものだ。
いい風景だなと思って路肩に停車してカメラを取り出すだけで、すぐに走りよって来る。
さらには集落ごとに住民が集まり、日の丸を手にUターンしてくる両陛下を待ち構えていた。
うーん、どうにも落ち着かない。予定よりだいぶ遅れているが、今日は急いでも無駄だろう。
超VIP相手にジタバタするのは諦めて、最寄のキャンプ場へチェックインすることにした。
17:00、アポイ岳を通過し、エンルム岬を横目に様似市街をスルー。
17:15、親子岩ふれ愛ビーチキャンプ場に到着。
荷物を降ろしてると、おばちゃん二人がキャンプ料金600円の徴収に来た。
この辺でも両陛下の出迎えがあり、何日も前から準備で大変だったらしい。
最寄の温泉を尋ねたが、そのアポイ山荘がまさに御宿泊所で貸切とのこと。
仕方ない、少し遠くの温泉まで足を延ばすか。
18:00、落ち着いたところで温泉へ入るため浦河方面へ出発。
R236を経て、18:20、浦河温泉あえるの湯に到着。
乗馬施設と宿泊施設に併設された温泉で、気後れするくらい豪華な建物だった。
事情があって現在は温泉ではなく、水道水を沸かしなおしているらしい。
まぁ、僕は気にしない性質なので問題なかった。
帰る時に気づいたが、ここの駐車場にも警察車両が沢山停まっていた。
動員された警官が大勢泊まってるのだろう。おそらく一緒に入浴した中にもいたに違いない。
さっきのおばちゃんからも聞いたが、こりゃ明日も国道は警察だらけだな…。
風呂から上がって、そのまま様似の市街へ戻り、Aコープで買出し。
キャンプ場へ戻ったのは19:30。早速、晩酌開始。
サラダをつまみながら、ちゃんこ鍋を暖める。出来合いだがなかなか美味い。
具がまだ残る鍋にうどんを投入し、鍋焼きうどんで締めとする。
また例のバターを浮かべてみたが、これが予想以上に美味い!
ダシと醤油にコクが加わり、具も麺も味わいが深まった。
北海道最後の夜。
さすがに疲れが溜まっていたのか、気を失うように眠りに付いた。
それにしても物々しい警戒態勢だなぁ。
こんな場所にキャンプしてて、夜中に職務質問されたらどうしよう。
持ち物はナイフにナタに熊避けスプレー…よくお出迎えに加われたよなぁ…。
豚丼とバター鍋焼きうどん実にうまそうですね。
片や両陛下は何をお召し上がりになったのでしょうか?
風雨にさらされ地べたで寝る人もいれば、護衛付きで自由が利かないお立場の方も見える。
どちらがいいか自問してみると地べたで寝るほうがいいかなと思ってしまいう自分は・・・
もし陛下が塩さんのテントを電撃訪問されて、バター鍋焼きうどんを食されたら、にっこり笑っておいしいという言葉を賜る気がします。
明治天皇がその味を愛でてから、ヒガイという魚に鰉の字が当てられるようになったとか。
あるいは昭和天皇が「美味しい」と御代わりしてから、おろしそばが福井の名物になったりとか。
主上がお忍びで電撃訪問…その上、バター鍋焼きうどんなんかで御感を賜ったら…。
(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク
梅やら桜やら盆栽でもあれば、故事にならって焚火でもてなすんですけどね。