旅は道連れ

なかなか寝付けず、うとうとしたとこで時計を確かめたら午前0時。
隣のテントでM氏も起きてる様子だったので声をかけてみた。
「塩ちゃん、紙、貸して」
深夜のNGSかよ…。
木陰でしゃがむM氏のヘッドライトを横目に、夜空を見上げれば満天の星々。
標高も高く、空気も澄み、邪魔になる地上の明かりもない。
ちょうど月も出ていなかったので星の光が際立った。
これまで見たこともない天の川が、頭上に帯を描いている。
NGSから戻ってきたM氏と二人でしばし星空鑑賞。
ヘッドライトをOFFにしても、星明りだけで視界がある程度確保できた。
長野のような標高の高い地域でしか得られない貴重な経験である。
一服して、テントにもどり、今度こそ熟睡…。
さて、朝。起きたら早速M氏が釣りの支度をしていた。
朝食前に僕も竿を取り出して糸を垂れる。
釣れたらもちろん朝食のおかずに…。
なるはずだったが、またも釣果なし。ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
仕方なく買っておいた食料を調理。
M氏は木立に生えていた山椒の実を齧りながら、足元のフキを摘み、川で洗って皮を剥いている。
僕も真似して山椒の実を齧る。鮮烈な香りが口に広がり、やがて舌先に心地よい痺れ。
フキはアクが面倒くさいだろうからやめといた。
僕の朝食はパックご飯(サトウのご飯の類ね)をほぐして、野沢菜茶漬けの元を混ぜて水をいれ煮込んだ、即席雑炊。
M氏は…「トムヤンメン」!? なんだそりゃ!?
なんだかよく分からないがトムヤンクン風スープに麺の入ったものに、さっきのフキを茹でたものを投入…。
なぜ、こんな状況でそういうものを選ぶかなー…。
昨日、彼がスーパーでそれを買うのを見たときに、僕は心中ひそかに「きっと後悔するだろうな」と思ってたのだが、まさに図星。
あの悪食のM氏が、アクたっぷりのフキ+癖のありすぎるスープを一口食べて、「二度と買わない」発言。(もっと早く気付けってば…)
なんのかんのいいつつスープを残して完食し、口直しといいつつ、デザートの梨にかぶりついていた。

小黒川 たしかに黒い岩盤が目立った

小黒川 たしかに黒い岩盤が目立った

僕は無難に雑炊 朝食に冒険は不要ですな

僕は無難に雑炊 朝食に冒険は不要ですな

のんびり片づけをして、ちょびっとバイクの調整をして、午前8:20出発!
とりあえず目指したのは道の駅・南アルプスむら長谷。近かったので、8:35到着。
ゴミを捨てさせていただいて(申し訳ないです、でもきちんと分別しました)、
トイレが掃除中だったので 、庭の散水栓で水を確保し少し休憩。
M氏はどこかに電話。僕は今日の目的地のGPSポイントを登録。

庭のテーブルにいたアマガエル

庭のテーブルにいたアマガエル

9:00、出発。
高遠市街を抜けて 町道高嶺線という未舗装路を目指す。
分かりにくい入り口で、何度か道を間違えそうになったが、GPSのお陰でそれほど迷わずに済んだ。
「全面的にフラットなダート17km」とツーリングマップルには記述されている。
よーし、気合入れてくぞー!
…と思ったら、ダートの途中の分岐を間違えたらしく、すぐに舗装路に出てしまった。
引き返そうかとも思ったが、M氏が面倒くさそうだ。
久々の長距離ツーリングで肩・背中・腰・尻・手のひらなどあちこち痛むと、昨夜からしきりに訴えている。
無理をして体を壊すのもあほらしい。それにこの舗装路はダートと平行して走っているので目的地も目指すのに都合がよい。
というわけでアスファルトをセカセカ走ることにした。いきあたりばったり。
で、ついたのが昨日走った金沢林道の一地点。
ここから千代田湖という小さな湖を経て国道に出る予定だったのだが、
あちこち道に迷ってしまった。「~方面」という看板がいたずらで向きを変えられていたのだろう。
湖とは正反対の峠に出たり、とんでもない悪路に入り込んでしまったり、いらぬ時間を費やした。
10:00過ぎ、ようやく千代田湖に到着。

金沢林道との交差点

金沢林道との交差点

千代田湖 こじんまりしてました

千代田湖 こじんまりしてました

ここから国道152線に出て、少し北へ行き、西へ折れ日影入林道に到着。
「工事中車両通行止」とか書いてあるゲートがあったようなないような…。
日曜は工事も休みなので、通り抜けさせてもらうことに。
砂利道だが工事のため平らにならされていて大変走りやすい。
M氏はあっというまに土ぼこりのかなたへ消えていった。
もう転びたくない僕はここでものんびり走る。
途中でBMWとぜルビス(たぶん)の二人組みが停車して地図とにらめっこしてた。
会釈して通過~♪
ダートを抜けると、もみじ湖というダム湖があらわれた。
釣り人が何人も見える。あとで調べたらブラックバスのポイントらしい。
こんな山上湖までブラックバスに汚染されてる状況は本当に問題だと思う。
釣ったら食え!

もみじ湖 もみじがたくさん植樹されてるそうです

もみじ湖 もみじがたくさん植樹されてるそうです

ここから諏訪箕輪線という一車線の県道をしばし北へ。
ツーリングマップルでは「廃村をつなぐ寂しいルート」と紹介されている。
廃村とまではいかないが廃屋がいくつもあり、舗装路なのに林道のような雰囲気だ。
行楽シーズンなので人はちらほら見かけるがすれ違う車は全くない。
っと、ここでびっくり!
前を行くM氏が停車してるな…と思ったら、
大きな鹿がM氏の前を横切り左手の斜面を駆け上がった!
あわてて写真を撮ろうとしたが、木立の奥に潜んでしまい、シャッターチャンスを逃してしまった。
M氏によると、道を走ってたら鹿がいて、しばらくにらめっこしてたらしい。
で、僕が後ろから来たので逃げてしまったとのこと。
立派な角を生やしたオスだったそうである。
貴重な経験ができた。
これまでにも渓流釣りで訪れた秩父の山中で、2・3頭の野生の鹿の群れを遠くから見かけたことはあるが、
接近遭遇は奈良でせんべいを餌に集めた経験ぐらいしかない。
野生のカモシカやシカを間近で見ると、日本の国土は人間だけのものじゃないんだなぁと実感できる。
あたりまえの話だが、東京に住んでいると大型哺乳類は人間しか見かけないためついつい錯覚してしまうのだ。
戒めのためにも、野生動物との出会いを大切にしたい。
…次は熊の予感…(;´Д`)
しばらく進んで、右に折れ、次のダートへ。
先ほど通過してきた工事中の平らな砂利道へ抜ける道である。
っとまたさっきのBMWとぜルビスのコンビが停車してる。
笑いながら会釈して通過~♪
国道へ抜け、次に目指したのは杖突峠の茶屋。
ここの展望台の眺めが素晴らしいらしいのだ。
11:40峠の茶屋に到着。
ツーリングマップルで紹介されてるポイントだけあってバイクが多い。
ここにもBMWの集団がいた。待ち合わせポイントにしてるらしく、彼らも我々と一緒に展望台へ。

左から諏訪湖~霧が峰~八ヶ岳 大パノラマの壮大な眺め(拡大画像はサイズでかいので気をつけて)

左から諏訪湖~霧が峰~八ヶ岳 大パノラマの壮大な眺め(拡大画像はサイズでかいので気をつけて)

のんびり眺めた後、展望台のある喫茶店でキウイアイスを食べつつ一服。
まだ早いが、M氏の体調が辛そうなのと、渋滞が心配だったので、市街地で昼飯を食べて帰ることにした。
表に出たら、今日、二度会ったBMW&ぜルビスが到着したとこだった。
BMWの集団が待ち合わせていたのは、どうやら彼ららしい。
「よく会いますね~」と互いに笑いあって別れた。11:00出発。
「やっぱ名物っぽい物を一度は食べないとねー」
といいつつ、諏訪の市街地で食い物屋を探してる最中、とある看板を見つけた。

よくある標語の看板に見えますが

よくある標語の看板に見えますが

ここに注目!

ここに注目!

お前は柳沢慎吾かよ!?(#゚Д゚)
とか突っ込みたくなるっしょ? ならない?
おれだけですか、そうですか。
さて、そんなどうでもいいことは置いといて昼飯。
結局、僕の希望もあって「小作」というほうとうの名店に決定した。
前回、山梨でほうとうをはじめて食べて以来、一番有名な小作という店で食べて見たかったのだ。
このあたりは長野でも山梨に近い地域でもあるので一応名物ともいえるし、
M氏もほうとうは好きなほう(たぶん何でも好き)らしいので、その店に落ち着いた。
僕はイノシシ肉入り、M氏は鴨肉入りのものをそれぞれ注文した。
味は…確かに美味しかったが、正直、先日食べた不動の方が好みである。
ま、後発の店のほうが客の好みに合わせてアレンジできるので、その分有利ともいえるだろう。
それよりむかついたのが受付のおばちゃんの接客態度。なんか、ぞんざいな客あしらいが鼻につく。
もう来ねーよ! ヽ(`Д´)ノウワァァン!! って感じです。

ダイエット中なので肉を食べたのはひさしぶり

ダイエット中なので肉を食べたのはひさしぶり

小作 諏訪インター前店

小作 諏訪インター前店

さてさて、食べ終わって13:20。一路東京に向かって出発。
高速に乗り、90km前後で巡航するも、東京に近づくにつれてだんだん車の量が増えて来た。
談合坂SAの先で17kmの渋滞という情報もある。
こりゃー帰宅は日没後かな、と覚悟。
すり抜けしつつ談合坂SAに到着したのは15:00前だった。
二人とも疲れと食べすぎで眠気が襲ってきていたので、渋滞をやり過ごすつもりで昼寝することに。
SAはずれの東屋の日陰へ逃げ込み、ベンチに横たわる。
時々片目を開けてちらりとSAの出口を見ると、だんご状態の車の量が徐々に増え続けていた。
しかし、あえて無視すること約2時間。
SAを出発したのは 17:00。ガソリンを補給して、これからの渋滞に挑むべく気合を入れた。
のだが。
M氏が先導してガンガンすり抜けたお陰で、すんなりと渋滞を抜けられた。
18:00過ぎには高速を抜け、甲州街道・環七を経て、18:23、あっけなく帰宅。
ヘロヘロ状態のM氏と別れ、部屋に荷物を運んで…
「あ、今日のうちにシグマリオン3用のAirH”を契約して来よ」
僕は再びバイクにまたがり、夕暮れの中、中野駅商店街を目指した。
東京でしか味わえない、圧倒的な人ごみの喧騒。
案外、それも好きなのかも知れない。
自分の気付かなかった意外な一面。
僕にとっては、東京にいては得られないものの貴重な一つである。

怪人M氏登場

夏も終わりに近づいて、ようやく暑さを思い出したようだ。
久々に晴れた週末。雨に祟られたお盆休みを取り戻そう、そんな家族連れも多いはず。
僕も平日夜中まで頑張って仕事に一区切りつけ、晴れ晴れとした気分でひさびさの林道へ出かけた。
今回は珍しく二人連れである。パートナーは腐れ縁のM氏。軽く紹介をしておこう。
M氏は都内のとある私立高校で生物の講師をしている。
自然科学の知識がすこぶる豊富で、昆虫の専門家。
またPC関連の知識もDOS時代から蓄積されており、僕もずいぶんお世話になった。
そのうえバイクは、かつて趣味でオフロードのエンデューロレースにも出場していたほどの腕前。
フラットな林道ならかなりやばいスピードを出してしまうそうだ。
キャンプツーリングもベテランでなんとも頼もしい存在である。
が、しかし!
この人、まれに見る悪食で何でも食う。
釣れても普通は捨てられるような雑魚や毒魚、昆虫や野草などとりあえず口に入れる。
「見た目が美味しそうだったから」とクモの卵を生食したこともあるらしい。
この人の「美味しい」は「食べても死なない」と同意義かと思う。
いろんな意味でディープな人である。

左:私のセロー 右:M氏のBAJA

左:私のセロー 右:M氏のBAJA

さて午前6時、塩犬宅前に集合し出発。
今回の目的地は長野県の入笠山周辺の林道である。
前回、山梨でキャンプをした場所の少し先にあたるのだが、今回はM氏の希望もあり高速道路を使用した。
高速は伊豆ツーリングで多少使ったことがあるが、 これほどの長距離移動は初めてだ。
中央フリーウェイ~♪
右に見える競馬場~♪ 左はビール工場~♪
この道は~♪ まるで滑走路~♪ 夜空に続く~♪
(JASRACほげほげ)
とユーミンを口ずさみながら中央高速を一路西へ。
セローはせいぜい100kmしか出ないので、嫌でも安全運転になってしまう。
途中、談合坂PAで朝食。七時を少し過ぎたくらいなのにずいぶん混雑してる。
なんとか席を確保して山菜そばを食す。ガソリンを補給して8時前に出発。
諏訪南ICを降りたのが9時15分。そこから多少迷いつつ、入笠山への道を探す。
このあたりの道は入り組んでいて分かりづらい。地元の人に道を聞いたが、言葉も分かりづらい。
で、どうにか金沢林道の入り口までたどり着いた。ジャンケンで僕が先に行くことに。

「よーし、いいとこ見せるぞー」
と、思ったのが間違いのもと。

っと、砂利の浮いた急カーブでバランスを崩し転倒。
転倒らしい転倒は,、バイクに乗り始めて今回が初めてである。
人間、調子に乗ってはしゃぐとろくなことが無い。

撮影M氏 嬉しそうにシャッターを押してた…

撮影M氏 嬉しそうにシャッターを押してた…

あぁ、太いさ!文句あっか!?(゚Д゚#)

金沢林道 自転車が非常に多い

金沢林道 自転車が非常に多い

ブレーキレバーが曲がり、フロントフォークがゆがんでしまったが、力ずくで元に戻す。
膝から血も流れてたけど、それ以上に痛かったのは、買ったばかりの1万5千円もした防水ライディングパンツが破れてしまったこと。
以後、M氏を先に行かせ、僕は安全第一で進むことにした。
砂利に気をつけてのんびり走れば何の障害も無いフラットなダートである。
難なく、目的地の入笠山山頂手前までついた。

入笠山の山頂手前にある山小屋

入笠山の山頂手前にある山小屋

これはクスサンという蛾の繭だそうです

これはクスサンという蛾の繭だそうです

「ここの山頂からの眺めは絶景」と社長の奥さんから聞いていた僕は、当然登るつもりでいた。
30分程度歩けば登れるらしいのだが、M氏が頑として拒否。40過ぎで最近運動不足だからに違いない。
仕方なく、散策は諦め林道ツーリングを続行。
結構、入り組んでいるため周辺全ての林道を走ろうとすると、
グルグルこま鼠のように同じ道を何度も通らねばならなかったりする。
途中、林に遮られた名ばかりの展望台で休憩。
正午近かったのでついでに昼食。
メニューはサラスパを使った明太子スパゲティ。

これなら失敗のしようがないか

これなら失敗のしようがないか

八ヶ岳がドーンとそびえてます

八ヶ岳がドーンとそびえてます

昼食を済ませて今後のコース計画会議。
「南アルプスの西側を南下する黒河内林道を抜け、長谷村で温泉&買出し」という僕の提案に、
地図も何も持ってきていないM氏は一も二も無く同意。12:30、出発。
さっきも通った山小屋でトイレ休憩などして、なんだかんだで13:20、黒河内林道に到着。
丁度、向こう側から大型バイクに乗ったライダーが来てゲートを開けようとしていた。
開けてる最中に、停車中の彼のバイクが転倒。BMW製の1150ccに荷物満載でさすがに重そうだ。
僕は 転倒のつらさを味わったばかりなので、迷わず手助け。 それにしてもBMWのバイクをよく見かける…。
さて、黒河内林道はカーブが少なくフラットでずいぶん走りやすかった。
先を行くM氏は、土ぼこりだけを残し、あっという間に見えなくなる。
僕はマッタリ景色を眺めつつのんびり巡行。
14.5kmのダートを抜け、南アルプス登山の玄関口・戸台口バス停を通り、国道152号線へ出たのは14:00。
そこから温泉に向かったのだが、ツーリングマップルの情報が少しずれていたため、しばし迷うことに。
14:20、 「南アルプス生涯学習センタ-・気の里・入野谷」という、なんとも長い名前の目的地にようやく到着。
名前は怪しげだが、こじんまりしたきれいな温泉だ。建物も建てられたばかりだろうか。
これで500円。かなりお得である。二人とも結構疲れて眠かったので、汗を流した後、休憩所で仮眠することに。

南アルプス生涯学習センタ-・気の里・入野谷

南アルプス生涯学習センタ-・気の里・入野谷

16:00。走り回る子供と甲子園決勝戦のせいで、休憩室はかなりうるさく、ほとんど眠れないまま出発。
野宿に備えて水を汲みたかったのだが、ペットボトルで売られてる商品しか見当たらない。
仕方ないので「薬を飲まなければならない」とフロントで嘘をついて、給湯室へ案内してもらった。
これで今夜の飲み水はOK。次は食料買出しである。
地図上ではこの辺にAコープがあるはずなのだが、フロントの女性に「土日は休み」という衝撃的な事実を伝えられた。
計画を変更し、国道を北上。この周辺でもっとも大きな都市であろう伊那市を目指す。
16:20。伊那市の手前の高遠という集落でかなり立派なスーパーを発見。ラッキー♪
M氏と塩犬、各自好き勝手に夕食と朝食の買出しを行う。
買い物を終えたら近くのスタンドでガソリンも満タン。これで万全。
17:00。いよいよ宿泊地の特定開始!
のんびり構えてるようだが、これまで走りながら候補地は何箇所か見つけてある。
どこもダメだったら、入笠山のキャンプ場(1人400円)もあるので気分的には楽だ。

このダム湖の湖畔も候補だったのですが

このダム湖の湖畔も候補だったのですが

この看板見て諦めました

この看板見て諦めました

結局、黒河内林道の脇を流れる小黒川の川原を野宿地に決定。17:30。
天気予報は晴れだし、上流にダムが無いことも確認済み。
バイクを止め、荷物を降ろし、テントを張って一安心。
M氏の買ってきたサワーで乾杯。
ほろ酔い気分で日没までのわずかな時間、二人で夕まずめの渓流釣りを楽しんだ。
釣れた魚はもちろん夕食に…
…なるはずだったが、釣果・なし。食料を買っておいて本当によかった。
車でも入りやすい川原だから、あらされてるのだろう。中州に 浮き輪まで落ちてる。
日も暮れた。さあ、宴会!
と言っても瓶の梅酒を一杯ずつ。二人とも大人だから、完全に酔っ払うほどは飲まないのだ。
地元産キノコの塩バター炒めやら、インゲン入りさつま揚げやら、トマトやら納豆やらをつまみながら、とりとめもない話をする。
M氏の昆虫に関する薀蓄は、こちらが質問するほど次々出てくるので面白い。
実生活では何の役にも立たないトリビアばかりだが…。

それなりに豪勢な宴♪

それなりに豪勢な宴♪

宴の〆はカップラーメン。お湯を沸かして注いで待つだけ。
キノコ炒めの余りを入れて、ズルズル・ハフハフ。
ただのカップメンだがこういうシチュエーションだと実に美味い。
片づけを終え、NGSを済ませて就寝。
山奥の夜。静かだと思い込みがちだが、そうでもない。
遠くの町から聞こえる打ち上げ花火の音。
テントの間近を流れる川のせせらぎ。
時折、林道を通り過ぎる車のエンジン音。
動物が踏んだのか、木立で枝が折れる音。
遥か上空を飛ぶ飛行機。
となりのテントでなにやらガサガサ…。
酒と疲れで確かに眠いのに、いろんな音が気になってなかなか寝付かれない。
キャンプって、たいていこうなのかも…。

一期一会

ともにキャンプ場に宿泊することになったT氏。
とりあえずテントを張り、寝る準備が整ったのを確認した上で、 一杯誘った。
寝酒用に買っておいた勝沼ワインの白をあけ、雪印6Pチーズをつまみに乾杯。
ファミリーキャンプの花火や嬌声を無視しつつ、 脇に置いたヘッドライトの明かりの元、野郎二人のささやかな宴が催された。
彼は偶然にも私と同い年だった。これまで北海道や屋久島へ長期ツーリングに行った経験の持ち主らしい。
今回は一週間ほどの日程で北九州から富士山を見るために下道を通って来たのだが、 地図は大雑把な日本地図しか持ってないとのこと。
一応今日の昼間に富士山を見てきたが、雲が被った状態だったらしく残念がっていた。
その後、特に目的地も無くフラフラ迷走してここまで来たとか。
「ところでここって山梨県ですよね?」
まさにいきあたりばったり。バイクの旅はかくありたいものだ。
仕事のこと、バイクのことなど話したが、互いに疲れていたので10時に就寝。
周囲はうるさく、何度も管理人さんによる注意のアナウンスがされていたが、耳栓を持ってきていたお陰で熟睡できた。
翌朝5時まで一度も目を覚ますことなく、これまでにない快眠をむさぼって大満足。
疲れも吹っ飛び、一日中思う存分走れそうだ。今回はキャンプ場を選んで正解だった。

左:T氏のバイクとテント 右:塩犬の(以下略)

左:T氏のバイクとテント 右:塩犬の(以下略)

早朝、森の中を散歩…最高です

早朝、森の中を散歩…最高です

6時にはT氏も起き出し、互いに撤収の準備を開始。バイクの旅は「夜明けとともに行動開始」が基本である。
まだ周りのテントはほとんど目覚めた気配もない中、7時のゲート・オープンにはすでに二人とも出発の準備ができていた。
T氏は長野方面に、私は甲府方面の林道に。7時半、国道とのT字路で片手を挙げ互いの道へ。
縁があれば、またどこかで出会うこともあるだろう…。さらばさらば。
さて、今日の最初の目的地は小武川林道。キャンプ場から甲州街道を甲府方面にしばらく進む。
途中、コンビニによりサンドイッチで朝食を済ました。
午前8時、小武川林道起点に到着。名前の通り、小武川という川にそって作られた林道だ。
ところどころ川原にはテントも張ってあり、釣りをしてる人もいた。キャンプ帰りなのか何台もの四輪とすれ違った。
林道の先に温泉があり、もともと交通量が多い林道らしい。バスやタクシーさえ行き来している。
当然、路面は走りやすく、それほど困難な場所もない。
ただ走ってるだけでは飽きるので、退避スペースにバイクを停めて、しばし川原で遊ぶことにした。
流れる水は全て南アルプス天然水(笑)。 素足を浸しても数十秒と耐えられないほどの冷たさだった。

白い花崗岩がゴロゴロしてる小武川

白い花崗岩がゴロゴロしてる小武川

サクッとアキアカネ?を捕獲 腕は衰えてなかった

サクッとアキアカネ?を捕獲 腕は衰えてなかった

30分ほどのんびりし、9時に再出発。林道の奥にある御座石鉱泉に行き着いた。
軽い気持ちで「ヒトッ風呂浴びるか」と入浴を申し出たら、何と1260円。高っ! おまけに風呂も汚っ!
登山客向けの山小屋なのでそのような値段と設備なのだろうが、日帰り湯としては×。後悔することしきり。
気を取り直して林道にもどったが、しばらく行くと完全に舗装路に。
峠道だからウネウネとしたワインディングはあるが、正直、拍子抜けさせられた。
11時すぎには林道を抜け、とりあえず韮崎の市街地へ向かった。
次の目的地は林道前山大明神線。っとその前にスーパーで昼食の買出し。
昨夜のスパゲティで懲りているので、今日は調理なしのメニューを選んだ。
日が頭上から照りつける中、県道から広域農道を経て林道入り口へ到着。
「深い砂利・ギャップあり ダート10.2km」とツーリング・マップルにコメントがある。かなり期待できそうだ。
気合を入れて出発! 出発直後、一台の4WD車と二台のオフロード・バイクとすれ違った。
バイクの二人からピースサインされ、あわてて返すことができた。 一瞬のできごとだが嬉しいものだ。
孤独を求めてやってきた林道で人に出会って嬉しがるのも変な話だが、
相手も孤独を求めていることが分かってるので、互いに程よい距離感が保てるのだ。
これは昨夜のT氏との出会いにも通じる。
ベタベタ世話を焼かれるのはゴメンこうむるが、さらりとした親切くらいなら受け入れる。
バイクで旅をしてる人は、そんな人が多いように思う。
さて林道に入ってまもなく、眺望のよい空き地を見つけた。 時刻は12時20分。
ここで昼食をとることにした。暑い暑いと言いながらジャケットを脱ぎ、シートを広げスーパーで仕入れた品々にかぶりついた。

ヘルシーなメニューでしょ?

ヘルシーなメニューでしょ?

林道前山大明神線 結構ハードでした

林道前山大明神線 結構ハードでした

食べ終わってから、ちょっと寝転んで午後一時。出発。
そこから先も砂利にギャップ、轍に窪み。いろいろあったが、こけはしなかった。
支線も往復して無事完走。朝から林道2連発でかなり満足できた。
というわけで今日は林道おしまい。あとはオンロードで観光スポットを巡ることにした。
で、とりあえず来たのが、風光明媚な観光地「昇仙峡」。時刻は午後二時。
ロープウェイがあったので「パノラマ台」と呼ばれる頂からの展望を楽しむことにした。

荒川ダム方面を望む

荒川ダム方面を望む

モズ? 一応、野鳥なので写真撮ったんですが…

モズ? 一応、野鳥なので写真撮ったんですが…

展望を楽しんでいたのですが、ふと見るとロープウェイの駅の脇に祠がありました。
夫婦円満の神…「男女和合神」…? 女陰と男根の混合した姿のナラの木が御神体らしい。
ごもっとも様もそうだったが、やはり多いな、生殖器信仰。
で写真はこちら。

男女和合神様の女陰部分に

男女和合神様の女陰部分に

ズーム・イン!!

ズーム・イン!!(モザイクいるか??)

3時半までのんびり観光を楽しんだ。さて、次はどこに行こうか。
昨夜はたっぷり寝たので体力に余裕がある。
また、いまから帰宅したところで大渋滞に巻き込まれるのが落ちだ。
ならば渋滞を避けるために帰宅時間を遅らせることを前提に考えて、 思い切って富士山を見に行くことにしよう。
目的地は河口湖に決めた。途中、甲府市街を抜けるついでにデジカメ用に128MBのSDカードを買った。
甲府を抜け、甲州街道をしばらく東へ移動し、国道137号を右折。
峠まで昇り続ける道を駆け上がる。反対車線にくらべずいぶん空いていた。
峠の長いトンネルを抜けると今度は下り。
一瞬だけ富士山と河口湖が見えたがすぐに視界を遮られた。
平地に至り、しばらく走ると河口湖畔。無料駐車場にバイクを停めたのが午後5時半。
すぐそばにカチカチ山ロープウェイというのがあった。見れば18時までの営業らしい。
急いで駆け乗った。名前の通り、このロープウェイのある天上山が童話カチカチ山の舞台なのだそうだ。
標高1104mから見た夕暮れ時の河口湖・富士山は美しかった。
短い時間だったが登ってみてよかったと思う。

夕暮れの河口湖

夕暮れの河口湖

お約束の富士山 頭を雲の上に出し~♪

お約束の富士山 頭を雲の上に出し~♪

頂上の展望台に白人の女の子のグループがいた。おしゃべりを聞いてみたが英語圏ではないらしい。
18時でロープウェイが営業終了してしまうことを知ってか知らずか、奥のポイントへ進もうとしていた。
気になって声をかけてみた。
おれ:Excuse me, can you speak English?
彼女たち :Yes?
おれ :Do you know the last ropeway in 6 o’clock?
たぶん、めちゃくちゃな文法と発音だっただろうが、どうにか通じたらしい。
Yeah,aha,とうなずいていた。分かってるなら、まぁいい。
きっとハイキングコースを歩いて降りるつもりなのだろう。あじさいの名所にもなってるコースらしいし。
結局最終便に彼女たちは乗ってこなかった。 日没前に降りたことを祈るばかりである。
さて腹もへったことだし、帰宅前に山梨名物「ほうとう」を食べていくことに。
実はまだ一度も食べたことが無く、実物がどんなものなのか知らなかったのだ。
走ってくる途中、ほうとう不動という名店っぽい店が混んでいたので、そこに決めた。
不動ほうとう、一人前1000円を注文。
色とりどりの野菜と、うどんとすいとんの中間のような麺(ほうとう)が白みそで煮込まれたヘルシーな料理である。
大して美味くないという声しかこれまで聞いたことがなかったが、どうしてどうして。
かなりの量で熱かったが全部たいらげた。期待以上に美味しかった。こんどは別の店のを食べてみたい。

ほうとう不動 河口湖北本店

ほうとう不動 河口湖北本店

ほうとう(゚д゚)ウマー そのうち、また食べに行きます

ほうとう(゚д゚)ウマー そのうち、また食べに行きます

食べ終わったのが午後7時。今から帰ればいくらか渋滞は解消されているだろう。
多少混んでいるようなら高速を使えばいいや♪
…と予想したが甘かった。抜け道を走っている間はよかったが、上野原で甲州街道に出たとたん大渋滞。
高速と立体交差する地点で確認したら、そちらもテールランプの長い列。動いている様子はない。
路肩が狭く、すり抜けも難しいが、できる限り前へ前へと急いだ。
しばらく進んだところで大型のバイクと併走。何kmかを互いにカバーしながら進む。
コンビニで休憩しようと左折したら、相手のバイクも付いてきた。
バイクを停めてジャケットを脱ぎ挨拶。
コンビニで買った缶コーヒーを飲みながら、しばし雑談。
年齢は私よりいくらか上だろうか。乗ってたバイクはBMWのR1150GSだった。
横浜からビーナスラインを走りに来たらしい。
オートバイは車と違い、自分の空間を閉ざすことができない。
だからこそ、 こういう何気ない出会いからも気軽な会話に発展できるのだろう。
一緒に走ってるというだけで、すでに同じ空間を共有し、通じ合うものが芽生えるのだ。
20分ほど休憩し「そろそろ行きますか」と走り出す。
少し進んだ相模湖畔の交差点で、神奈川方面との分岐があった。
後ろのBMWをちらりと振り返ると、目が合った彼がこくりとうなずいた。
自分もうなずき返して前を向く。バックミラーには停車して右折のウインカーを出してるBMWがいた。
また一人に戻った。自宅まであと50km。幸い道は空いてきた。
スピードを上げ、甲州街道をひたすら東へ。
今度はどんな出会いが待ち受けているのだろう…。

山があっても山梨県

今回は武田信玄公ゆかりの地、甲斐の国・山梨へ行ってきた。
出発は朝6時。天気予報は晴れ。行楽地は大混雑が予想される。
とにかく東京を早いとこ抜け出さないと…。
環七から甲州街道に入り、多少迷子になりつつ西へ。
調布・立川・八王子を過ぎ、相模湖のGSで給油。
3人連れのライダーに話しかけられてGPSの使い勝手など語る。
彼らは高速で塩尻へ行くそうだ。彼ら以外にもバイクをよく見かけた。
ひさびさに晴れた週末だからだろう。雨でツーリングしてる物好きは私も含めて少数派らしい。
山梨県内に入り、曲がりくねった道をトコトコ走る。
…だんだん眠くなってきた。 実は昨夜はプールで泳いだり、
「踊る大走査線2」のオールナイト上映を見たりしてほとんど寝てなかったのだ。
というわけで、勝沼の手前にあった道の駅「甲斐大和」で休憩。8時半。
首都圏は抜け出したので、渋滞はもうそれほど心配ないだろう。
農家のおばちゃんが売ってた桃を一個買い、その場でカッターナイフで皮を剥いて食べた。
甘い果汁が疲れた体に染み渡る。そのまま東屋で仮眠。
8月の日差しは強かったが、高原のさわやかな風が気持ちいい。
9時半。道の駅のトイレで水を汲んで出発。トイレの水といえども上水道だから気にしない。
最初の目的地は水ヶ森林道。
勝沼で甲州街道を離れ、GPSを頼りに北西へ向かう。
途中、ほったらかしの湯という温泉があったが、まだ入浴には早すぎる。
そこから道をまちがえて、えらい山道に入ってしまった。
これまで走ったどんな林道よりハード。何度も転倒しクタクタになりながら途中で引き返してきた。
何kカロリー消費したかなー、とかプラス?に考えつつ、進路修正。
時間のロスはあったものの、正午に水ヶ森林道の起点である太良峠に到着。
時間も丁度頃合なので昼食にした。こないだのマルタイ棒ラーメンの食べ残しを調理。

太良峠 甲府盆地を一望

太良峠 甲府盆地を一望

今回は生卵を落としました

今回は生卵を落としました

迷い込んだ山道 車が通った後はあるが…

迷い込んだ山道 車が通った後はあるが…

太良峠で見かけた不思議な植物(腐生植物か?)

太良峠で見かけた不思議な植物(腐生植物か?)

12:30出発。ダートが7.7km続く水ヶ森林道。ぬかるみやギャップはあったが、全体的にかなり走りやすい方だ。
さっきの山道とは比較にならないほど走りやすい。途中、アヤメの群生地があった。
アヤメ自体はほとんど咲いてなかったが、他のさまざまな花が咲き乱れた夢のお花畑だった。

花畑でデートしたら虫まみれになるだろう

花畑でデートしたら虫まみれになるだろう

クジャクチョウ

クジャクチョウ

全体的にフラットだった水ヶ森林道

全体的にフラットだった水ヶ森林道

何の花?? 誰か教えてー!

何の花?? 誰か教えてー!

一度もこけることなく林道を抜けアスファルトの道へ。
そのまま次の川上牧丘林道の起点まで走り、トイレ休憩。
林道手前の駐車場を見ると、家族連れが多かった。
林道に入っていく車両も多い。
そう、ここはドライブ観光の名所なのだ。
川上牧丘林道は長野の川上村と山梨の牧丘町を結ぶ、かなり荒れた路面の林道である。
その途中にあるのが大弛峠。標高2360m。
一般車両が通行できる日本でもっとも標高の高い地点である。
また、そこから奥秩父の最高峰・北奥千丈岳(2601m)へもかなり手軽に登れることもあり、
登山者と観光客の車で休日は混雑してしまうらしい。今日もひどかった。
峠までの途中、舗装工事してる所もあり、思ったより路面状態は悪い。
一度、ギャップに後輪がはまり、なかなか抜けられずにいたら、TTRに乗った方に声をかけられてしまった。
恥ずかしい限りである…。結局大弛峠に到着したのが午後2時過ぎ。
駐車スペースもないほどの大混雑だった。

大弛峠(2360m) ビッグスクーターもいます

大弛峠(2360m) ビッグスクーターもいます

登るつもりだったが、階段を見て引き返した

登るつもりだったが、階段を見て引き返した

当たり前のように雲の中です

当たり前のように雲の中です

長野側は砂利道 でも怖くはない

長野側は砂利道 でも怖くはない

長野側を下り、県道へでた。
中津川林道へ行ったときに通った道だ。
だが今回はすぐに山梨側へもどる。
信州峠経由で走り続け、午後4時前に増富ラジウム温泉郷へ到着した。
増富の湯という公共の立ち寄り湯で 700円を支払い入浴。
… さて、今日の宿だが、前回の房総で懲りたこともあり、今回はキャンプ場を予約した。
尾白の森キャンプ場というとこで、バイクで一泊なら800円。これで邪魔されずに眠れるなら安いものだ。
30分ほどで温泉を出てキャンプ場に向かった。途中、夕食の材料を仕入れる。
現在地からキャンプ場までかなり距離はあったが、午後6時くらいに到着した。

ぬるめの原湯が気持ちよかった

ぬるめの原湯が気持ちよかった

キャンプ場手前の道 正面には南アルプスの山々

キャンプ場手前の道 正面には南アルプスの山々

受付を済まし早速テントを張った。ひとりでは余るほどの広さのサイトだ。
周囲は家族連ればかりで、完全に浮いているが気にしないことにして食事の支度。
今日のメニューは「なんちゃってキノコクリームスパゲティ」!!
1.キノコをバターで炒め塩で味付け
2.粉末のコーンスープをお湯で溶かし、1のキノコとからめる
3.ポポロ・サラスパを茹でて水気を切り、2のソースとからめて出来上がり!!

どう? 僕ってアイデアマン!?

どう? 僕ってアイデアマン!?

おいしそうだけど、ちょっと作りすぎたかな?

おいしそうだけど、ちょっと作りすぎたかな?

…キノコが傷んでたらしく変な味がしたので、3口食べて捨てました。
デザート用に買っておいた、トマトとヨーグルトでとりあえず満腹になったので、よしとしよう。
さて、このキャンプ場の脇を流れる尾白川は名水100選にも選ばれたほどの水とのこと。
国道の分岐にあった道の駅「白州」でも名水を汲んでる人が列をなしていた。
9時にキャンプ場のゲートが閉められるので、その前に私も汲もうとペットボトルを持っていった。
のだが、…どこかの自己中家族が、いくつものポリタンクを台車で運んで汲んでいたため大行列。
待つのも馬鹿馬鹿しいや、と戻ろうとしたとき、自分のバイクの隣に休憩中のライダー発見!
野宿経験者の私にはわかる。ここを寝場所にするつもりだろう。
「ここで寝るんですか?」
と声をかけたら案の定。一日中走り続けて眠いのだが、ここでは熟睡できなさそうで悩んでる様子。
テントは積んでいるがキャンプ場どころか、ここがどこかもよくわかってないらしい。
私以上にアバウトだ。気に入った。
「よかったら、自分が泊まるキャンプ場に聞いてみましょうか?」
受付に電話してたずねたら、私のテントの余白でならOKとのこと。
800円かかるがここよりましと、隣で泊まることになった。
甲州のの真っ暗な夜道を、ミラーで後続のヘッドライトを確認しながら、私が彼をキャンプ場まで先導する。
袖触れ合うも他生の縁。吉と出るか凶と出るか?
時刻はまもなく午後9時になろうとしていた。

誰も寝てはならない

なんだかこんな声が聞こえたような気がした。
『もう眠れないぞ。マクベスは眠りを殺した。』
           - シェイクスピア 「マクベス」より -

すでに日付は変わっていた。私は件のベンチで深い眠りに落ちていた…。
…おい
…おい
熟睡してる私を揺り動かす声…
…誰だろう…おまわりさんか…?
「おい、あんた寝ちゃったのか…? こんなとこで寝たら風邪引くぞ」
仰向けのまま、街頭の明かりにまぶしい目をしばたかせつつ、相手の顔を確認した。
…お、おっちゃん!?
さっきの犬連れた、おっちゃんぢゃねーかっ!! ∑( ̄[] ̄;)!!
「あ、これ、さっきの犬の親。」(一日目の写真はこの親の方です)
「あ、そ…そうなんですか」
(…いや…あの、気持ちよく熟睡してたんですけど…ものすごく眠いんですけど…)
まいった。また身の上話のリピートだ。お人よしの私は(早く帰ってくれよ)と思いつつもフンフンうなづいている。
そのうちいなくなるだろうと思っている私に、おっちゃんは「家に泊まってけ」と言い始めた。
…どうしよう。 無論、見知らぬ他人を泊めるなんて、泊める方も泊まる方もそれなりの覚悟が必要だ。
それにしても、なぜか昔からこういう人に好かれやすいんだよなぁ…。
さすがにしばし躊躇したが、【行動しなかったことを後悔するより、行動したことを後悔する方がまし】が私のモットー。
おまけにここの愛読者である。良くも悪くも思い出にはなるだろう。行くっきゃない。決断。
いつまでも帰りそうにないなら、大人しくおっちゃんの家で寝させてもらった方がいいし。
「では、お言葉に甘えて、お世話になります」とお邪魔させてもらうことにした。
すぐそこだからと言われ、寝静まった民家の間を縫うように走る細い路地を、えっちらおっちらバイクを押して歩いた。
… かなり遠かった。おまけに坂道だった。汗だくになった。だんだんどうでもよくなった。
ようやくおっちゃんの家に着き、バイクを庭先に置かせてもらい、茶の間に上がらせていただいた。
木造平屋建て。築40年だそうだ。
たしかに古めかしいが,、いかにも漁村の民家という風情のお宅である。ちなみにボッチャン式便所。
外では、さっきの犬が自分を差し置いて家に入れてもらう私を見て、嫉妬からかギャンギャン鳴いている。
静寂に包まれた住宅街に、狂ったようにリーの声が響く。かなり痛い。
戸棚の上の時計をみたら午前1時だった。
まぁ一杯と缶サワーをいただき、 またおっちゃんの身の上話。
お世話になるのだからと、多少の義務感にかられ、しばし拝聴。
話し相手を確保して上機嫌なおっちゃんは、より饒舌になり、これまで以上にディープなお話をして披露くれた。


…刑務所に2年半入ってたらしい。(;´Д`)初耳だよ…
酔っ払って知り合いを殴って、取調べでちょっとごねたそうだ。んで傷害と公務執行妨害。
初犯だとしても実刑2年半って、相当やヴぁい殴り方だったのでは…?ガクガク((((;゚Д゚)))ブルブル
正直、それを先に聞いていたら来てなかっただろう。酒乱相手に煮え湯を飲まされた経験があるし。
ここは早めに寝て、さっさと退散するに越したことは無い…。というわけで早々に寝させてもらうことにした。
おっちゃんとしては 話し相手が欲しくて私を呼んだのだろうが、こっちも睡眠時間と命が惜しい。
翌朝は日が昇り次第出発したい。遅くとも5時には起きるつもりなので、今から寝なおしても4時間しか眠れない。
おっちゃんには申し訳ないが、その旨を話し、先に休ませてもらった。
「おう、俺もいつも5時に起きてっから、起こしてやるよ」
期待せずに携帯電話のアラームをセット。とにかく朝になったらすぐお暇しよう…。
ベッドの上でおっちゃんの匂いのする布団にくるまり、目を瞑り眠ることに集中する。
耳障りな犬のヒステリックな鳴き声と、「おっちゃんに寝込みを襲われないだろうか?」という恐怖を押し殺し、
ひたすら眠ることに集中する…。そしてようやく…

…おい
…おい
熟睡してる私を揺り動かす声…
…デジャヴ…!?
「おい、起きなよ、もう時間だよ」
嘘だろ!? (´Д`;)
外を見れば真っ暗。枕元の時計を見れば、何とまだ午前2時半じゃないか。
時計が狂ってないとするなら、床についてからまだ一時間しか経っていない。
酔っ払いには何を言っても無駄だろう…。
「朝飯、食ってけ」
ちゃぶ台にはご丁寧にもご飯と味噌汁と生卵。ありがた迷惑とはよく言ったものだ。
私の今のプライオリティは食事より睡眠。眠るには、とにかくこの場所から離れねば。
「いえ、本当に結構ですから…お世話になりましたっ!!」
お礼を言いつつバイクにまたがり、逃げるようにおっちゃんの家を出発した。
お邪魔した際に渡した名刺が気になるが、たぶん酔いからさめたら私を家に入れたことすら忘れてるだろう。
国道に出たが、さっきのベンチではまたおっちゃんが来かねない。
夕方同様、寝床を探しての南下が再び始まった。まさかこんな時間にこんな目にあうとは…。
さすがに深夜は道が空いている。15分ほど走り、何個めかの道の駅でよさそうな場所を見つけた。
海べりの広場の真ん中に屋根付ベンチ。風は強いが眠れないことはなさそうだ。
一刻も惜しい私はバイクを横付けにし、早速横たわる。
夜明けまで時間がないが、ここなら誰にも邪魔されずに眠れ…

バカっプルが花火しに来ましたっ!!(つД`)
こんな時間に何してんだよ。(人のこと言えないが)
嬌声で気が散りなかなか眠れない。そのうち夜明けが近づくにつれ風も強くなって来た。
道の駅内で場所移動しているうちに東の空から少しずつ明るくなって…。
結局ここでは一睡もできなかった。昨日から累計して2・3時間しか寝ていない。
これはマジでやヴぁい。こんな状態で一日中運転していたら確実に事故る。
計画を大幅に省略し、今日はなるべく帰宅を急ぐことにした。
房総一周という目標は死守したかったので、早速出発。空いてるうちに距離を稼がねば。

朝焼けが寝不足の目にまぶしかった

朝焼けが寝不足の目にまぶしかった

花咲き誇るフラワーラインに目もくれず、とにかく先を急ぐ

花咲き誇るフラワーラインに目もくれず、とにかく先を急ぐ

南房から太平洋に飛び出ている須崎をぐるりと巡り、東に進路を取る。
姿をのぞかせ始めた太陽を真正面ににらみつけ、目を細めながらもアクセルを緩めることはない。

こういう日に限って晴れるのはなぜ?

こういう日に限って晴れるのはなぜ?

ロープウェイで上りたかった鋸山。
小説「千里眼」を読んで以来、一度来てみたかった東京観音像。
温泉に林道。館山の海の幸。
内房に散らばる観光ポイントに再訪を誓いながら、大慌てで通り過ぎてゆく。

鋸山の崖で猫が馬鹿にしてました

鋸山の崖で猫が馬鹿にしてました

小説「千里眼」のキーポイント 東京観音

小説「千里眼」のキーポイント 東京観音

そして、内房の北の終点、富津岬にようやく到着。
三浦半島の観音崎と向かいあい、東京湾を囲む細長く西に伸びた岬である。
先端は公園になっていて、潮干狩りもできる砂浜と手入れの行き届いた芝生がある。
時刻は午前7時。 テントを張って一夜を明かしたらしい家族連れもちらほらいる。
東京湾の向こうには都心の高層ビル郡も眺望できた。

東京湾なのでさすがに誰も海水浴はしてない

東京湾なのでさすがに誰も海水浴はしてない

ちょっと日本ぽくない風景である

ちょっと日本ぽくない風景である

さて、ここまで来れば、あとは多少混雑しても自宅までそうかからないだろう。東京アクアラインを使う予定だし。
ということで東京に戻る前に仮眠を取ることにした。2・3時間でも眠れば、かなり体力回復するだろう。
手ごろな芝生にマットを敷き、眠る。さすがにすぐ寝付いた…

…ガヤガヤ…
…きゃはは あはは
うるさいっ!!!(゚Д゚#)
一時間も経たないうちに家族連れの団体さんがすぐ隣に来て騒ぎ始めた。
私から2、3歩しか離れてない場所で落ち着くつもりらしく、シートなど広げている。
意地でも眠ろうとしたが話し声が気になり、どんなやつらだろうかと目を開けて見ると、複数の家族連れの団体だった。
ん? 観光バスを貸しきりで? 何か変じゃない? 普通の家族連れと違うんじゃない??
話し声に耳を澄ますと

「兄貴ー、こっちあいてますぜーっ!!」
「塾長も、ここ座って飲んで下さいよ!!」
そしてバスには「○和会 御一行様」。
右翼(ヤクザ?)の家族連れ親睦旅行かよっ!! ガクガク((((;゚Д゚)))ブルブル
そのまま無理して寝ようかとも思ったが、ダンボールで山積みされたアルコールを見て断念。
酔って、からまれたらシャレにならん。
眠るのを諦め、出発。まだ午前8時…。
睡眠よ…あぁ…愛しい安息のひとときよ…
安眠は僕にいつもたらされるのだ…
それとも何かに呪われてるのかっ!? 。・゚゚・(つД`)・゚゚・。
木更津経由で東京アクアラインに乗り、海ほたるで朝食。

海ほたる 地下にショーグンと呼ばれる男が…(嘘

海ほたる

東京湾に浮くバブルの象徴 アクアライン

東京湾に浮くバブルの象徴 アクアライン

川崎に出て環七をぐいーっと来て、自宅に到着したのが午前10時40分…。
そのまま畳の上で爆睡!!
教訓:野犬より酔っ払いの方が怖い

思い出の九十九里浜

房総半島を一言で表すなら、「とにかく、だだっ広い」と僕は答える。
出発は午前8時。今回も小雨だ。
日本の梅雨明けが遅れてるのは自分のせいじゃないだろうか…。
本当はもっと早く家を出たかったが、明け方はかなりの土砂降りだったために、躊躇してしまったのだ。
思えば、失敗はここから始まっていた。
今回予定しているルートは、都内から成田経由で銚子・犬吠埼へ出て、そこから房総半島を南下し一周してくること。
二日間で回るため、どの程度時間に余裕ができるかわからないが、可能なら内陸部の林道もいくつもりだった。
が、予想以上に犬吠埼は遠かった…。
東京から銚子を目指し まっすぐ東へ進んでだが、はっきり言って都下の街中と変わらぬつまらない道である。
距離の長さよりも、道のりの変化のなさが退屈で耐えられない。
ようやく 犬吠埼へ到着したのは午後1時。
海に近づくにつれ、雨に加えてものすごい強風が陸から海に吹き付けてきた。
関東平野のなだらかな地形と、広大な太平洋の間に、風を遮る山はない。
横風にこれでもかと煽られながら、這々の体でたどり着いた。
こんな天気でも海水浴客はいるかなと 砂浜や磯場を見たが、身を縮ませた長袖の観光客しかいなかった。

犬吠埼灯台 でも塩犬は吠えませんでした

犬吠埼灯台 でも塩犬は吠えませんでした

8月も間近だというのに寒々しい海

8月も間近だというのに寒々しい海

犬吠埼灯台では土産物屋や鹿島港で水揚げされた海の幸を売る店が並んでいた。
お昼時ということもあって必死で客を呼び込んでいる。本来書き入れ時のはずだろうが、どの店も閑古鳥が鳴いている。
これほどの冷夏では、観光地・海水浴場は商売あがったりだろうなぁ…。同情を禁じえない。
普段の私ならこのタイミングで食事するのだが、往路でついつい空腹に負けてラーメンなど食べてしまったため満腹だった。
残念。内心、激しく後悔。仕方なく 30分ほど散策した後、いよいよ外房をめぐるコースへ。

釣り人は天気も場所も気にしない

釣り人は天気も場所も気にしない

飯岡港遠景 犬吠埼から少し南に位置する

飯岡港遠景 犬吠埼から少し南に位置する

延々50km続く砂浜・九十九里海岸。それに沿って走るほぼ直線の国道を、ときどき砂浜へ寄り道しながら南下した。
平年のこの時期なら海水浴客で大混雑するはずなのだが、どこも閑散としている。
ここまで肌寒いとさすがに完全武装のサーファーで無い限り泳ぐ気にはならないだろう。さびしい限りである。
水着のおねーちゃんを見たかったのに…。

視界の果てまで続く砂浜

視界の果てまで続く砂浜

ライフセイバーが海水浴客より多かった

ライフセイバーが海水浴客より多かった

どのくらい走っただろうか。雨の中、朝から走ってることもあり、疲れと眠気と寒さからそろそろ温泉に入りたくなった。
道中見つけた オーシャンスパ・太陽の里という看板の「仮眠室あり」との文言に惹かれ、そこで休憩することに。
入館料は2000円と、日帰り温泉にしては高めだが、雨風をしのげてのんびり眠れるのなら安いものだ。
温泉に入って仮眠室で横になる…。このとき、時計を全く気にしてなかったのが仇になった。

二輪駐車場で餌を待つツバクロの子ら

二輪駐車場で餌を待つツバクロの子ら

すでに雰囲気はシーズンオフ

すでに雰囲気はシーズンオフ

ぼちぼち起きるか…と時計を見てびっくり。すでに午後5時すぎ! なぜかまだ3時くらいに思っていたのだが、この勘違いは痛い。
今日中に外房を周るつもりだったが、時間的にかなりきつくなった。
それどころか、今日の野宿ポイントすら決めてない。あわてて出発。(あとで、このスパで宿泊すればよかったと後悔したが…)
幸い、雨は上がっていた。テントを張れる場所、もしくは屋根のあるベンチを探しながら国道を走る。
すでに九十九里の砂浜地帯を抜け、南房の磯が目立つようになってきた。
しかし、いいロケーションが見つからない。道の駅・公園・砂浜・漁港…。だめだ。どこもまだ人がいる。
いまさらながら房総半島は人家が多いと思う。伊豆や三浦半島と比べても、海岸沿いの町は皆ある程度の規模を誇る。国鉄時代から鉄道があるからだろうか…。
そんなことを思う間にも、夕闇は無情に行く手を覆い尽くす。せっかくのシーサイドラインも海が見えなければ無粋なアスファルトでしかない。
できるだけ海を眺めるために時計回りのコースを計画したというのに…。
午後8時過ぎ。ようやく海岸沿いの公衆トイレに併設された東屋を見つけた。
屋根に木のベンチ。迷わず今日の野宿ポイントに決定!
場所を後で調べたところ、千倉という漁港のそばだった。
落ち着ける場所を得た安堵感に包まれつつ、ボーっと波の音を聞いていると、
近所の民宿の宿泊客だろうか、親子やカップルが花火をしにやってきた。
やかましい子供たちの声や花火の爆発音が耳に入っても、今日はなぜか優しい気持ちにさせられる。
そのうちワゴンで家族連れがやってきて、バーベキューの準備など始めた。 さすがにそれはどうかと…。
とかいいつつ、「それならこっちも」と、私も遅い夕食の準備をすることにした。
今日のメニューは、貝のバター炒めライス。
通りがかりのスーパーでボイルしたサザエやホタテが串に刺さったやつを3本ほど仕入れ、具を串から抜いてバター炒め。
そこにサトウのごはんを暖めもせずにドバッと投入。ガンガン炒めてほぐしつつ、醤油で味付けて出来上がり。
貝がたっぷりのバターライスである。栄養バランスとか考えない。けっ。 食えりゃ何でもいいのよ。
調理中に犬を連れた地元のおっちゃんがやってきた。
晩酌を済ませたところなのか、 酔った様子でおっちゃんは私に話しかけてきた。
私が寝床にしようとしてるベンチが、その犬のいつもの指定席だったらしい。
おっちゃんの身の上話は波と花火の音で掻き消されがちだったが、私はできるだけ相槌を打ちつつ聞いてあげた。
つい実家に一人残したままの父親を思い浮かべてしまう。旅先での出会いは大切にしたい。
僕が食事の片づけを始めるまで、おっちゃんは犬の頭を叩きながら話を続けた。

後片付けはちゃんとしようね♪

後片付けはちゃんとしようね♪

左端がおっちゃん 中央は愛犬・リー

左端がおっちゃん 中央は愛犬・リー

後片付けも済まし、花火も終わった。
風雨に打たれ、時間に追われた今日の旅路を思い返しつつ、リュックを枕にベンチに横たわる。
太古からDNAに刻まれ続けてきた波のリズムを子守唄に、私はまぶたを閉じ、安息の闇へ落ちていった。
「長くてつらい一日だったなぁ…」
否!
それはまだ翌日の狂気の序章に過ぎなかったのである!

作戦名『べほま』報告書

作戦名『べほま』 -ある夏の日の海水浴について-
七月廿六日未明、幕僚本部ニ於ヰテ立案サル。
近日、戦闘力・機動力ガ著シク損傷シ、
且ツ戦闘意欲ノ芳シカラザル鹹狗部隊ニ対シ、
全軍ヲ挙ゲテ慰安・督励ヲ実行シ、
完全ナル戦力回復ヲ成就セシムルノガ本作戦ノ目的也。
費ヤス軍資金・兵站・物資ニツイテハ制限無シ。
能ウ限リ速ヤカニ作戦ヲ実行セヨ。
但シ急ヲ要スル作戦ノ為、単独ニテ行動サレタシ。
要ハ一人デ海水浴ニ行クコトニナッタノダヨ。
七月廿七日 ○七○○ 東京都中野区野方某所・鹹狗部隊本営ニテ作戦開始。万全ノ準備ヲ期ス。
同日 ○七二○ 気象庁ヨリ「曇天ナレド降水確率ハ零割零分」トノ情報ヲ得ル。
同日 ○七三○ 西武新宿線野方駅ヲ出立。品川マデ参百六拾円也。
同日 ○七五○ 山手線高田馬場駅着。
同日 ○八二○ 山手線品川駅着。朝食トシテ「天玉蕎麦」ヲ食ス。四百壱拾円也。
同日 ○八二七 京浜急行快速線ヘ速ヤカニ転進。蕎麦ノ汁ヲ飲ム時間無シ。
同日 ○九三六 三崎口駅ニ到着。品川ヨリ三崎口マデノ運賃九百円也。
同日 ○九五〇 乗合バスニテ油壺へ向カフ。運賃弐百六拾円也。
同日 一〇〇〇 油壺着。徒歩ニテ荒井浜海水浴場ヘ進軍。海ノ家ニ作戦協力ヲ依頼。出費壱千円也。
作戦ノ実施地点トシテ荒井浜海水浴場ヲ選択シタノハ以下ノ理由ニヨル。
一、鹹狗部隊ガ嘗テ別作戦ニテ来訪済デアル。
一、「全国水浴場八拾八選」ニ選バレ、水質ガ極メテ良好デアル。
一、要ハ思イツキデアル。
「砂浜ハ予想以上ニ漂流物ガ多ク汚イ。作戦展開ニ影響スル恐レアリ。」トノ報告。
直後、沖磯場ヲ斥候中ノ者ヨリ「此処ハ頗ル水質ヨシ」トノ報告ニヨリ、作戦ヲ続行。
三時間程、鹹狗部隊ハ「しゅのーけりんぐ」及ビ日光浴ヲ実行セリ。
作戦監視本部ニ「回復ノ兆候アリ」ト打電。
同日 一一〇〇 海ノ家ニテ「かれーらいす」ヲ食ス。七百円也。「所詮海ノ家、味ナンテ」トノ報告ヲ受電。
同日 一三〇〇 荒井浜海水浴場撤退。海ノ家関係者ヨリ「本年四月ニ公衆便所ヲ修繕シ清潔ニナッタ」トノ報告アリ。
同日 一三一〇 三浦沖海洋深層水露天風呂ニ移動。入浴。貸手拭込デ壱千参百円也。
同日 一三四〇 入浴完了ト同時ニ「まっさーじ」ヲ依頼。重点ハ肩・背中・腰ト打電。参拾分デ参千円也。
同日 一四一〇 「まっさーじ」完了。続ケテ「生びーる」「特製鮪丼」ヲ注文ス。合計壱千六百五拾円也。
同日 一四四〇 摂取完了。作戦監視本部ニ「回復著シ」ト打電。
同日 一五○○ 油壺・城ヶ島快速観光船ニ乗船。海ノ男ノ雰囲気ヲ醸ス。乗船料壱千参百円也。
同日 一五三○ 城ヶ島着。徒歩ニテ散策ノ後、三崎港ヘばすニテ移動。弐百六拾円也。
同日 一六〇〇 三崎港着。釣具店ニテ状況ヲ聞キ、青磯目・ちょい投仕掛・ソノ他物資ヲ購入。壱千弐百円也。
同日 一六一〇 三崎港花暮岸壁ニテ釣リ開始。隣ノ家族連レト情報交換等セリ。
同日 一七四五 釣リ終了。釣果ハ白ギス弐、ハゼ参、ベラ壱ナルモ輸送困難ナ為、隣ノ家族ニ譲渡ス。
同日 一八〇〇 作戦完了。完全撤退開始。「作戦ノ目的ハ果タセリ」ト打電。
同日 一八〇三 三崎港ヨリ三崎口駅ニバスニテ移動。弐百九拾円也。
同日 一八三〇 三崎口駅ヨリ往路ヲ辿リツツ帰宅。壱千弐百六拾円也。
同日 二〇三〇 西武新宿線野方駅ニ到着。鹹戌部隊ヨリ体調悪シトノ報告アリ。
同日 二〇四〇 野方薬局ニテ体躯ヲ冷却セルすぷれーヲ購入。
同日 二二三〇 作戦完了報告。内容ハ以下ノ通リ。
現状、鹹戌部隊ハ日焼ケニヨル体力消耗著シ。
体温ハ参拾八度七分トノ情報モアリ。
但シ鹹戌部隊ノ慰安・督励ハ自体ハ成功セリ。
次期作戦決行ノ際ハ輜重兵ニ「日焼ケ止メおいる」ヲ携行セシムベシ。
以上。

箱根の山は天下の険

今回の旅のテーマは野宿である。
別に金がないわけではないが、ツーリングの基本スタイルは野宿ではないかと思うのだ。
そんなわけで、二日目の夜は熱海駅に泊まった。
最初は港にある公園で寝ていたが、花火はうるさいわ、夜釣りで人が多いわ、おまけにまた雨まで降るわ。
仕方なく夜中12時くらいに、事前にチェックしておいた屋根付のバス停へ移動したのである。
バス停はいくつも路線があるため、私以外にも数人旅行者がベンチで雑魚寝していた。
実際、寝やすい。最高。これなら毎晩でも…って、それじゃ完全にホームレスか…。
そして迎えた三日目の朝。午前5時。そして、やっぱり雨…。
今日は箱根峠には行こうと思ってるが、他に特に目的地はない。
それよりも早めに東京へ向かわなければ、連休帰りの大渋滞に巻き込まれてしまう。
駅前のコンビニで買ったオニギリを食べ、早速出発。
峠を目指し、上れば上るほどすごい霧である。富士山も芦ノ湖もなにも見えない…。
40分ほどで箱根峠に到着したが、やはり全てが霧で包まれていた。

何も見えません

何も見えません

道の駅ですが…

道の駅ですが…

御殿場に抜け、R246で東京へ帰ろうかとも思っていたが、この分では山中を走るR246は濃霧が予想される。
国道1号線で戻ることにする。数分で芦ノ湖へ到着。
旧道をうねうねと下り小田原へ抜ける。

芦ノ湖 霧の中、釣り人がちらほら

芦ノ湖 霧の中、釣り人がちらほら

カモたちが朝の行水

カモたちが朝の行水

小田原からはスムーズに…といいたいところだが、間違って横浜新道へ乗ってしまった…。
ゆっくり走りたかったので下道を行くつもりだったのに…と思ってるうちに第三京浜にまで乗ってる!?
あわてて適当な出口で降りた。高速道路がまだ怖いのだ。
その後、 うろうろしつつも午前9時、無事自宅に到着。ほっ。
一眠りして、午後にセローの泥を洗い落として、今回の旅は終了。

お疲れ、セロー君

お疲れ、セロー君

天城越え

午前5時。目を覚ますと今朝も小雨が降っていた。 もう慣れた。
行楽客が動き出す前に移動せねば。雨具を着こみ、早速出発。
伊豆半島の最南端、石廊崎を目指す。
途中、コンビニでサンドイッチとあったかい缶コーヒーを買い朝食を済ませる。

やはり今日も雨

やはり今日も雨

草花は嬉しそうです

草花は嬉しそうです

午前5時半。石廊崎に到着。早朝にもかかわらず観光客がちらほら。
かなりの勾配の坂道をえっちらおっちら登る。雨は止んでいたが汗でびしょ濡れ。
登りきったら「大駐車場」とやらがそこにあった…。ちっ。

伊豆最南端 石廊崎

伊豆最南端 石廊崎

漁師さんの朝は早い

漁師さんの朝は早い

一時間ほど観光して6時半。今度は西伊豆の海岸線を北上。
ほどなくして太陽が現れ、暖かな日差しが海面を照らす。
美しい駿河湾の眺めを楽しみながら、のんびりと走る。
松崎で針路変更。林道を目指し、川沿いに内陸を進む。

海から少し遡ると

海から少し遡ると

すぐに渓流

すぐに渓流

滝も多いです

滝も多いです

暗くて見えにくいけど左端にも滝

暗くて見えにくいけど左端にも滝

途中、名水・天城深層水とやらを汲めるわさびの駅なる場所があったのでちょっと寄り道。
水を一口飲んだ。 たしかに美味い! ありがたくペットボトルに水を汲む。
…と、その少し先で通行止めだ。路肩崩壊とのこと。
仕方なくUターンして海まで戻り回り道。
とりあえずの休憩地点、西天城高原・牧場の家に到着したのは10時半だった。
おやつに牛乳とみそ田楽を注文した。

おいしい牛乳ありがとう!

おいしい牛乳ありがとう!

なんだ、なんだ?と寄ってくる…

なんだ、なんだ?と寄ってくる…

20分ほど休憩して、牧場を後に。
西天城高原線を経てR136を西に。今日の目的地の一つ、土肥中央林道に到着した。
林道のほとんどが舗装されていたが、 その分未舗装部分はぬかるみと轍がひどかった。
無理な運転はしないように巡航。一番奥まった場所に広場を発見。
丁度正午なので、そこで昼食をとることにした。
さっき汲んだ深層水を使ってのアウトドア・クッキングである。
って、それほど大層なものでもないが。(笑)
メニューはアウトドアの定番・マルタイの棒ラーメンに、昨日買っておいたチャーシューをドバッと。
そして食後のドリップコーヒー。ある意味、贅沢。

土肥中央林道 バイクの通った跡がかなりある

土肥中央林道 バイクの通った跡がかなりある

外で食うと何でも美味いのかも

外で食うと何でも美味いのかも

コーヒーを飲んでると雲行きが怪しくなってきた。山の天気は変わりやすい。
ゴクリとコーヒーを一気に飲み干して出発。林道を抜け、国道を走り、今度は天城方面を目指す。
一時間半ほど走った後、仮眠も兼ねて天城峠手前の温泉で15:30までのんびり休憩。

1000円ですが畳の上で寝られます

1000円ですが畳の上で寝られます

浄蓮の滝のわさびソフト 素人にはおすすめできない

浄蓮の滝のわさびソフト 素人にはおすすめできない

休憩後、滑沢林道・旧国道・天城トンネルなどのダートを楽しみ、3回転のループ橋をぐるぐる回り、そんなこんなでR414を南下。
昨日も通った東伊豆の町、河津に出た。時刻は午後5時半。

滑沢林道 樹齢400年の太郎杉

滑沢林道 樹齢400年の太郎杉

不気味な天城トンネル でも野犬ほど怖くはない

不気味な天城トンネル でも野犬ほど怖くはない

昨夜の教訓もあり、今夜は伊東か熱海くらいの大き目の町で寝ようと決めていた。
が、 国道の登り方面は予想通りの大混雑である。
すり抜けたり、抜け道を通ったり、夕食をとり時間をずらしたりしながら、熱海に到着。20時。
途中、仕事の電話がなる。休みの電話はろくな要件ではない…。
案の定、プログラム不具合。作った自分が悪いのだが気が重くなる。携帯電話を投げ捨てたくなった。

X匹わんちゃん大行進

「将来は伊豆に住みたい」
それが僕の口癖だ。
伊豆には山と海と温泉があるからだ。それしかないとも言えるが。
ともかく、7/19・20・21の三連休を利用して伊豆半島を巡って来た。

通常、海と山の間にはある程度の平地がある

通常、海と山の間にはある程度の平地がある

しかし、伊豆半島はこんな感じ

しかし、伊豆半島はこんな感じ

今回は野宿用のテントや海水浴・釣りの準備もしたため、荷物が多い。
それを見越して、先日バイク屋に頼んでリア・ウインカーを移設し、振り分けバッグをつけられるようにした。
それと大き目のダッフルバッグにいつものザックにウエストバッグ。…すまぬセロー君、ただでさえ重いのに…。
午前4時。混雑を避けるため、早朝出発した。
途中、上馬の丸金ラーメンで博多ラーメンを朝飯に食うつもりが、4時までで閉店だと。
泣く泣く吉野家で並・ギョクを食う。
R246~小田原厚木道路~西湘バイパス経由で熱海着。時刻は午前7時。
そのまま伊豆スカイラインへ乗り、終点の天城高原ICを目指す。
小雨と霧の中、高原を快走。晴れていればきっと素晴らしい眺望なのだろうが…。

伊豆でも付きまとう霧と雨

伊豆でも付きまとう霧と雨

まだまだ新車でしょうか?

まだまだ新車でしょうか?

ツーリングマップルで調べると。伊豆には林道がたくさんあるが通行止めが多く、一般車両が走れる林道は実は少ない。
その数少ない通行可の林道の一つ、伊東の奥野林道がとりあえずの目的地だ。
途中ガス欠になりあせった。早朝で開店しているGSが見つからない。
料金所で聞いたGSまで、何とかリザーブタンクでたどり着いた。ほっ。
奥野林道は松川湖から渓流沿いに大室山方面に抜ける林道である。
2.5kmのダートは鮮やかな赤土。全体的にフラットで走りやすかった。

赤土とクロアゲハ

赤土とクロアゲハ

水…命の源だが雨はうざい

水…命の源だが雨はうざい

さて林道内でのんびり休憩して10時過ぎ。林道を出たとこでハプニング。
ダートが思ったより短くて欲求不満だった私が、なにげなく「なんちゃって前輪ジャンプ」やったら、やっぱこけまして…
エンジンかからねーっ!(;´Д`)
セルスイッチを押しても、うんともすんとも。どっと冷や汗。あせりまくり。ソロはこれが怖い。
荷物を降ろしてサイドカバーを取ってバッテリーを見たり、押し掛けしたり。
十数分格闘してようやくエンジンかかり、ほっとした。
サイドスタンド・スイッチが倒れた際にON状態になってしまったのが原因のようだった…。

あまり山奥で壊れるのは勘弁してくれ

あまり山奥で壊れるのは勘弁してくれ

奥野林道 赤土が特徴的です

奥野林道 赤土が特徴的です

ハプニングでビビッタ私は、東伊豆の海岸沿いをまったりと南下。
城ヶ崎で観光し、熱川で温泉に漬かった。

城ヶ崎 もろ火曜サスペンス劇場っぽい

城ヶ崎 もろ火曜サスペンス劇場っぽい

温泉は独り占めでした

温泉は独り占めでした

午後三時。南伊豆最大の町、下田に到着。
野宿に備えて東急ストアで買出し。食料・着替え。
駅で水を汲み、薬屋で虫除けスプレーも買う。準備万端。

東伊豆海岸線はずっとこんな感じ

東伊豆海岸線はずっとこんな感じ

下田港 ペリー記念碑とかある

下田港 ペリー記念碑とかある

伊豆半島は基本的にキャンプ・焚き火が禁止らしいので、テントの設営はゲリラ的に行わねばならない。
というわけで人里からある程度離れた、道路から目に付かない場所を探した。
午後4時。夜間は通行止めになる山道の脇に広場を見つけてテントを設営。

ひっそり

ひっそり

中はゴチャゴチャ

中はゴチャゴチャ

さて。
荷物を整理し、疲れた体を横たえる。
クマゼミ がやかましいほど鳴いている。キツツキが木をつつく音も聞こえる。
日は西に傾き、山道を通る車のエンジン音もまばらだ。
「来てよかったなー…」
メッシュの出入り口から吹き込む涼風に癒されつつ、うとうとと目を閉じてその日のツーリングを終えた…


はずだったがっ!
午後7時。仮眠から起き出して夕食の「うなぎの蒲焼弁当」を食べ始めた、まさにその時。犬の遠吠えが聞こえて来た。
と思ったら、それに呼応するめちゃめちゃ多い犬の声。
…野犬の群れっ!?
二桁はいそうな犬たちが狂ったように吼えている。
弁当を食う箸が止まる。背筋に寒気。
匂いか? うなぎの匂いが刺激したのか?
心霊現象は全然平気なのだが、野犬の群れは洒落にならない。
「やぁ、ぼく塩犬。(^・(I)・^)人(^・(I)・^)トモダチダワン」 …いや絶対、通じない。
おまけに雨までぱらついてきて、ここが水溜りになる心配も出てきた。気分が暗くなる。
幸い、遠吠えも雨もすぐに止んだ。 急いで飯を済ませ、寝ることに集中する。
…しかし、どうもテントの周囲に野生動物の気配を感じる。
「ギョエギョエッ!!」と訳の分からぬ鳴き声や、ガサガサという足音が気になってしょうがない。
外は完全に真っ暗。 自分がこんなに臆病だとは思わなかった…。
そして、ようやく眠りに落ちかけたとき。
闇夜で再び、野犬の遠吠え大会!!
やばい、やばい、やヴぁい!! もう無理ぽ。
撤収決定。恥も外聞もない。 山奥で素手の人間が野犬の群れに襲われるよりまし。
こんなに素早く片付けられるのか?ってくらい素早くテントをたたみ、荷造りし、バイクで逃げ出す。
こんなにワインディングを巧みに運転できるのか?ってくらい巧みなアクセルワークで下田を目指す。
人灯を目にした時には心底安堵した。(涙
結局、その夜は昼間訪れたペリー記念碑広場の屋根付ベンチで寝ることにしたのである。

夜の下田港 たどり着いたのは21:30

夜の下田港 たどり着いたのは21:30